一回戦
…試合当日
二人は天空コロシアムに来ていた
「此処が試合会場だ」
「試合会場が浮かんでるとか凄いところでやるのね」
「反重力で浮かんでるらしいな」
「落としてやりましょうか」
「ストップ駄目だよそれはどうしたいきなり」
「高いところは苦手なのよ」
「それは考えて無かった…どうしようか」
「こうするわ」
そして彼女は二人に分裂した
「何やったいきなり」
「遠隔操作ロボを創る様なものよ」
「あ…ごめんそれ無理」
「へ?」
「何でも出来る類いの力の奴が他の奴の遠隔の力の援護を受ける可能性が有るから試合会場が魔法的に隔離されてんの」
「…解ったわよ…やれば良いんでしょやれば」
彼女は分裂したのを元に戻した
「…大丈夫か?」
「試合開始直後に試合会場のステージ全体に隕石を降らして壁を創って外を見ない様にするわ…だから大丈夫よ」
「それなら行けるな…ああ…試合は三十分後だし待合室に移動しよう」
「もっと余裕持ってきて良かったんじゃ無いの?」
「寝坊したんだよっ」
「そうでしたね」
「うるさい…行くぞ」
「はいはい」
「…屋台は見てく?」
「時間も無いし試合の後でね」
「だな」
屋台のエリアを突っ切って受付を済まし試合の待合室に入ると…部屋に有る幾つかのモニターには他の試合の映像が写されている
モニターの一つの画面では一人が居る足場以外足場が全部消えて対戦相手が下に落ちて行っていた
「飛ぶ力の無い奴に足場の全損はエグいな…」
「多分消失系ね…飛ぶ力は重力を上向きにすれば何とか成るはずよ」
「だな…」
「まあ頑張ってみましょうか」
「だな…勝つぞ」
「ええ…勝てるはずよ…待ち遠しいわ」
「まあ時間までのんびりしてよう」
「そうね」
そして時間が訪れた
アナウンサーが前口上を述べる
「さあ注目の試合がやって参りました…ブラックホールとビックバンを操る貴公子イルード・ビーバスターと黒乙女イード・シャルティナは圧倒的な力を見せ付けるのか…それとも新人ルガシ・イルミナントと披アーガス・イルミナージが意地を見せるのか、注目の一戦です」
試合の会場に四人が入り試合開始まで話し出す
「ルガシのパートナーはエルフか、良い趣味してるな」
「そっちはダークエルフだもんな…エルフって良いよなぁ…そっちは巨乳だなぁ…って…いてて」
「ふん…巨乳が好きならそう私を作りなさいよ」
「いや小さいのも大好きだよ?」
「なっ」
「お仲が宜しいようで」
「話はそれくらいで切り上げるわよ…相手は新人で手札が隠せてるんだし油断は禁物なんだから」
「だな…まあ大抵初手ブラックホールに負けるんだが」
「そうは成らないさ」
「ほう?じゃあお手並み拝見と行こうか」
「時間のようね…」
四人がアナウンサーの声に耳を傾ける
「さあ試合開始時間が訪れた…試合開始まであと」
「三」
「二」
「一」
「試合開始」
「先ずは越えてみろ」
イルードが開幕ミニブラックホールを30個配置した
それをルガシは難なく相殺する
「ほう…なら次だ」
次にイルードは無数のミニビックバンを放つ
それも移動しつつ相殺していくが
「小技をだしまくりながら大技を用意するのは常套手段だろう?」
してる途中で突然巨大なブラックホールが頭上に顕れた
…即席で出せる出力ではカバー仕切れないレベルだった…が相手の力の根本を相殺してるのではなく真逆の現象を重ねる事で相殺しているので吸い寄せられ体が浮かびはしたが吸い込まれる前に重力で来る部分は相殺しきってしまった
「なるほど口だけでは無いようだね…なら切り札を切るか」
「切り札?お前の力はブラックホールとビックバンだけじゃないのか?」
「手札を隠して何が悪い?そして手札を使うときだなこりゃ」
何かが切り替わる音がした…イルードは光に包まれている
「…ってな訳でゲームの無敵モード開始だ」
「…またご冗談を」
「なら何でも良い一撃此方に当ててみろ一ダメージも喰らわないでやるよ」
「後悔するなよ?」
ブラックホールを形作る過重力をチャージしでかいのを創っていく
そして相当なレベルに成った所で
「これで良いだろう」
そしてブラックホールをイルードにぶつけるが…地面は抉れるのにイルードはびくともしない
「マジかよ」
「ゲームって最高だよね」
「何を言ってるんだお前は」
「この力はゲームだからさ」
「いやゲームだったらブラックホールを無意味化出来る理由が解らないのだが」
「ミスリードとしてこの世界をゲームとしてゲームマスターに成る力って言っとこうか」
「ゲームマスターだから無敵モードにも成れるってか…」
「ゲームなら無敵でも破れるわよ?」
「破れるなら破ってみろ」
「こうすれば良いのよ」
銃を情報変換で作り出し撃ったその弾丸はイルードに当たると…
「ぐはっ…何故だ?」
ダメージを与えた
「能力で無敵ならその能力をハッキングすれば良いじゃない」
簡単な理屈だった…相手の力に干渉出来る力じゃ無いと出来ない理屈だったが
「参ったな…結構自信あったんだがこうも簡単に破られるとは」
「どうすんの?」
「手札をこれ以上見せるのは後のために止めた方が良さそうだし今回は降参しておくよ…審判…降参だ」
審判が試合の終了を宣言する
アナウンサーが騒いでるが無視だ無視
「ありがたいわね」
「宇宙系かと思ってたが…その予想は外れたし何が出るか解んないしなぁ…」
「ふむ…宇宙系だと思ってたのか…なら隕石を使えば良かったかね」
「使えるのかよ?」
「さあな?ブラフかも知れないぜ?」
「教えるつもりが有るならそもそも降参なんてしないか」
「そう言うことだ」
「ちぇ」
「まあ次回からは無敵モードは普通に使うわよこいつは」
「簡単に破られてるけど使うのか?」
「相手の能力に干渉出来ない力しか持ってない相手には絶大な力を発揮するからね」
「そう言うものなのね」
「…じゃあ頑張って上行けよ?」
「まあ…そうするさ」
「全力の敵を倒した訳じゃ無いから釈然としないけどね」
「まあエルフのよしみで少し教えたげるけど…大抵の事は出来るわよこいつの力は」
「なら何故に降参するし」
「あくまで万能では無いからよ…使える大抵の奴に有効な手段はそんなに多くないの…例として隕石は対処は一定以上の奴には容易く対応される気しかしないしね…この世界ではメタを用意するのは容易い…なら根本的な能力を悟られるのは不味いでしょう?」
「なるほどね」
「そう言うことなら使える手札を制限してそれを全部対処されたら降参ってのも有りな訳だ」
「本当に勝ちたい時にはその限りでは無いけど…今はその時では無いしね」
「既に新しい手札を一つ切ったのにあっさり対処されたからやめた方が無難だってのも有るがな」
「そう言うことなら遠慮なく先に行かせてもらうぞ…じゃあな」
「まあ次のアタラクシア大会では…手札を切って良いかも知れないな…それじゃあな…」
そして四人は一回戦の試合会場を後にした
「…怖かったぁ」
「そう言えば何で大丈夫だったんだ?隕石をやってなかったが」
「やる暇が無かったしある程度下を見るようにして外を見ない様にしてたの…此処を地面だと自己暗示しながらね」
「そか……先ずは一回戦突破だな」
「そうね…次は…」
モニターを見て次の対戦相手を確かめる
「予想通りの相手の様ね」
「頼むよ?」
「任せなさい」
「今日はその試合で終わりだからな」
「はいはい…その続きは明日に成るわけだけどさっきの話から手札を隠した方が良さそうね」
「だな…今出したのはブラックホールとビックバンの相殺の力とブラックホールと能力ジャックって事に成ってるな」
「…これだけで能力を推測しようとすると訳解んないわね」
「なら成功じゃないか」
「次は勝ち方は既に有るし勝てるでしょう」
そして屋台のエリアに行って次の試合迄の時間を潰すのであった
実際イルードは根本を辿れば一つしか能力を使ってないって言うね
…まあ当然能力は伏せますが…