謎の少女!? メリル登場!
よう、昨日授業をサボタージュしちまったケールだ。今俺がどこにいるかって? なんと、リカステ先生に呼び出されて、先生の研究室にいるのだ。
この学院は、どちらかといえば機能は大学に近いからな。雇われた先生がたには大なり小なり個室が与えられる。このリカステ先生の部屋は大きいほうだ。やっぱり王室からの紹介状できた人だし、ないがしろにはできないよな。
そんなこんなで俺は、そんなリカステ先生の部屋にいるわけだが……
意外とかわいい趣味してるんだな……ぬいぐるみが……一体何匹いるんだ? じゃ、なくて……あれか、よびだされたのは授業をさぼったのがばれたからか!?
俺が内心戦々恐々としているのをしってか知らず家リカステ先生はしばしの沈黙の後深いため息をついた。
「ケール、お前はたしか風紀委員だったな?」
なんだかちょっと疲れたような声だ。やはり風紀委員なのにさぼったことへのお咎めか!?
俺は怒られることについて身構えるが、しかし、聞こえてきたのは意外な言葉だった。
「この少女を監視して欲しい」
そういって先生が差し出したのは小さいな紙に書かれた精巧な肖像画で空色の短い髪を後ろに束ねて、意志の強そうな顔立ちをした少女だった。しかし、少女というには聊か幼い気がする。
「この子は……?」
俺はどうやら怒られるわけでないことに警戒を解いた。先生はまた疲れたようなため息をつくと淡々と事情を説明してくれた。
「そいつはメリルといってある伯爵家の令嬢でな……まぁ、飛び級で13歳ながらこの『学院』に入学してきたはいいんだが……どうも最近おかしな行動がおおくてな」
なるほど。それで風紀委員のおれに白羽の矢が立ったと。
しっかしなぁ……
「べつに……おれじゃあなくても……」
いいよね? この仕事。ぶっちゃけ面倒くさいし。と、おもいやんわりと断ろうと思ったその矢先。
「ところでケール、昨日わたしの授業の時……あのオーロラが見えたとき、一体、どこに居た?」
「……精一杯監視させていただきます」
俺はふかぶか~と頭を下げてから足早に退散した。ちくしょう! これなら怒られるほうがましだった!!
一方、ケールが駆け足で逃げ出したリカステの部屋では……
「お姉さま……」
「わかってる……少々危険な賭けなのは認めるさ」
カーテンの裏から現れたカトレアが不安そうにリカステを見つめていた。リカステはそれに、不適な笑みで応じる。
「……あの女……メリルのいう事が真実なら、ケールは『バビロン』と関わりがある……それも、かなり深いところ……〈コカトリス〉とさえも、な」
よう。あれから3日間、メリルとかいう少女を監視しているケールだ。しかし、なんというか……
いくつかわかったことは彼女が『貴族派』に属しているという事だ。これは周りにいる学生の親がそうであるし、言葉の端々からも彼女が王族をどうもよく思っていないように思える。あと、もう一つ重要なのは……なぜか、鳶色の髪をもつ男子生徒に片っ端から喧嘩をうってるということだ。
ラーク兄に話を聞いてみたが、まだ襲われていないとは言っていたが、時間の問題のような気がする。俺も多少金色掛かっているとは言え基色は鳶だ……なんだか問題が歩きがする。
なんて思ったその翌日ですよ。
お昼時にオリーブと一緒に歩いていたら、たまたま前からその問題の少女、メリルちゃん
が歩いてきた。
俺はこっそり見張っているという負い目も感じて、オリーブの陰に隠れるよぉに通り過ぎようとしたんだが……
目があった。綺麗なマリンブルーの瞳が良く見えるほどめちゃくちゃに目を見開いいる。
どうしたんだろうね。
俺が心配に思ったその一瞬後、メリルちゃんはなにやらぶつぶつと口を動かした。やばい、ナニカの呪文かなんかかな?
「白銀の狼の杖……金色掛かった鳶色の髪……男の割りに低身長……!」
ちょっとまって、前二つは俺のことにしても最後のは一体……――
「兄のッ……! 仇ィィィ!!」
瞬間、メリルちゃんが鬼のような形相で襲ってきた。かわいい顔がえらいことになってる。
まるで風のような速さで俺へ肉薄すると、懐から取り出した短剣で俺の首を狙いに来た。
やばいっ!? これ、完全に俺のこと殺しに来てる!?
俺は殆ど無意識にヴァナルガンドを掲げることで、かろうじて切っ先を交わした。13歳の少女とは思えない腕力で競り合ってくる。
身体強化してやがる……!
「――お兄ちゃんをッ……! かえせっ!」