ママン
ごめんなさい短いです。本当はパパンも登場させるはずだったんだけどなあ
「あら、おはようケール。今日は早起きね」
爽やかな朝の日差しに網膜を刺激されいつもよりもはやく目を覚ました俺をお出迎えしてくれたのは天使の如き声だった。
びっくりした!でもこの前の蛙の大合唱の目覚ましに比べれば一億倍ましだな!
俺が驚きついでに声のした方向に目を向けると、そこに、クリアブルーの優しい瞳で此方を見つめる可愛らしい女性がいた。
美しいじゃあなくて可愛らしいだ、重要だぞ。
化粧っ気がないのにきめ細かい肌は真珠のように陽光を反射してやや眩しい。俺がかつて生きていた世界の女どもに見せてやりたいくらいだ。
その女性が俺の目を覗き込みながらこてん。と頭を傾げた。
こんな如何にも狙ったような動作なのにあざとさが無いのは何故だ?! 可愛いからか? 可愛いからだな!
と俺の内心のあらぶりなど露とも知らぬであろう女性はやや金色がかった茶色の髪の毛を結わえながら俺のほっぺにキスをした。
「じゃあお母さんはぱぱ達のおまんま作ってくるね」
そういって女性……俺の今世の母親であるメープルは立ち去っていった。
「ン……ン……けぽっ」
よう、今しがた授乳を終えたケルーだ、そして今や流れ作業の如く布団にねかされつつある。
これがなぁ、いつまで経っても成れないんだよなあ。
いや、寝かしつけのほうがじゃ無くてさ。
もはや赤ん坊にして確固たる人格を有する身としてはだな、麗らかなる婦人の乳房をしゃぶるというのは些か背徳感が……
まあでも飲まなきゃ死んじゃうから背に腹は変えられないんだけどな!!
寧ろ何とかしたいのは下の世話のほうだ。なぜかって? 黙秘します。
「ケールも大きくなったらパパやお兄ちゃんと一緒に鍛錬するのかしらね」
と、そろそろ、赤ん坊の性か肉体の限界か、瞼が重たくなり始めた頃に、憂い交じりの母さんの声が聞こえてきた。
んん? てかそもそもタンレンって何のことだろう?
「ふう……ダメダメ! 子供の前でこんな顔しちゃ! ――今、生きてくれてるだけでも、ありがたいんだもんね……お休み、ケール」
母よ……気になる言葉を残さないでくれ、フラグが立つじゃないか。
睡魔に支配権を譲渡する寸前に思いつくことなんかこの程度であった。
次回はパパンです