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二人の少年


 俺は、目の前の二人の少年の言葉に驚愕した。そんなばかな、父が帰っているだと?


 どうやら俺のその気持ちは表情に出ていたようで、ラーク君が、おれの顔を心配そうに覗き込んできた。


 おれとラーク君は、歳の差こそたったの二つだが、その成長差たるや、歴然のものがある。まずは身長である。ラーク君は、ウリムの7歳児のなかでもスラリと高く、お子様ながら肩幅もある。父譲りのかんばせは、鼻梁も通っていてハンサムさんだ。


 これまた父譲りの鳶色の瞳を常にくるくると回転させて、あちこちに光を放っている。


 「ケール大丈夫か? おねつでもあるのか」


 そんな二枚目のラークくんが心底心配そうに俺のおでこに掌をあてがってきた。俺のぷよっぷよの手のひらとは比較にならない皮の厚さだ。


 これも毎朝父と鍛錬と称し遊び……もとい鍛えられているからだろう。ある意は、このお隣で不思議そうな顔をしているワンコ形男子と毎日夕方までちゃんばらごっこをしているせいかも知れない。


 その愛嬌丸出しの金髪碧眼のこれまた美少年のグレイプ君。さっきまでコテンとかしげていた頭を、また戻すと、今度はひまわりのような笑みを顔いっぱいに広げた。


 グレイプ君は、ラーク君とはまた違ったタイプのハンサム君だ。全体的に、毎日日の元で遊んでいるとは思えないくらい白い。それなのに、少しも貧弱なところがなくて、光り輝かんばかりの生命を誇示している。


 身長は当然俺よりも高いが、ラーク君とは小指一本分程度差があって、そのことを悔しがっていたのを慰めたことは記憶に新しい。


 しかも、この特徴的な碧眼だ。この5年、ウリムで見たのは初めてだ。吸い込まれるような瞳の色に思わず見惚れる。


 と、見惚れていたら……


 「おれも計ってあげる!」


 炎天下のひまわりの笑顔のまま、グレイプ君がそのおでこを、俺のおでこにつき合わしてきた。


 ほんのりとした汗の香りに包まれる。少年特有の微熱がちな体がほぼほぼ密着する。相変わらず瞳はきれいなままで……


 「んおおおお!?」


 お、おれは何を考えている!? 思わず変な声が出たぞ!


 そんな突如の俺の奇声に、再び首をかしげるグレイプ君。ちなみに俺はラーク君がびくんと肩を震わしたのと、今尚プラムさんが笑いをこらえている事を見逃していない。このやろう。


 と、俺が何を考えて良いかわからなくなったとき。


 「ケール! どこへ行っていたの!」


 と、さらに考え事がやってきたのであった。


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