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俺・爆誕

3話目にして漸く生まれました。サブタイトルはルギアです

 ……此処、は?


 俺が次に自分に意識があることを理解したのは全くの暗闇の中だった。


 しかし、面白いくらいに体が動かない。なんというか、瓶詰めにされた気分だ。世界初だな、瓶詰めの気分を味わう男。なかなか貴重な体験だ。


 ところでさっきから思っていたんだが、どうやら体勢がおかしい気がする。


 それに、今気がついたんだが、どうやら俺が居る場所が暗いんじゃあなくて、俺の目が開かないだけらしい。


 ……うん。元々イヤな予感はしてあんだ。なんか、俺、今逆さまっぽいしな!


 なんというか危機感に駆られた俺はひとまず動かせそうな腕を前に押し出してみた。


 おもい! 腕が重い! 動くだけでも筋トレってどんなハードプレイだ! ばらばらになるわ!


 しかし、そこは男、俺。根性で筋肉を総動員させた。


 ……が、嗚呼、無情。俺が苦心に苦心を重ねて持ち上げた腕は幾ばくも進まない内になにやら柔らかい壁にぶつかってしまい強制送還されてしまった。


 おう……じーざす。


 しかし、唯の一度で諦めては男が廃ると思い、俺が再び嫌々ながら腕を持ち上げた時、先ほど俺の腕が進路を阻まれたあたりから強烈は波動が押し寄せてきた。


 あばばばば!!


 例えて言うならアレだ。いきなりホースで水をかけられた時の様な感覚に似ている。


 しかもソレが間断なく押し寄せてきやがった。


 鬱陶しい!


 俺は、今度こそはと、忌々しい思いを込めて柔壁を殴った。はじき返された。


 音的に言えば「ぽよん」とな「ぱいん」とかそういう感じだ。我ながら情けない。


 が、転んでもただでは起きん! 俺がさっきよりも強い力で殴ったことによって、今しがたまで俺を苦しめていた波は漸くやんだ。


 さすが俺。とか思った瞬間にまた波が襲ってきた。しかもさっきよりも強い!


 これはもうあれだ、ハイドロポンプだ!


 って言うか遊んでるだろうが、絶対!


 その後、向きになった俺と謎の波動の送り主との飽くなき戦いは俺が睡魔に敗れるまで続いたのだった。






 ……此処は?


 なんか、俺この言葉が口癖になりつつあるな。


 俺は、まだ完全に覚醒しきらない頭でそんな事を考えていた。


 あれから、どれだけの時間が経ったのか、検討もつきやしない。


 なんとなく分かるのは、ただ漠然とした、時間が来たという感覚だけだった。


 俺がそんな事をぼんやりと思いやっていると、ふと、ソレは唐突に訪れた。


 あまりに逆らいがたい衝動としか形容できない、大きな力。


 んおおぉぉ!?


 おい、ちょっとま……


 しかし、嗚呼、無情。


 俺は、急激に訪れた強い力に再びある方向に引っ張られることを感じた。


 方位確認! 敵は――!? っ上! 頭の上です!!


 あれ、体勢的には頭の下の方が正しいのか?


 てか、そんな事やってる場合じゃねえ! 


 俺が1人でつまらない漫才をやっていると、もう一度、いつかの波動なんかとは比べるまでも無い程の強い衝動の波が俺を襲った。


 そして同時に俺をこの居心地のいい空間から追い出そうとする形容しがたい力は、俺自身の願望であることにも気がついた。


 そうか……ついに、俺が此処から出る日時が来たんだな……俺が、生まれる、その日、その時が……


 だったら、もうしょうがないな。


 俺が、そうどこか深い観念的な物思いに沈んだ瞬間――!


 ちょっ! まだ心の準備って奴が……!


 俺は、唐突に光の中に投げ出された。






 っ苦しい! 臍の緒アンビリカル・ケーブルからの酸素供給が断たれた!


 俺がそのことを頭より早く本能で理解した瞬間。俺の今までぺちゃんこだった肺に恐ろしい、暴力的なまでの量が流れ込んできた。


 ぐええ! これはこれで苦しい!


 あんまり急激な空気量に喉が焼ける、俺は最早、その痛みからなのか本能からなのか分からない領域であられもない泣き声をあげていた。


 「んぎゃあ!んぎゃあ!おんぎゃあああぁぁぁ」


 俺昔、赤ちゃんが産声を上げるのは生まれるのが苦しいからってなんかで読んだことあるけど……


 そりゃ苦しいわ!


 内心で荒れ狂いながら生命の誕生の証を立てていると、今度は、俺の頭に何かひんやりとした何かが押し付けられたのを感じた。


 俺の側頭部、耳までをぴったりとくっつけられたソレは柔らかく、微かに脈を打っていた。


 水の中から聞こえる音のようなその鼓動に耳を澄ますうちに、再び安閑としてきて、気がつけばゆったりとまどろみの中へ沈んで行った。 

次話では多分家族が出てきます

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