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とある朝の一コマ

短めの日常話です。

 ある、麗らかな日差しの春の朝、おれは柔らかいお布団の微睡みの中にいた。


 うん、最高だよ、お布団。あったかくて、ぬくぬくだ。柔らかくはないけど。


 「ケール、朝だぞ」


 「はぁー…い」


 パパンに起こされるのは久しぶりだ。いつもなら、俺の方が早く起きるのだ。


 ん? 普通、錬金術師の徒弟やなんかは、住み込みなんじゃないかって?


 うん、普通は……な。


 だが、生憎、クラウドさんは普通の錬金術師じゃない。何故か、俺は毎日通いこみ、かつ週に2回はいかない日がある。


 ……あれ、そんなんだから中々覚えられないんじゃ?


   そんなことをグズグズ考えながら、暖かい褥から身を起こす。春の、若干冷えた朝の空気がまとわりついて、俺の体温を奪っていく。


 「さむい……」


 「お、寒いか、とうさんが抱っこしてやろうか?」


 と、パパンが、甘い顔面のパパンがいい感じの、人好きのする笑顔で俺に腕を差し出した。


 俺はそれに抗わず、両手を上に伸ばして万歳をした。


 どうやら、この国では布団からでた子供をだいて食卓まで連れて行くのは父親の仕事なのだ。


 そういう文化があるらしい。


 父の、子供を抱くには穢れすぎた手が伸びる。


 俺は、父の手が血と、剣だこで汚れている理由を知っている。


 だが、そんなことは関係なかった。たとえ、どれだけ父がイケメンでも、たとえどれだけ、女にもてても、またまた例え、それを断って母への惚気を大衆で語っとしても――!


 おっと、方向がそれたな。


 つまり、そんなことは関係無いことなのだ。確かに、この世界にあっても人殺しは禁忌とされている。


 だが、生きていくためには仕方が無いのだ。


 俺の小さな体は、父の太い腕に抱きかかえられ、厚い胸の中に包み込まれた。


 「……あったかい」


 「んー、ケールもあったかいゾ。火にあてた鍋みたいだ」


 そこはせめてお日様とかじゃないのか、父よ。





 おれが寝ぼけ眼で父の胸の中でご飯を食べている最中、玄関の方から大きな声が響いた。


 「おーい! ラーク、遊ぼーぜ」


 ん、この声はお隣のグレイプくんか。


 グレイプくんは4年ほど前にこの街に引っ越してきたお隣さんだ。


 ラークくんと同い年の、7歳。元気盛りで、いつもラークくんと郊外の広場に行っては剣技の真似事やなんかをしていると聞く。


 「お、またプラムんところのか」


 耳のくっついている、父の胸から声が響いた。


 どうやら父は、お隣のプラムさんとは旧知の仲らしく、家族ぐるみの付き合いがある。


 だが、俺はなんとなぁく、あのプラムさんは苦手だ。


 あの、優男然としつつも、剣技においては父よりも強いというし、何よりも、あの翡翠色の目だ。


 まるで、何もかもを見通すような、透き通って、怪しい目……


 あの人は、父の様に無邪気じゃあない。きっと、必要とあらば、眉も動かさず人を殺すだろう。


 『バビロン』の事も嗅ぎ回られているようだし、敵には回したく無い。

リ「最近、出番ありませんね」

レ「安心しろ、次回は我輩たちが活躍するぞ」

リ「って事は、あのマルスとか言うやつの事ですね。乞うご期待」

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