やり直しの為の決断
『光の者』……?
生まれて始めて聞いたはずなのに、どこか懐かしい、魂を震わす響きをもった言葉だ。
耳に心地がよくてあるはずもない心臓の鼓動が速くなる。
「なんだよ、それ」
オレが感じた感情が、恐怖なのか戸惑いなのか、ソレすらも漠然としてわからないまま、オレは震えた声を出していた。
女神も、どこかしら困惑した顔つきをしていたが、どうやらオレの疑問にはキチンと答えてくれるようだった。
「そうだね、『光の者』と言う名称は『キューブ』の主が勝手に生み出した言葉なんだけど、以前神々は運命の調律者と読んでいたよ」
つまり、運命に関するものってことはわかったさ。でもソレがいったいなんだってんだよ。
「つまり、君は本来あの世界で運命を調律する役割が与えられた命なのさ。しかし、それが奴には都合が悪かった……」
「一体、なにが」
「やつは、運命が乱れれば乱れるほど力をえる。逆に、運命が正しくゆけばやつの力は弱まっていくんだ。だから、君は殺されてしまった」
……オレが
「オレが『光の者』だからかよ――」
今まで、感じたことも無いような息苦しさと、やるせなさが俺の心を蝕んでいった。
オレは自分が、好きでそんな存在になったわけじゃないし、成りたいと思った事なんて無い。それこそ、オレの命は全く理不尽に奪われてしまったんだと。
「なあ、だから、君には、やって貰いたいことがあるんだ」
――オレに、やって貰いたい、こと?
女神は鷹揚に頷くと、厳かに、言った。
「そう……君に、もう一度命をやり直して貰いたい。今度こそ『光の者』として』