秘密組織
パパンのお友達の登場です、秘密組織の登場です
最近パパン視点かレオン視点で書いてみたいライムです。でえもきっと全く別のキャラクター視点になること間違いなしですよ。はは
父に声を掛けてきたのは、まだ若い、混じりけの無いない黄金の髪の毛に、翡翠のような瞳の若い男だった。歳は父と同じくらい。
背は父よりも拳1つぶんほど低く、線も細く思われる。しかし決して華奢な印象を与えられないで、どこと無く逞しさを感じる。
例えるなら父はミケランジェロ。男はデューラーといったところだ。
顔は細く、父よりも日に焼けている。彫りが深く、この1年間の間で見慣れてきたこの国の人たちとは違った印象を受ける。もしかしたら外国人なのかも知れない。
「よお! プラムじゃねーか! いつの間にこっちに来てたんだ?」
「2年ほど前にね。それに、結婚して子供も出来たんだ。今日はその入用だよ」
「子供だ~?! お前は絶対結婚できねえと思ったのに……相手は誰で、子供はどんなのだ?」
「相手……は、アイリス。北の村に昔の仕事の用事で行ったときに知り合ったんだ。子供は、ちょうど、その子くらいのものだよ」
と、男、プラムくん――目上だが、心の持ちようでは俺が年上だろうからこう呼ぶ――の翡翠の目が俺のほうを向いた。
まっすぐ射抜くような美しい目だ。しかも、俺よりも若いはずなのに、人生の苦難を知った男の、深い光が宿っている。
思わず面映い気持ちになって、うつむいてしまった。あ、リコル、結構汚れてる。帰ったら母に洗って貰おう。
「あれ、ところでオークの子供って、2人とも男の子じゃなかったか? 3人目が女の子なんて聞いてないぞ?」
「おいおい、お前までかよ。うちのケールはよく間違えられるけど立派な男だぜ。な、ラーク」
「うん! そうだよ! それにおれよりもずっと頭もいいんだよ! 字もよめるんだよ!」
「えっ!? って事は、だいぶオークには似なかったんだな。本当にお前の子なのか!?」
「てめえ! 確かにケールはメープル似だけどな! 立派なオレの子だぞ」
と、父の馬鹿馬鹿しい子自慢が始まった。曰く文字が読める。曰くお部屋の片付けが出来る。曰く乳離れしている。曰く時々ぬいぐるみに話しかけるのが玉に瑕。
って、話してるところ見られてたのか!? ていうか父よ! いい加減その子自慢やめてくれ! 羞恥心でもだえ死んでしまう!
しかし、俺も本がすらすらと読めたときには驚いた。だがよく考えたら言葉も生まれていた時から判っていたし、生まれ変わった故の特典なのかも知れない。
「所でプラム、お前、『バビロン』の噂、聞いたことあるか?」
「ああ、そりゃあ、この1年間で急激に力を伸ばし始めた魔道機関だろ? なんでも、王侯貴族をパトロンに生命の研究をしているとか言う、ソレがどうしたんだ」
「いや、あんまりいい噂を聞かないからな。それに、中心的に活動してるのはこのウリムらしいからな……」
ラーク君の頭に大きな手を載せながら喋る父を当のラーク君は不思議そうそうに見上げている。おそらく会話の意味が分からないのだろう。
親子を見つめていたプラムが優しげに噴出した。
「なるほどね、お前ももう1人の体じゃないって事か。確かに、いい噂は聞かないが、貴族達はいたく気に入ってるようだしな。最近では教会にまで資金の申し込みをしたらしいな」
「ああ、この頃〈大聖堂〉に『バビロン』の研究員が出入りしているのはそのせいか」
「多分ね。それに〈学園〉には資料の提供を願ったそうだ。まあ、門前払いにあったそうだけどね」
「となると、もう〈連盟〉もいくつかはパトロンに成ってるって考えたほうが自然だな」
「そもそもが、その〈連盟〉に所属する錬金術師達が集まったものらしいからね、おそらく〈連盟〉の内部抗争にも大きく関わっているだろうね」
……この人、一体何者なんだ?
リ「なにやら怪しい男が出てきましたね、どうやらこの男も腹に一物抱えてる感じですね」
レ「そんなことより我輩今回も出番がなかったのだが……」
リ「わたしだって似たようなもんです。次回は秘密組織『バビロン』です。乞うご期待」