『マーケット』
ごめんなさい! 今回お話が尻切れトンボになってしまっています! またライムの一身上の都合(定期テスト)にて暫くの間更新が不定期になってしまいます。ど了承ください。
……春。漸く厳しい冬の雪の覆いの暴かれた大陸の東部に位置し、比較的穏やかな気候に恵まれた王国、イスリア。その王都よりほど近いところ、王国の第二の首都とも並び証される『学術都市・ウリム』その、ウリムでは、年が明けてから三度目の『マーケット』の最中であった。そして、この町に住まう、一人の幼児の初めての誕生日の日でもあった……
「おっと、ラーク、ちゃんとケールの事見ててくれよ、間違っても迷子になったら助かんないぞ」
その、雑踏と屋台の小売店に支配されたウリム中央部〈トロム広場〉に、鳶色の頭髪をあちこちと落ち着きなく生やしている男がその傍らで手を繋いだ幼児に声をかけた。
すると、声をかけられた幼児ラークは、生まれて初めて見る人の数にやや食われたように、興奮で顔を上気させながら、その男に頷いた。
男譲りなのだろう、よく似た鳶色の瞳を万華鏡の様にくるくると回転させ、道行くもの、立ち並ぶものに常に好奇を寄せていた。
男は尚も心配そうに、幼児、ラークと更に、そのラークに手をひかれた華奢な幼児を見やった。
その少年は、瞳は父や兄とよく似た鳶色の虹彩の持ち主であったが、しかし、その瞳の中で爆ぜているべき炎は全く見受けられなかった。
兄のラークの様に人の多さに飲まれしばし、呆然としていると言うことも出来たかもしれないが、その幼児の目を覗き込めばその答えが全くも検討はずれであることを思い知らされることになる。
その幼児の目は冷めていたのだ。まるで、この程度の人ごみなどこれまで何度も見てきたことがあるといわんばかりの好奇心の無さである。
見る人が見ればなんて子供らしくない子供だろうと驚くことだろう。しかしその幼児にはたった1つだけ、子供らしい面を持っていた、それは……
「と、ケール。あんまりぼぅとして、ぬいぐるみ落とすなよ。踏んづけられちゃうからな」
そう、今まさに父オークが言ったとおり、ぬいぐるみである。彼は今自分の身の丈ほどもある大きさの一角獣のぬいぐるみを持ていた。ちょうどベビーベッドの中から出られなさそうな大きさのぬいぐるみで、若干足が引きずられている。
「なんだったら父ちゃんが持ってやろうか?」
と、一瞬だけオークが足を止め今日一歳となったばかりの息子に声をかけるが当の息子……ケールは長い前髪ごと首をふるふると横に振った。
ケールが髪を振るたびに、その金色にちかい薄茶色の髪が光を反射した。そして、ややうつむきがちに
「ちゃんとじぶんでもてるよ?」
と、舌足らずではあるがしっかりとした語調で父オークに答えた。しかし、その時に恥ずかしかったのか、兄ラークを握る手に力が篭った。
「よし、じゃあケール! これなんかどうだ」
と、日も高くなり始めた頃、鳶色の髪をした若者がおそらく息子だろう茶髪と金髪の中間のような幼子にあきらかに大きすぎる木刀と指し示していた。
言わずもがなオークと、その息子ケールである。いまやケールは疲れ果てたといわんばかりの表情で兄ラークの手を握っていた。ぬいぐるみのリコルは何時の間にか父オークが肩に掛けるしだいと成っている。
人ごみが身に堪えたのか、それとも一歳の幼子には歩いた距離が長かったのか、ややつかれたひょうじょうをしている。
「え……いらない」
幼子が明らかに自分がほしいという父の目の輝きを無視して、木刀購入案をきって捨てた。
オークががっかりと肩をおとすか落とさないかと言うその瞬間……
「あれ? オークじゃないか!」
新キャラが現れた
リ「今回連れ出されたのはわたしでしたね(ドヤァ」
レ「ふん、それでも台詞が無ければ自慢にならん」
リ「さて、次回は今回現れた新キャラのお話と組織のお話です。こうご期待」
2015・6・6表現をいじりました。