第七話 リリスちゃん3
昨日は眠れなかった。明日休ませて下さいと言ったら上司は怪訝な顔をしていたが、ご機嫌を取っている余裕はなかった。
何もなければいい。本当にそう思う。
でも少しだけ自分の予想があたることへの期待感があることが解った。どうかしてるとは思うが兎に角今日だ。”イベント”は11時から、リリスの職場に近隣の小学生達がやって来る。職場の監視カメラを見させてもらうように手配し、神谷と2人、そして〇〇省経由で同行をお願いした刑事が2人、4人でカメラを見ていた。
瞬間、カメラがホワイトアウトした。
起動するのを待つ。
「ああ、点きましたよ。」刑事の一人が何気なくそう言うと、4人はカメラにくぎ付けられた。刑事の瞳孔は見開いている。
リリスが子供に馬乗りになっている。刃物のようなものを持っているのは間違いない。
子供は?動かない。
周りの男性が何人かでリリスを取り押さえた、刑事2人はもう現場へ向かっている。無音のカメラから人々の慟哭と怒りが伝わってくる。大混乱だ。
まあ、こうなるとはわかっていたんだけど。リリスちゃん、助けられなくて、ごめんね。神谷は自分の興奮を抑えつつ、リリスに心底同情した。