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帝立梅ヶ丘魔導学校遊々記  作者: タカハシあん


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28 集う者たち(上)

 さすがこの学校で天下をとった集団に属しているだけはある。どいつもこいつも人間兵器ばかりだ。


 リーダーに向いてないと言いながらもリーダーをやっていただけはあり高明の指示は的確だし、この中で一番優れている。


 前衛、右翼左翼の奴らも個々としての能力も集団として能力も父さんが率いる部隊にも負けていない。怒濤のように襲いくる迷宮獣を一匹たりとも通さない。散弾を装填する時間どころか野村さんが拾ってくれた軽機関銃にボックスマガジンを装填する時間に水まで飲める余裕があった。


 快進撃と断言できるくらいの時間で目的の地点へと到達できた。


「前衛は前進! 右翼左翼は左右に展開! そこで撃退! 野村さんは高明の後ろで支援をお願い! 海璃ちゃんは上空の警戒!」


 ボクの指示に全員が速やかに動き、基地を設置(召喚)できる空間ができた。


「ナンバー30、B基地召喚!」


 空間の中央に行くように加減し、野戦用指令基地を召喚した。


「もう五分耐えてくれ!」


 そう叫んで指令基地に入った。


 コンテナを縦に二つ。上に一つを溶接しただけの野戦用指令基地に備え付けのディーゼル発電機を発動。壁に取り付けたデジタル式金庫からリモコンスイッチを取り出し、その下にある暖房用に保管していた灯油が入ったポリタンクを両手に持って外に出た。


「高明、きてくれ!」


 ボクの叫びに高明が即座にやってきた。


「灯油が入ったポリタンクが四本ある。足りるように基地の周りに撒いてくれ!」


 そう指示を出し、また基地に入って残りを出した。


「海璃ちゃんとそこの二人は中に。冷蔵庫に水が入ってる。その横の棚には保存食があるから出してくれ。野村さんはそれぞれの支援をお願い!」


 三人を中に入れ、ボクは前衛組の支援に回った。


 しばらくショットガンで支援していると、高明が灯油を撒き終わってやってきた。


「ボクが火をつけるからタイミングは高明に任せる。仲間の指示を頼む!」


「了解。皆、GOの合図で火をつける。内側に侵入した迷宮獣や火ついた迷宮獣に注意しろ!」


 ポケットからジッポライターを取り出して火をつける。


「カウント5、4、3、2、1、GO!」


 その合図でジッポライターを放り投げた。


 火が灯油へと触れ、左右に駆け出した。


「……あんな火で大丈夫なのか?」


 高さ三十センチにも満たない火の境界線に不安な声をあげる高明。まあ、無理はない。


「たんなる付け火さ。見張りに三人選んでくれ。残りは中で休憩だ」


 人選を高明に任せ、ボクは胸甲プロテクターCと書かれたカードケースを取り出した。


 食糧もない場所で生き残れる道具が詰まった"サバイバル・カードC番"からナンバー9のカードを選び、凡そ三日分の薪を召喚した。


「悪いが見張りの三人はこれを火にくべてくれ」


 高明が選んだ三人に言い、また基地の中に入る。


 先程まで人間兵器のような戦いを見せていた姫騎士団だが、一息つけた安心感からか、年相応な表情や人として疲れを見せていた。


「休憩は十分だ。終わったら外の三人と交代して見張りに立ってくれ。高明、この中で銃を使えるのは何人だ?」


「おれを入れて四人──だが、帝国軍の九六式か九八式小銃の経験しかないぞ」


「それで十分。アサルト・ライフルの扱いなんてそう変わりはないよ。休憩後、その四人は、棚にあるアサルト・ライフルを使って迷宮獣の駆除。うち一人は基地の上に。三人は外で。野村さんと海璃ちゃん、まだ動けるかい?」


 姫騎士団の奴らに水とタオルを配る二人に問い掛ける。


「うん、大丈夫よ」


「はい、平気です」


 基地を放棄したときのアドレナリンが引いたらしく、二人の顔から緊張は消えていた。


「じゃあ、二階に上がってレベルアップしててくれる?」


 ボクの言いたいことを理解してくれた二人は、サブ・マシンガンを掲げながらニッコリ笑った。


「こんなチャンス二度とないもの、頼まれなくたってやるわよ!」


「はい! 守るだけでレベル1になるんですもん、頑張っちゃいますよ!」


 とても十五分前の人物とは思えないくらい元気に梯子を昇って行った。


 まあ、年頃の女の子としてはどうかと思うが、ここはそう言うところ。気にするな、だ。


 床に置いてあるペットボトルをつかみ取り、一つを高明に。一つは自分用につかみ、一気に飲み干した。


「──ぷっはっ! いいか、無駄口たたかずしっかり休憩するんだぞ!」


 そう言い飛ばして回復に専念──したいが、時間が惜しいと、高明をそのままに外部スピーカーのスイッチをオンにした。


「こちらは特殊技能科の志賀倉正光と姫騎士団だ。ボクらはこの状況を乗り越えるために同盟を結んだ。こちらと同盟を結びたいと思う集団個人はこちらにきてくれ。ただし、志賀倉焔と柳生星華をモデルにしたいと言う奴らはくるな。そんな奴らとは同盟は結べないし、万が一偽ってきた場合は大会後に殺す。志賀倉の名に懸けて殺す。脅しと思うならそう思え。必ず本気だと教えてやる。それと、こちらの戦力はまだ少なく援護が厳しい。だから同盟を結びたい者たちは協力してこちらにきて欲しい。野村さん。こちらにくる者らの援護を頼む。以上」


 外部スピーカーをオフにし、ペットボトルに手を伸ばしてまた一気に飲み干した。


「ボクも援護に出る。高明たちはしっかり休め」


「おれも行くよ。不向きとは言えこのチームのリーダーはおれだからな」


 立場は違えどボクも将来は志賀倉を率いる身。トップの責任と重要性はよく知っている。だから止めたりはしない。了解と応え、アサルト・ライフルとマガジンケースを渡した。


「ナンバー14、グレネード・ランチャー召喚」


 左手甲からコンパクト型のグレネード・ランチャーと弾ベルトを召喚した。


「残りは高明にやる」


 ショットガンとダンプポーチを渡した。


「……今更だが、なんでこんなに武器を持ってるんだ……?」


「うちの家族を狙うクソ野郎を殺すためだよ」


 もっとも、そのクソ野郎を殺す前になくなりそうだけどな。


「──高明! 志賀倉! 三時方向から紅薔薇団と朝霧あさぎり組がくるぞ!」


 右翼を見張っていた武士系男子が入口に現れた。


 それに応えて外に出て三時方向を見る。


「高明、あの二組は、この火の壁を飛び越えられるか?」


 薪をくべられたお陰で火の高さは一メートルくらいまで燃え盛っていた。


「ないのと同じさ」


 ……どいつもこいつも人間兵器だな……。


「ならあいつらのために道を作ってくれ。ボクは後ろのを排除──」


「──志賀倉くんっ! 左翼側からもくるよ!」


 指示の途中で野村さんの声が割り込んできた。


「指示変更。紅薔薇団と朝霧組は高明に任せる。ボクは左翼側を担当する」


「了解!」


 高明が頷き、ボクは左翼側に移動した。


 左翼側には、麻木色の忍服を纏った男子が薪をくべていた。


「あの集団のことわかるか?」


 なにやら鷹の陣で迷宮獣を斬り刻む、なんとも物騒な集団である。


栖輪すわ忍群と陽炎かげろう忍群、武家の子弟が集まった剣連会けんれんかいだ」


 はっきり言って聞いたこともない名であった。


 忍や武士も身近な存在だとは言え、普通に生きていたら忍や武士など漫画かゲームの中にしか出てこない。


 ボクも何度となく二十四忍群と口にしてるが、二十四忍群全て言えと言われたら、精々十二か十三忍群くらいしか挙げられないだろう。世界大戦が終わって六十年。そうそう戦争ができる時代ではないのだ、忍群や武家の名などそうそう出てこないのだ。


「この火の壁を飛び越えられる集団か?」


「この学年はそれくらい簡単にできる奴らばかりさ」


「ほんと、嫌な年代に入ったもんだよ」


 ため息一つ吐き、こちらへ向かってくる集団の後方へとグレネード弾を放った。が、威力がありすぎて危うく殿の男子を巻き込むところだったぜい。


「ちっ。武器選択を間違えた。──野村さん! あいつらに道を作ってくれ!」


「了ー解!」


 野村さんに任せ、ボクは闘技場に向けてグレネード弾を放った。


 しかし、迷宮獣が一向に減らないな。未だに円柱や壁から巨大蜘蛛や巨大蟻が噴き出してるよ。


 弾ベルトのグレネード弾が尽き果て、拳銃へと切り換えたところで剣連会が火の壁まで辿り着いた。


 二人が土台となり、順番に火の壁を越えてくる。その行動の鮮やかなこと。援護の手を止めて見とれてしまったよ。


 土台となった二人は単独で、軽々と飛び越え着地する。その時間、十秒にも満たない。流れるようなとはこのことだ。


「──正光!」


 高明の声に我に返ると、紅薔薇団と朝霧組、剣連会の面々がこちらに集まってくるところだった。


「か、各チームリーダーは、二名選んで姫騎士団と一緒に見張りに立ってくれ。残りは休憩だ」


 ボクの指示に異を唱えることもせず、各チームリーダーらしき者たちが指示を出して仲間たちが動いた。


「それで、これからどうするんだ?」


 残った各チームリーダーを代表して戦闘忍服を着た男子が尋ねてきた。


「その前にチーム名とリーダーの名を教えてくれ。こっちはこの学校に入って数日の新参者。誰が誰だかわからないでは指示を出せないからな」


 ボクの言い分に各チームリーダーたちは視線を飛ばし合い、まず、最初に尋ねてきた男子が口を開いた。

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