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STAGE 0-8 自己紹介

あとこの話含めて三話で投票を締め切ります。

今のところハーレムの方が多いようですね。現状一位は永琳一人。

              6月20日 7:36



 その日の目覚めは、ひどく乱暴で唐突なものであった。


「さあさあ朝ごはんウサ! 早く起きるウサ!!」

「う~……まだ眠いぜ……もう少しだけ寝かせてくれ……」

「よそ者なんだからもっとしゃきっとしてほしいウサ! 姫様もお待ちかねウサ!!」

「しゃーねぇなぁ……」


 気だるい身体を起こし、目を擦る。

 眼前には、昨日出会った兎耳の少女とはまた別の少女……いや、もう少し幼いか? ともかく、一人の女性がいた。


「あんたも、ここの住人か。スマン、ちょっと着替える時間をくれ」


寝巻用白衣に着替えるのも忘れ、普段着用で眠ってしまっていたらしい。せめて別の白衣に着替えてから出ていきたかった。その旨を伝えると、


「まあ、それぐらいならいいウサ。出ていくからさっさとするウサよ」

「あいよっと」


 そそくさと部屋から出て行き、そのまま障子の裏で待機する。真次は素早く別の白衣に着替えた。


「? さっきと何が変わったウサ?」

「ちゃんと着替えたのにひでぇなオイ」


 まぁ、先ほど着ていた白衣と寸法は変わらないし、同じ物を持ってきているのだから、傍目から見てはわからないのは仕方ない。ため息が出そうなのを堪えて、目の前の少女の案内に従う。居間らしき場所に着くと、そこには昨日一緒に藍を処置した先生とその助手、そしてもう一人――つやのある長い黒髪の少女が座っていた。


「おはようございます先生」

「ああ、おはよう。昨日は悪いな。先生も疲れてただろうに」

「あれぐらいは疲労の内に入りませんわ」

「永琳、もしかしてこの人間のこと気に入っているのかしら?」


 朝の挨拶をしている最中に、黒髪の少女が口をはさむ。どうやら先生の名前は、永琳というらしい。


「嫌ってはいませんね。医療技術に関しては私以上ですし」

「ふーん……そう言えば、名前は?」

「あー……そっか。昨日は忙しくて名乗る暇なかったからなぁ……てか、嬢ちゃんとウサギの二人に関してはほぼ初対面だしな」


 少し自己紹介の文面を考えた後、真次は一気に喋り始める。


「俺は真次。『西本 真次』だ。前いた世界では外科医だった。主に怪我の治療が担当だな。趣味で他の分野の医学書も読んでっから、知識ぐらいなら一応ある。特に精神科なら診察もいけるぐらいだぜ。その他の趣味はゲーム……ってもわかんねぇかな」

「ゲームですって!? 私もやってるわよ!」

「おっ。こっちにもあるのか?」

「……多分、ここか河童の所ぐらいしかないと思います」


 黒髪の少女が興奮気味に話したところに、冷やかな永琳の返答が入る。ちょっとだけ残念に思ったが、異世界に来てゲームがあること自体奇跡か、と納得させた。


「――で、先生方の名前は?」

「ああ、そうですね。私たちも名乗らないと……私は『八意 永琳』ここの主治医をしています。本来は薬師です」

「ちょ、ちょっと待て。外科医じゃなかったのかよ!?」


 昨日の処置の際、永琳のサポートは完璧だった。だからてっきり、外科医だと思い込んでいた真次なのだが、そこにさらなる衝撃が彼を襲う。


「私は全部の分野の医療行為を行えますわ」

「……普通、脳みそパンクするぞ……」

「ふふふ……永琳は月の頭脳と呼ばれるほどの天才なのよ? それぐらい楽勝なのよね、永琳?」


 黒髪の少女の問いに、にっこりと永琳は頷いた。真次はつい、額に手を当てて嘆息する。


「でも、真次先生の技術は素晴らしいものだと思いますわ。私はあんな速さでできませんから」

「……そりゃどうも」


 明らかに天才とか、そういう問題ではないと、真次は思う。医学というのは一分野だけでも、膨大な知識を覚えなければならない。それを全分野となれば、永琳は超人的な頭脳の持ち主ということになる。


(まさか、俺たちの『血統』じゃないよな……?)


 そんなことが一瞬よぎってしまったが、ここは異世界だ。あり得ないと思い、その予感を振り払う。


「あ、あの。私たちも自己紹介しておきますね。私は『鈴仙・優曇華院・イナバ』です。長いのでウドンゲと呼んでください」

「『因幡てゐ』ウサ。よろしくウサ」

「あら、じゃあ私も自己紹介しようかしら。『蓬莱山 輝夜』……かぐや姫って言えばわかるかしら?」


 続けて、皆が自己紹介してくれた。その中でも、かぐや姫というのが印象に残った。確か空想上の人物で、言われてみれば確かに綺麗ではある。


「へぇ……確か月に帰ったんじゃ?」

「それは、地上に残った民の逸話よ。詳しい話は省くわ」

「まーいいや。とりあえずよろしくな姫さん」

「ぷっ……ふふ……そんな呼び方初めてだけど……いいわ、これからもそんな風に呼んで頂戴?」


 何かおかしいのか、笑いだす姫様。真次は首を傾げたが、周りの従者たちまでクスクスと笑っている。


「ん? なんかヘンなこと言ったか俺」

「いいえ別に……」


 意味ありげに笑ったが、真次にはますます訳がわからない。混乱が増す中、ただ彼女らの笑い声だけがこだましていた……



                6月20日 8:02


 という訳で、作者の前作と、今作の関係がはっきりしました。今作の主人公は、前作主人公のお兄さんです! あえて途中から、真次の名前を出さないように注意していました。

 前作の文が参真に兄弟いるの? と聞いた時に、真次の名前は出ています。実は良く読めば、何年後のお話かもわかるようになっていますよ!!

 

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