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STAGE 3-16 その幼女、大人につき

ようやく真次先生が出てきます。調べたところ、前回の出演シーンは二年半のようです(白目)

7月7日 6:00 



 どうしてこんなことになっているのか、西本 真次 にはさっぱりわからなかった。

 昨日の夜、紅魔館の面々とミスティアとルーミア、そして彼の弟である参真と小傘のメンツで、小さな食事会があったことは覚えている。15時前後に作ると約束した、真次作のミルクレープはデザートの一つとなり、食後のワインと共に皆で楽しんだことも。

 その後、魔理沙とアリスは帰宅し、残りの人間と妖怪は個室に案内され、豪奢なベットで眠ったはずだ。記憶に混乱や欠落はない。弟の参真もそうだが真次も酒に強く、彼がこの程度で理性を失うことはあり得ない。にもかかわらず、これはなんだ? 彼の隣には金髪と黒服の幼女、昨日助けた妖怪の一人であるルーミアが眠っているではないか。

 健やかな寝息が首筋をなでる。彼の左腕は抱き枕かわりにされており、しかも妖怪特有の腕力のせいか、上手く身体を動かすこともできない。おまけに、少女の衣服の一部が崩れており、半裸とまでは行かないが……思春期の男子だったら、無防備なうなじが目に毒だろう。

 けれども、真次にとってはなんてことない。彼が大人であることもそうだし、自らの持つ宿命が、彼に鋼以上の強度を誇る理性を与えていた。

 ルーミアは昨日怪我をしている。せっかく眠ているのを起こすのは悪いので、真次は二度寝することにした。長く寝すぎることになっても、メイドの誰かが起こしてくれるだろう。気持ちを切り替え、もう一度横になる。瞳を閉じ、呼吸を整えると、ルーミアが真次に密着する形で寝返りをうった。

 身じろぎし、すり寄ってくる少女から言葉にならない寝言が漏れている。ただ……タイミングから作為を感じた真次は、小さく耳打ちした。


「なぁルーミア、まさかとは思うが起きてないか?」


 ほんの少し、彼女の呼吸が乱れた。

 密着していたおかげで、全身が緊張したのも感じ取れた。が、ルーミアはその後寝ているようなままである。何事も無いようにしているが、瞼にも力が入っていた。


「いや、明らかに痙攣したよな? ごまかせてないから諦めろ」

「いけずぅ……」


 観念したのか、少女が目を開いた。頬を膨らませ、何故かご立腹だ。


「何? 何なの真次先生? 据え膳に手を付けないどころか、これじゃあちゃぶ台返しじゃない!」

「誘ってたのかよお前!?」

「当たり前じゃない! 昨日の『食べる』もそういう意味だったのよ!?」

「大っぴらになんてこと言ってやがる! 待てじゃあアレ……ミスティアも巻き込むつもりだったのか!?」


 彼の発言に、得意げにルーミアが胸をそらして肯定する。


「もちろん! 勘違いしたところを思いっきり煽ってあげるつもりだったのに……! なのにこんな結果あんまりっ」


 きぃきぃがなる少女に、青年は呆れてものも言えなかった。こちらの住人の一部の貞操概念について、真次は八雲 紫に問い詰めたい。本当に。あるいは幻想郷に着く前に質問しておけば良かったのかもしれないが……向こうの世界の常識的で考えれば、問いかけること自体失礼だろう。


「色々とツッコミてぇけど、動機は何だ?」

「え、私に突っ」

「俺はロリコンじゃねぇ! 言わせねぇよ!?」


 口に溜め込んでいた息を出しながら、少女はしぶしぶ答えた。


「えー気に入ったからよ? それとも私じゃ、色気がなくてご不満?」

「いやいやいや……ナリと中身に差があり過ぎだろう……」

「それもまたそそるって、言ってた人もいるわよ?」

「なんで知ってる……つかホントお前……」


 あまりに爛れている内面と、幼子の外見との差にげんなりした。好みな人種にはいいのかもしれないが、真次にはまるでピンと来ない。


「つかルーミア、お前昨日の性格と違うように見えるが」

「普段はネコかぶってるもの。昨日のことで封印もちょっと不安定になってるし」

「ひでぇぶっちゃけ……ん? 封印? 何のだ?」


 ここまで開き直ると、呆れを通り越して感嘆したくなる。今日のことがなければ真次も、彼女の本来の性格を知ることはなかっただろう。もしや彼女の性格もまた、封印されていたのだろうか? 


「私の本当の力のこと。このリボンが起点よ……力を持ってるとね、それを目当てに色々と煩わしいのが集ってくるから。あなたも身に覚えあるんじゃない?」

「…………まぁな」


 ルーミアの言葉は、真次が置いてきた過去……現実世界のしがらみを不意に思い出させた。

 彼は多数を救ってきたが、そんな彼を目当てに派閥争いが何度も起こった。幻想郷へ行くことにためらいがなかったのは、心のどこかで自由を求めていたからなのかもしれない。真次は世界を跨ぐことでしがらみから抜け出し、ルーミアは力を封じることでしがらみを解消したのだろう。


「一緒にいた……ミスティア達は知ってるのか?」


 青年の問いに、少女は首を振った。


「全然。あの子たちはね、自然に一緒にいることが多くなった友達よ。私が力を封印していなかったらきっと……こういう関係でいれる友人なんて出来なかった。今の状況は気に入ってるから、三人には秘密にしてね?」

 

 ぱちりとウインクした時だけ、彼女は見た目相応の少女であった。イタズラをこっそり打ち明ける子供のような……


「あ、でもこの秘密を材料にメチャクチャにされるのも――ありかも?」

「発想が鬼畜のソレだぞ!?」

「エロスには湿り気が大事でしょ? 純愛物でも背徳物でも、そこは同じだと思うの」

「幼女の恰好で、エロスについて語りだすんじゃない! あとな、こんなこと男に堂々と話すな!! せめて同性でやってくれ!!」

「ん……じゃあ小傘って子としてこようかな。あなたの弟さんにけしかけてみるのも面白そう」

「お、おま……さっきの表情にほっこりした俺の気持ちを返せ……」

「え? もっk」

「言わせねぇよ!?」


 その後、妖精メイドが扉を叩く音で、真次はルーミアと共に部屋を出た。

 朝早くから疲れた彼だが、二人が一緒に寝室から出たと言う噂が妖精メイドの間で広がってしまい、後々トラブルに繋がるのはまた別の話である。



7月7日 6:31

すいません、話としてはあまり進んでないですね……しかも見たことあるような展開だし……困ったらお色気に走る癖は直した方がいいですよねハハハ……

あと、ここのルーミアは普段子供っぽいフリしているだけで、中身は大人です。封印に関しても、そこまで嫌がってはいない様子。

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