STAGE 3-9 再会Ⅱ
1年と三か月ほど音信不通になっていましたが、不定期でまた書いていきたいと思います!
7月6日 16:30
「これで全部か参真?」
「お、大まかなことは……」
射命丸の目の前で、こちらに来てからのことを概ね話すことになってしまった参真と小傘。ようやく兄が引き下がってくれるぐらいまで話したが、正直明日の文々。新聞が怖い。現に、真次の隣にいる射命丸は何度も怪しい笑みを浮かべていた。
「あ、そうだ。最後にひとついいか参真? 甥っ子か姪っ子か知らないが、いつぐらいに顔を見れそうだ?」
「ぶっ!?」
あまりにもド直球な物言いに射命丸も噴き出した。デリケートな話題をしてもいいと彼女は言われてたが、ここまでは聞けていない。しかし、参真の反応は――
「うーん……コウノトリの気まぐれ次第かなぁ? ……って、幻想郷ってコウノトリいたっけ……?」
などと、大真面目て腕を組みながら答えるという、なんともすっとぼけた反応だ。一方、隣の小傘は完熟トマトと言わんばかりに、頬を赤くしていた。朱塗りの和傘も、ここまで赤くはないだろう。
思わず、射命丸と真次は顔を見合わせた。一拍置いて、真次が訊ねる。
「……なぁ参真、お前それ本気で言ってないよな? 不器用なお前なりに考えたジョークなんだよな?」
そうであってくれと内心祈っていたが、残念ながら
「え? 違うの?」
本気でわからないと、参真は困惑している。これが演技なら大したものだが、そんな器用な真似ができているのなら、そもそも彼は幻想入りしていない。
射命丸は苦笑いし、真次はぺちんと自らの額を叩いて天を仰いだ。半ばやけくそ気味に、強い口調で参真に告げる。
「ああ、そんなことだろーと思ったよ! 用事が済んだらここの図書館で、そのことも勉強して来い!! 隣のその子がかわいそうだ」
「ほどほどに甘い空気しか漂ってこないわけです……でもその反応、小傘さんはご存知のようですね? 私としては、そちらも予想外でしたが」
「えっと、その……雨の日の外で傘に化けてたら、男の人が片手で私を差しながら野外で……40歳くらいかな? それぐらいの女の人と――」
「オーケーよくわかった。それ以上は話さなくていい」
どんどん瞳から光が消えていく小傘を見て、真次がドクターストップをかける。初めてみた行為の記憶としては、鮮烈すぎる光景だ。よく性格が歪まなかったと思う。
「……その二人探し出して取材するのも悪くないですかね。ちょっと椛に頼んでみますか」
「止めて差し上げろ。見る方も見られる方もたまったもんじゃないぞ!?」
苦虫を噛み潰した表情の椛が目に浮かぶ。生真面目な彼女は、頼み込まれたら断れそうにない。
「あ、あはは……結構時間が経っちゃってるから、そろそろ行くね」
「おう、引き留めて悪かったな。文の記事になるのを楽しみにしてろよ~」
「どうなるか絶対わかってて言ってるよね!?」
「当たり前だド阿呆」
はぁ、と深くため息を一つ吐く参真。もう話してしまった以上、記事になるのは確定事項である。強く生きてほしいと、真次は無責任に心の中でつぶやいた。
やがて一組の影が館へと消えた後、射命丸は真次に改めて頭をぺこりと下げた。
「いや~ありがとうございました真次さん! おかげで良い記事が書けそうです!!」
「そいつは何よりだ。俺としてもあいつがどう生きてきたのかは、気になってたからな。Win-Winってやつさ。ついでに、ニアについても調べないか?」
「ああ、ここにならその手の資料もありそうですねーでも、それ真次さんは得するんですか?」
「ニアやにとりに、先んじて教えてやってくれ。特にニアな。自分の由来がわからないってのは、かなり不安なことだろうし」
「でしょうねぇ……それじゃ、急がないと泊まりになっちゃいますし、ちゃちゃっとやっちゃいましょう!」
軽い調子で頷いて、二人も館に入る。
木々のざわめきが響く中、紅い館の周辺だけは穏やかな風が吹いていた。
7月6日 16:41
作者も少しづつ感覚を取り戻しながらやっていきたいので、誤字脱字の指摘お願いしますね! 何度も確認したつもりですが、絶対あるだろうからなぁ……




