STAGE 3-7 不明瞭な敵
待たせたな! 最新話っす!!
7月6日 14:50
「ところで真次、一つ聞きたかったのだけれど」
紅魔館・大図書館にて。
全員の治療を終え、一息ついている真次にアリスが聞いた。怪我をした四人についていた黒い炎は彼によって取り除かれ、時期に回復するであろうとのこと。
「ん? なんだ?」
「魔理沙の悪意を切り離したとき、懐から――刃物出したわよね? 治療に使っているものとは別の」
「ああ、あれな。予備だ。いざって時に使えるように数本携帯してる。ほかの道具もちゃんとしまってあるぜ。ちょっとした処置ならすぐできるようになってる」
「……そこまで徹底する必要、あるの?」
「……見てるだけって、辛いからな」
現に今回、途中まで彼は無力に近かった。苦しむ四人に何もしてやれないような時があった。そんな時間は本当に歯がゆい。何のための医者かと考えてしまうこともある。それでも――それでも打てる手はないかと足掻いた結果が――
「ほんと、いい男……」
「ル、ルーミア!? ダメだよ食べちゃ!?」
意識の戻った二人――ミスティアとルーミアと言うらしい――が真次の後ろにいた。
ルーミア恍惚とした様子で、今にも真次に襲い掛かりそうな様子だが、ミスティアが止めている。
「……ま、なんだ。意識が戻ってよかった。怪我自体は大したことねぇから、派手に動かなきゃ問題ない。できれば安静にしていてほしいが……ルーミアがこれじゃな」
やれやれだ。と真次はつぶやく。
処置を終えた後、痛みから解放されたルーミアは、全員の処置が終わった真次を押し倒したのである。危うく食べられそうになったところを、目覚めたミスティアに救われたのであった。
「チルノは笑い疲れて寝ちゃってるし、リグルはまだ目を覚ましそうにないから、私しかルーミアを見張れないのよねー……」
「ねぇミスチー……二人で真次を食べちゃわない?」
「えっと……だめ!」
「オイ、なんで一瞬迷った!?」
若干誘惑に駆られそうになったミスティアを、不安げに真次は見つめる。
「この子も人食い妖怪よ。大丈夫、最悪私が守ってあげるから」
「そりゃ、頼もしいことで。で、アリスが俺をいただくと……」
「そ、そんなことしないわよ?」
「冗談で言ったのに、なんでどもるんだよ……」
目線も泳いでおり、信用しろという方が難しい。何か打算でもあったのだろうか。
「うう……ぐすっ……もう勘弁してくれぇ……」
一方、魔理沙は縛られたままパチュリーにお仕置きされていた。
具体的には、パチュリーが遠隔操作している本が突撃し、角で徹底的に痛めつけるというものだ。地味ながら、しかし痛そうではある。
「拷問はそれぐらいにしてやってくれ。こっちも聞きたいことがある。ああ、この質問はルーミアとミスティアも答えてくれると助かるが……」
「終わったら食べていい?」
「……手製のミルクレープ作ってやるから、それで勘弁してくれ」
「意外ですね」
唐突に咲夜が現れる。未だに慣れず、真次は背筋を震わせた。
「相変わらず突然現れるのな……」
「失礼しました。しかし、真次様が洋菓子を作れるとは」
「暇な時に作って、患者や病院で配るんだ。結構評判良かったぜ? あ、今更ながら、台所と材料――」
「それでしたら、ストックがあるので問題ありません。ただ一つ。私たちの分も作ってくださると助かります」
「んじゃだいたい4つ分だな。まー任せておけ」
真次が話し終わると、再びメイドが消える。神出鬼没もいいところだと、真次はため息をついた。
「さて、話を戻して……魔理沙、ルーミア、ミスティア。お前たちが敵対したのは、黒い怨霊か?」
三人が肯定する。
「うん。刀使いだった。最初は不意打ちでリグルが斬られて――それでからばったり動かなくなったの。急いで距離を取ろうとしたけど、次はチルノが斬られて、なんでか知らないけど笑い出して――」
「介抱していたミスチーが斬られると、すっごく眠そうにしたあと眠っちゃった。最後は、私。一対一になったところを弾幕で押し切られて、刀傷がつくと同時に――激痛が身体と心をんだの。あなたが助けてくれるまで」
「その直後ぐらいか? この私、霧雨魔理沙様が――あ、ごめんなさい調子に乗りましたもう角はやめて!」
浮き上がる本を見て、魔理沙は悲鳴を上げた。よっぽどお仕置きは効いたらしい。
「ちゃんと答えること、いいわね?」
「うう……で、私が倒れてる四人を見つけて、刀使いと一戦交えたんだが、マスパ打ち込んだらすぐ撤退したんだ」
「かなわないと思ったのかしら?」
「そういう感じじゃなかったな……『王もお喜びになる』とか言ってたし。むしろ目的を達成したから、意気揚々と引き上げるみたいな感じだ」
理解に苦しむ内容だが、汲み取れたのは一つ。
「そいつもメンデルさんとグル……なんだろうな」
「王ねぇ……いったい何の王様なのかしら」
「こんだけ派手に、かつ対処の難しい方法で暴れてるんだ。調子にのった裸の王様ってことはないだろう。んで、なんで俺が医者って言ったのに襲い掛かってきた? 普通に俺は案内されていく気だったぞ?」
「うーん……よくわからない。なんつーか、すごくイライラしていたというか、むしゃくしゃして――げべらっ!?」
分厚い本が、魔理沙のへそ辺りに激突した。
「そんな理由で襲い掛かるなんて……ひどいわね」
「幻想郷ではよくあることじゃないか!」
あきれ返るパチュリーに、魔理沙が抗議の声を上げる。
「今はどうなんだ?」
「別にふつうだ。ちょっとした気の迷いだったんだろう。あの妖刀使いの気に当てられたのかもな」
「……ん? 妖刀? ただの刀使いじゃないのか?」
「はっきりとは口にしなかったが、多分な」
ルーミアたちが呪われたのは、妖刀のせいだったのだろう。笑ったり激痛が走ったりする効果は、妖刀の仕業と考えれば辻褄は合う。
「妖刀使いってことは、侍なのね」
「違うと思う。女だったし、衣服も――あれは刀鍛冶の着るものかな」
「自分の作った妖刀使ってる……かしら?」
「の割には、動きが素人じゃなかったぜ?」
広がっていく情報を、真次はメモしていく。しかしどうにも、犯人像がつかめない。
意見が錯綜する中、またも咲夜が出現した。
「今度はなんだ?」
「来客のお知らせです。『西本 参真』様と、その従者、多々良小傘様がいらっしゃいました」
「! おお、よく知らせてくれた咲夜さん! 文ー!」
真次が呼ぶと、疾風のごとく文が登場する。
「呼ばれて飛び出て即参上! 清く正しい射命丸、推参いたしましたっ!!」
「参真が来たらしい。例の計画を実行する時だっ!」
「おお! ついにですか!! 思ったより早かったですねぇ!! あやややややや!!」
「さあ参真、突然にして感動の再会のように見せかけて、地上最大の罰ゲームを食らわせてやるぜー!! フゥハハハハハハ!!」
回りを置いてけぼりにして、意気揚々で気分上々な二人。そのままあやややや、フハハハハと笑いながら、彼らは咲夜に連れられ、参真と小傘の二人に会いに行った。
7月6日 15:34
次回、前作主人公で真次の弟、西本参真の登場であります! 読まなくても大丈夫なように作るけど、読んでくれるともっとわかりやすいかも?(ダイレクトマーケティング)




