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STAGE 3-4 館外の戦闘

遅くなりました! ごめんなさい!!

7月6日 11:44



 改造された魔術銃から放たれた弾丸は、今までと見た目の面では変わりない。しかし対妖怪への能力は向上しているとのことだが、今回の相手……魔理沙は人間だ。さほど効果が実感できそうにはなかった。

 それよりも大きいのは、スペルカードの自由度が大きく上がっていることだろう。今までは爆発系統しか作れなかったが――


「晶弾『クリスタルビット』!」


 たとえば、このスペルカードのように無数の結晶を出現させて、全方位から攻撃させるなどという芸当もできる。時に突撃し、時に真次の射撃と連動し、時に自律的に相手を狙う結晶体を、驚きながらも魔理沙は捌く。


「おお!? なんだその武器! 私によこせ!!」

「だが断る!!」


 美鈴がうずうずしているのが目に入ったので、彼女が突撃できるように弾幕を調整する。

少しの間、彼女と魔理沙の間に弾幕がなくなった瞬間、美鈴は気を込めた蹴りを放った。


「うおぅ!」


 しかし、この攻撃もはずれ、クリスタルビットも当たっている様子はない。……どうやら魔理沙とやらは戦い慣れているらしい。姫さんや永琳たちと同等かもと彼は考えた。ならば、出し惜しみしている場合ではない。当たらないクリスタルビットを解除し、次のスペルカードを発動した。


「怪力『トラクタービーム』!!」


 五つの青白い雷のようなビームが、銃口から魔理沙へと延びる。

 途端、彼女は速度を上げ、それを振り切ろうとしてきた。

 ビームの速度では魔理沙には追いつけない。なので、一本は追跡を続行、三本は近場に植えられていた木へと向けた。


「はん! どこ狙って――!?」


 ビームの当たった木は青白い光に包まれると同時に――ふわふわと浮いているではないか。何が何だかわからず、美鈴が訊ねる。


「真次さん!? これどういうスペルカードなんですか!?」

「当たったものを合計一トンまで自由に持ち運べるビームを発射するスぺカだ。んで、そのままこんな風に――ブン投げる!!」


 木に当たりつつけているビームがうねり、魔理沙の移動するであろう場所に先読みして、木が投擲された。ビームに追われている故速度を落とすわけにもいかず、彼女は弾幕で木を破壊することを選択。強化も何もされていないそれを、あっけなく破壊した。


「ちょっとビビったけど、大したことない――げ!」

 

 その木の死角からもう一本飛んできていて――さらに上からも木が降ってきた。


「っち! 恋符『ノンディレクショナルレーザー』!!」


 ようやく魔理沙が一枚目を宣言。全方位に放たれたレーザーが、二方向から来る木を粉々にした。同時に真次の放っていたビームも攻撃にさらされ、消滅する。全方位攻撃ゆえ、真次のところにも弾幕は来たが、距離もありまず当たらない。


「美鈴!」

「虹符『烈虹真拳』!」


 足を止めた魔理沙に、美鈴の剛腕が迫る。美鈴は何発も被弾しながらも、魔理沙へ肉薄せんと猛然と突っ込んだ。あと少しのところで魔理沙が気が付き――


「おっと! 彗星『ブレイジングスター』」


 今度は星の弾幕に切り替わり、美鈴を迎撃する。無理だと悟った真次は、ビームを美鈴へ射出し、彼女を真次の手元の方へと引っ張った。

 最初こそ美鈴は戸惑いこそしたが、魔理沙の攻撃を見て納得。そのまま回避へと専念する。美鈴を逃がしたあと、真次もスペルカードを解除して弾幕を捌いた。


「そのスペカおかしいだろ!? 攻撃にも補助にも使えるなんて!!」

「文句なら、元ネタの野良犬さんに言ってくれ。多分わからないし無理だろうがな!」

「でも、それだけのことができる武器なんだろ! ますます欲しくなった!!」

「絶対に渡さん!!」

「なら、力ずくで奪うZE! 恋符――」


 魔理沙が何かを構える。美鈴が露骨に焦る。


「真次さん! 特大のレーザーが来ます!!」


 彼女の言葉を聞いて――電流のように真次の脳裏に浮かぶものがあった。……あるいは、本来なら走馬灯だったのかもしれない。彼はあっという間にイメージを練り上げ、魔術銃を魔理沙に構えたまま、動かない。


「……来い!」

「!? 無茶です!!」

「ほう……度胸は認めてやってもいいが……私の必殺技に挑もうなんて無謀だぜ『マスタースパーク』!!」

「雷球……『アサルトスパーク』!!」


 魔理沙の光線に包まれる直前、青年が何か言葉を発した。おそらく、対抗するスペルカードを発動したのだろうが――マスタースパークは止まらない。


「真次さあぁぁぁぁああん!!」


 極光に包まれ、彼が吹き飛ばされたと思った。

 しかし――退避していた美鈴は瞠目する。なぜならば、マスタースパークが届く直前に、黄金色の光を放つ球体が彼を守っていたから。


「『カウンター成立』ってな」

「な!? バリアか!?」

「違ぇよ。こいつは俺の愛機の技。盾にして矛だ」


 球体が徐々に加速し、魔理沙の方へと向かっていく。

 ……魔理沙のマスタースパークは強力だが、一つ欠点がある。それは、使用中ほとんど動けないという点だ。故に彼女は少しずつしか動けていない。


「く、くそ! なんで消えない!?」


 必殺技だから、彼女はこのスペルカードにこだわっている。迫りつつある球体を迎撃しようと照射を続けるが、いっこうに消える様子がない。

 やむなく、彼女は球体が当たる直前でマスタースパークを解除。ぎりぎりのところで球体を躱す。


「『弾けろ!!』」


 ところが、男がその言葉を宣言すると――球体が一瞬で膨張、爆発。強烈な電流を周辺に撒き散らし、魔法使いは当然至近距離にいたために巻き込まれた。


「! あちょー!!」


 被弾の硬直を見逃すほど、美鈴は甘くない。そのまま懐に潜り込み、魔理沙を気絶させた。


「よし、気絶したな。あとは適当に縛りつけて拘束しといてくれ」

「真次さんはどうするんです?」

「霧の湖のけが人を連れてくる。人数が多かったらトラクタービームで運んでくるさ」

「了解しました!」


 美鈴が魔理沙を館へと運ぼうとした時、咲夜が現れて魔理沙を背負い、消えた。……相変わらず忍者じみてると思いながらも、美鈴は門番へ戻り、真次は霧の湖へと飛んだ。



7月6日 12:00

今回は三つスペカが出たのでそれぞれ解説をば


晶弾「クリスタルビット」

 自律兵器のような動きをするビットを十六機射出するスペルカード。突撃したり射撃したりと多彩な動きができる。1対多からタイマンもこなせるスペルカード。


怪力「トラクタービーム」

SF作品に登場するトラクタービームと呼ばれるものを使用するスペルカード。作品によっては荷物を運ぶだけの平和利用のものもあったりするが、共通の特徴として、「ビームに当たったものを自由に持ち運べる」というのがある。今回のイメージの元ネタは、TC4の野良犬。自爆はしない。残念。


雷球「アサルトスパーク」

雷を放つ球体を発射するスペルカード。本来は簡単にエネルギーが切れてしまうという弱点を持っているが、敵弾を吸収してエネルギーを回復するという機能を持っており、弾幕が濃ければ濃いほど維持しやすくなる。(それでも限界があるが)使い手の任意のタイミングで起爆でき、高威力の爆発を発生させる。さらに、「相手が照射系のレーザー攻撃」「スペルカードによる攻撃」かつ「被弾直前に発動」の条件を満たすことでカウンターが成立し、燃費向上、火力増大、球体の攻撃範囲増大および爆発時範囲増大のプラス補正を受けることができる。魔理沙はこだわってマスパを照射し続けたために、逆にエネルギーを吸収されてしまい、裏目に出たという形ですね。

 元ネタはDBACEXの、EX稼働時に追加された機体の技。作者の愛機でもあります。カウンターも原作でちゃんとあったり。

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