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STAGE 2-9 準備中に……

あ、あぶねぇ、ギリギリ連続投稿です! 遅くなってごめんね!!

追記:気にいらないところを修正しました。

7月1日 16:10



「よーし! じゃあ早速準備していきまっしょい!!」

「おー!」


 真次の号令に、村紗が元気よく答えた。

 あの後、聖に無事許可を貰い、マミゾウさんたちに足りない材料の買い足しを頼んだ。特にパンと牛乳は不足気味だったので、多めにお願いすることになった。

 ちなみにチーズはと言うと、ナズーリンが好きなので結構保存してあるらしい。流石に寺の人物たち全員分を賄うことはできないが、いくらかは使ってしまっても大丈夫だそうだ。


「ところで先生、あんな指示だしてよかったの?」

「ああ、それについては大丈夫。そういう料理だからコレ」


 真次が出した指示とは、「古くなって硬くなったパンを優先して安く買ってきてくれ」というものだ。チーズフォンデュは液状チーズにつけて食べるので、あまりパンの質は問わない。むしろ、高級なパンや柔らかいパンはもったいないのである。彼が自宅で作った際、いくつかの情報源を漁ったが、これについてはどこも同意見であった。


「そうなんだ。てっきり気を使ったのかな~なんて思ったんだけど」

「元は固いパンをおいしくいただくための調理法らしいぞ。コストも下げる、食べ物を無駄にしない。何も間違っちゃいないよな」

「だね~」


 村紗は野菜をゆでるのを担当してもらうことになった。この作業は彼女も慣れてるというのが理由である。一方真次は、おろし金と格闘していた。チーズフォンデュは、チーズを一回細かくしなければならない。そのため、おろし金を使っているのだ。


「結構手間だね」

「ああ、でも美味いぞ~上質なチーズだし、期待できるな」


 ゴリゴリとチーズを削っていく真次。途中から手の空いた村紗も加わり、作業は順調に進んでいく。はずだったのだが――


「なぁ村紗、なんか近くないか?」

「ん? 邪魔?」

「そうは言わんが……」


 一緒に作業をしていると、妙に村紗がくっついてくる。見た目年頃の娘と共同作業で、真次はドキマキすることはないのだが、普通はするものだろう。……嫌な予感がした真次は、一見あさっての方向にも見える質問をした。


「ところでさ、俺を引き止めたのって村紗の独断か?」

「ん~……そうだね。先生には行ってほしくなかったし。真次先生のことも……嫌いじゃないし」

「……ジーザス」

「???」


 またか、と真次は頭を抱えそうになった。自分でもうんざりする性質である。誰かに好かれるのはいいのだが、こうも過剰だと泣けてきた。


「一応釘さしとく。間違っても俺に惚れるなよ?」

「な、なにそれ……真次ってもしかして自信家?」

「……俺は誰かを愛せないからだ。間違いなく相手は不幸になる」

「私が妖怪だから?」

「それは関係ない。人間でも妖怪でも……俺は怪我人を見るとそいつを助けたくて仕方なくなって、『平等に』『患者として』見ちまう。そういう生き物なんだよ。俺は。んでもって、恋人より患者の方が大事なんだ」


 村紗が、手を止めた。少し怒っているようにも思える。


「そんなの、やってみなきゃわかんないじゃん」

「……五回もやって全部同じ結果だったんだぞ? 自信なくすぜ」

「次は成功するかもしれないよ?」

「それでまた誰かを傷つけろと?」


 真次も作業を一旦やめて、村紗の方を見た。ふくれっ面である。そしてしばらくお互い黙り込んだ後――村紗は青年を指さして言った。


「……私は……そんな風に真次が逃げてるなら、どこまでも追いかけてやるんだからね! 絶対振りむかせてやるんだから!!」

「……はぁ」


 色々話したせいで、逆にムキにさせてしまったようだ。適当に流しときゃよかったと後悔しつつ、作業に戻る。


「あっ! 何よそのため息は!?」

「あーあ……ちょっとタバコ吸ってくる」


 真次がポケットからタバコを取り出し、一旦外に出て吸おうとした。だが、その途中で村紗にタバコを取り上げられてしまう。


「ここはお寺だから禁止! 残念でした~!!」

「おま! ちょっと返しやがれ!! 現代のタバコは貴重品なんだぞ!?」


 やんややんやと、二人は騒いで――そうこうしている内に足がもつれてしまい――真次が村紗を押し倒すような格好になってしまう。


「あっ……」

「あ、あぶねっ!!」


 真次がなんとか身体を入れ替えて下になる。鈍い衝撃が襲ったが、幸いどこも怪我はしてないようだ。そのまま村紗は真次の身体に覆いかぶさる。


「……何よ、その気ないふりしただけ?」

「だったら、こうして体入れ替えてねぇよ……早くどいてくれ」

「む~……やだ。抱きついて鼓動が早くなってないか聞いてやる!」


 村紗が身体を思いっきり寄せてきた。やれやれだぜ……と、真次が気の済むまで村紗にやらせようとしていた、その時であった。調理場の扉が開かれ――買い足しから戻ってきたマミゾウさんがニコニコしながら突撃してきたのは。


「真次や! 頼まれた通り色々安く仕入れてき……」


 荷物を落として、話している途中でマミゾウが硬直した。


「スマン。お楽しみの最中じゃったかの」

「ま、待ってくれマミゾウさん! これは誤解だっ!!」


 真次の弁明に、村紗が抗議の声を上げた。


「……ひどい! ここまでしても私のこと意識しない訳!?」

「あ~……状況がよくわからんが、食材はわしが全部ここに置いておくから、好きなだけやっとれ」

「いや、ちょっと助けて欲しいんですが!?」

「し~ん~じ~私を見ろ~!!」


 抱きつき続ける村紗に、放置を決めたマミゾウ。

 この後なんとかチーズフォンデュの準備を終え、皆の前に運ぶことになる。その時村紗は不機嫌、真次は疲れた様子だったのだが、後に命蓮寺の主要メンバーは真相を知るのであった。



7月1日 17:59


 キャプテン・ムラサにも好かれる主人公……そして本人はノリ気じゃないという。それでますますムキになるムラサ。しかし無視する主人公……あれ? これってもしかして無限ループじゃね?

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