STAGE 2-2 人里へ
追記:気にいらない部分があったので修正しました。
6月28日 12:36
「へー……結構にぎわってるんだな、人里って」
道行く人や妖怪たちを眺めながら、真次はそう言った。
「そうですね。主要な施設はほとんどここですし、人間にとっての安全地帯でもありますから」
彼の隣に歩いているウドンゲが答える。姫さんの説明で大体把握していたつもりだが、ここは予想以上の集落だ。店も色々あるし、暇することはないだろう。
昨日は永遠亭で患者を診ていた真次だが、まだ幻想郷のこともよく知らないだろうということで、ウドンゲと共に人里に赴くことになった。ウドンゲは仕事も兼ねているらしく、薬箱を持って色々家を回っている、その間真次は一緒にいるのだが、彼女が人を連れて歩くのが珍しいのか、はたまた真次の格好が目立つのかは不明だが、やたらと視線を感じる。
「ところで、ウドンゲちゃん。その見かけない男性は彼氏かね?」
ある家に立ち寄った際、恐らくは冗談半分だろうが、そんな風に聞かれた際、ウドンゲは、
「いいえ、最近永遠亭に来た外来のお医者様ですよ。師匠も認めるすごい人なんですから」
「……そうだったのか? 初耳だぞ?」
「これはすごいことですよ真次先生。師匠が人を認めるなんてめったにないんですから」
「まぁ、あんだけ万能だったら、大概は自分より大したことなくなっちまうわな」
「あ、私も真次先生のことは尊敬……というより、ライバル視してるんで」
「薬の分野だったら、まだまだウドンゲ先輩の方が上だろうに」
先輩、の発言にウドンゲは吹き出した。よほどおかしかったらしく、そのままおなかを押さえている。
「ほっほっほ。仲がいいのう……子供ができるのを楽しみにしとるぞ」
「いやいや、それはねぇよ爺さん」
「そうですよ。それでは、お大事に」
とまぁ、こんな感じにからかわれたりしたのだが、特に大きな事件もなく最後の二軒を回る。
そこはひときわ大きい家であった。向こうの世界でも、これは豪邸の類に入るだろう。
ウドンゲが戸を叩き、やがて一人の女性が顔を出した。
二人は顔なじみのようで、スムーズに話が進んでいく。
途中まで真次には気がついてなかったようだが、途中で気づくと彼女はこう言った。
「おや、隣の彼はもしかして、妹紅の言っていた外来人か?」
「ん? 妹紅を知ってるのか?」
「ああ、古い付き合いだからな……君が妹紅を助けてくれたのだろう? 改めて礼を言わせてくれ」
そうして白い髪を持つ、青を基調とした服を着た彼女は頭を下げた。
「医者として当然のことをしたまでさ。ただ、まだ犯人はとっちめてねぇから、油断ならねぇがな」
「そうだな。里の退治屋たちも動き始めているが、どうにもすぐ逃げてしまうらしくてな。倒すことができてない。……ところで、君は何か勉強を教えたことがあるかね?」
「ん~……やったことはないが、数学と生物学ならいけると思うぞ。どうして急に」
「ああ、慧音さんは寺子屋で先生をしているんですよ。それで、たまに講師をしてくれないかって永遠亭に来たことがあってですね……私も一回やったんですが、上手くいかなくて……」
真次の疑問を、ウドンゲが補足してくれた。なるほど、いろんな人間が教えた方が、確かに面白いだろうし効率もいい。
「どうだい、一回子供たちに勉強を教えて見る気はないか?」
「今は怪我人が増えてきているからちと厳しいが、時間のある時にやらせてもらおうかね」
「そうか。その時を楽しみにしているよ」
にこやかに慧音との会話を終え、次の家である稗田邸へと向かう。
こちらも、負けず劣らずの豪邸であった。
「稗田家の人は幻想郷縁記といって、幻想郷の歴史をまとめたものを書いているんですよ」
「へぇ、それは一般人には公開されてないよな?」
「原本はそうでしょうが、複製したものならあると思います。慧音さんに教えてもらうのもいいかもしれません」
「歴史の授業担当だったのか、あの人」
こちらは使用人と思われる人物がウドンゲと話をして終わりであった。幻想郷縁記をまとめてる人物には会えないらしい。異変中なのもあって、警戒しているからだそうだ。残念。
「さ、これで全部です。お昼食べに行きましょうか。真次先生はお酒飲めます?」
「昼から飲むのか!?」
「えっ? 幻想郷では普通ですよ? みんなお酒大好きですから」
「……酒に強くてよかった」
「なら、大丈夫ですよね。オススメの店が近いのでそこにしましょう」
ウドンゲに連れられるまま、真次は酒場を目指す羽目になったのであった。
6月28日 13:16
さて、前作主人公が行きたがらなかった人里ですが、今作主人公は特に問題もなく人里へ。慧音もチョイ出。阿求は出そうか迷いましたが、まだ早いと判断して出しませんでした。




