表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/216

STAGE 2-1 情報交換

6月27日 14:14



 真次が幻想郷に来てから、一週間が経過した。

 この一週間は過ぎて見ればあっという間だったが、実に濃厚な一週間であった。

 異世界に連れらると思いきや、謎の獣に襲撃され、藍を治療することになり……弾幕ゴッコ習得、幻想郷の把握、妖怪の勉強、呪いの正体の解析、ニアとの遭遇、妹紅戦、輝夜と添い寝……これが濃厚でなくて、何なのか。

 なので、昨日は一日ゆっくりと休養していた。今日は妖怪の怪我人がちょくちょく来ていたので、その対応をしていたのである。

 というのも、ここ最近妖怪の怪我人の数が、急激に増えている。しかも、迷いの竹林だけでなく、他の場所でも起こり始めたようで、様々な妖怪たちを手当てするために、永琳一人では回らなくなり……真次も対応しているというわけだ。


「ところで文、お前にこの怪我をさせた奴、黒い狼か?」


 幻想郷に入って比較的すぐ出会った人物である文の手に、ガーゼを当ててやる。幸い軽傷なので、消毒とガーゼさえ当ててればすぐ治るだろう。


「いえ、それが……確かに黒い狼たちもいたのですが、その中心に人影……あれは怨霊だと思いますが、とにかくそれがいました。取材を試みたのですが、話しかけた途端攻撃されこのザマですよ」


 やれやれと首を振りながら、文はそう言った。


「しかし厄介ですねぇ……普段なんともないだけに、煩わしく感じます」

「人間だとそれが当たり前なんだがな。ところで、ニアの様子は?」

「ニア? ああ、河童のところに居ついた付喪神のことですね。騒動の時に真次さんも居合わせたんでしたっけ。相変わらず正体はわからずですが、にとりさんのことを母親と呼んで懐いてます。引き離すのもかわいそうだということで、にとりの研究所で住まわせることになりそうです」

「そうかい……処置終わったぞ」


 文が伸ばしてた手をひっこめ、一つ伸びをしてその場を立った。


「そう言えば、人間は来ないんですか?」

「人間にとってはここ立地悪いし、普段通りだが」

「あやや? それも妙ですね……」


 真次が続きを促すと、文は情報を教えてくれた。


「いえ実は、人間も襲われているようなのですが、狼たちは弾幕を浴びせるだけ浴びせたら、撤退してしまうそうなのですよ。人里の村人が、複数人証言していたので間違いありません」

「なんだそりゃ?」

「しかも、弾幕自体に衝撃などはあるのですが、傷も残っていないという……」

「……それって攻撃する意味があるのか?」

「わかりません。ただ、意味もないことをするとも思えませんよね?」

「知能が低いとかか? いや、それだったら本能に任せて襲いかかってくるか……」


 真次は今までの情報を元に考え込む。奴らは、幻想郷に敵対する勢力なのは間違いなさそうだ。

 ならば人間に攻撃する際も、文の言うとおり意味がある可能性が高い。自身のメモ帳を文にも公開しながら、二人で話を続ける。しかし、次の患者も待っているということで、結局情報を交換するだけで終わってしまった。


「これからひと波乱、起きそうですね」

「それは間違いないと守矢の神様も言っていた。文、無理するなよ? ヤバイ情報掴んで消されたなんて最悪だからな」

「私は自他共に認める幻想郷最速ですよ? そう簡単には捕まらないのでご安心を」


 最後にそうとだけ告げて、文は診察室を去る。

 残された真次は、次々と来る妖怪の患者の対応に追われた。



6月27日 14:20


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ