STAGE 1-14 竹林の狼たち
今回も短いよ!
6月25日 09:14
「はぁっ……はぁっ……!」
息を荒く吐きながら、その少女は竹林を駆ける。
どうして……どうしてこんなことになってしまったのだろう?
……迷いの竹林で、見馴れない狼の群れを見つけた。
黒い気配を纏い、鎖が巻きついているのが気になったが、狼仲間であるのには違いないと思い、彼女はその狼たちに話しかけようとした。
向こうが気がつくや否や、いきなり弾幕による攻撃にさらされる。しかも、スペルカードの規格外のもので。
慌てて彼女も反撃したが、いかんせん数が多い。とてもじゃないが、一人で撃退出来そうにないと感じた彼女は、こうして逃げに転じているというわけだ。
「っ――」
被弾した部位が疼く。弾幕を受けたせいかどうかは知らないが、妙に身体が重い。満月の夜だったら、変身して軽く振り切れるのだろうが、残念ながら今は早朝。とても変身はできそうにない。
相手の狼たちの放つ弾幕が、彼女の頬を掠める。確実に距離は縮まりつつあった。そうこうしている内に、弾幕が足に当たってしまう。
「あっ……」
そのまま体勢を崩し、彼女は転んでしまった。あっという間に狼たちが彼女に迫る。
近場で誰かの声が聞こえたが、そんなのを気にしている余裕はない。
狼たちは何匹か集まるのを待ってから、彼女に襲いかかる。その時だった。
彼女の後ろの方から、先ほど誰かの声がした方から、何発か弾が飛んできて炸裂した。
ちょうど狼と彼女の間で爆発を引き起こし。狼たちは爆風に突っ込んで焼かれている。
「煙弾『スモークランチャー』」
爆風が消える前に、さらに追加で弾幕が飛んでくる。今度は煙幕のようで、周辺が煙に包まれた。
刺激物は入ってないようだが、唐突な煙幕に彼女は咳き込む。だが、それは残った狼たちにも効果的なようで、一瞬狼は彼女を見失った。
「嬢ちゃん、こっちだ!」
誰かの声に従い、彼女は煙幕から出ると、そこには銃を構えた白衣の男がいた。
「あの、あなたは……?」
「説明は後だ! とりあえず永遠亭まで逃げるぞ!」
彼は人間のようだが、狼たちと違ってとりあえず味方らしい。
時折彼が煙幕を張りながら、二人は永遠亭まで竹林を駆け抜けた。
***
「……っち、逃したか」
同朋がやられたとの報告を受けた彼女は、迷いの竹林へ来た。
自分たちを解放した男の指示で、妖怪、人間問わず襲撃をしているところなのだが、どうやら逃げられてしまったらしい。
「まぁいいわ。妖怪も、人間も、いくらでもいる――」
残った彼らをなだめながら、背後から迫る妖怪に気がつき、彼女は――
「妖刀『殺妖』」
一族独自の波紋を持つ刀を取り出し、飛びかかってきた妖怪を切りつける。
浅く入ったが、妖刀の効力により妖怪は膝をついた。そこに一斉に同朋が飛びかかる。自分たちの呪いにより、再生もできないまま妖怪は彼らに喰われた。
「『牧師』は拠点を作ると言っていたけど、あまり襲撃には乗り気じゃなかった。『聖女』は宗教家を狙うと言ってたわね。『戦神』は強い奴らの所に放りこまれたみたいだし、我らの王は結界の起点を探すと言っていた……」
自分はどうしたものかと思案する。自分も拠点を作って新しい刀を作るのも悪くないのだが、手持ちの刀でも十分機能する。それに――いくら刀を作っても、一族の残したモノを消し去ることはできないだろう。ならば、逸話を広め、受け入れた連中を一人でも多く切り伏せた方がいい。そちらの方が胸がすく。
「時間稼ぎに使われているとはいえ、好きにしていいのだから……暴れさせてもらうわ」
そして『刀鍛冶』と呼ばれた彼女は空を飛ぶ。
自らの無念を、一族の無念を晴らすために。
6月25日 09:56
さて、今回登場した彼女ですが、一人は東方シリーズやってる人ならたぶんわかったかと。もう一人はオリキャラです。これだけで正体わかったらすごい。




