STAGE 1-10 報告
6月24日 11:57
「ぱたん・きゅ~……」
そう言いながら、ぐったりと真次は倒れ込んだ。
昨日、あのあと無事に永遠亭へ帰還した真次であったが、色々あったうえ遅かったので、夕食と風呂を済ませたら即座に眠りについた。
で、翌日永琳が真次に昨日のことの聞いたところ、よせばいいのに彼はこう言ったのだ。
「フハハハハ! 昨日のことを聞きたければ力ずくで聞きだすがいい!! デュエルッ!!」
……要は、弾幕戦で勝ったら教えるというもので、ニコリと微笑んで永琳は了承。完膚無きまでに彼を叩きのめしたというのが、事の顛末である。
ただ、少々意外だったのが――
「いつの間にスペルカードが使えるようになったのです? ちょっとびっくりしました」
そう、行きの時はスペルカードが使えなかったはずの彼なのだが、いつの間にか使用できるようになっていたのだ。それを試したいから、彼は弾幕ゴッコを申し込んだのだろう。
「それも含めて説明するぜ。守矢神社でな――」
そして、彼は事細かに永琳に昨日のことを報告した。どうやら呪いではないものの、強烈な負の念があの症状を引き起こしているようだ。
「これから被害も拡大していくかもしれませんし、厄介ですね」
「ああ、だからサンプルの解呪は頼まなかった。あ、それとさ永琳先生、望み薄だとわかってて聞くんだが、ここに向こうの宇宙工学に関する本ってあるか?」
なぜ、と尋ねると、昨日にとりの研究所付近にて、宇宙と関わりのある機械の付喪神と一戦交えたらしい。自分の名前を忘れてしまっていて、さらには母親を探しているそうなので、力になれないかと考えているようだ。残念ながら、月の博覧会は姫様がやっているものの、現代の資料はない。
「そうかー……そりゃ残念。で、どうだった俺のスペカ」
彼の使用したスペルカードは三枚。
一枚目は面倒と言うだけで、一対一での戦いではそこまで強くない。使い道は多そうではあるのだが。
二枚目は完全に遊びで作ったらしく、見た目などにも重点が置かれている。とはいえ、これも脅威ではない。
三枚目に関しては、幻想郷に入って数日の人間の作ったスペルカードとは思えない出来で、これは永林も少々手こずった。十分実用圏内である。あるのだが……
「何と言いますか、火力不足ですね。三枚目も突っ込ませられれば威力はあるんでしょうけど……」
「あー……なるほど。確かに。じゃあ四枚目はそういう方向性で作るか」
「どうしてそんなにすぐ作る必要が? 焦っているようにも感じられます」
「妹紅と一戦する約束しちまってな。退院したらすぐやることになりそうなもんで」
妹紅は今日の午後退院することになっている。それならばもう、対戦まで数時間しかない。彼が焦るのも納得がいった。
「……はっきり言っていいですか?」
「いや、負けるだろうけどさ。ボロ負けど善戦じゃ違うだろ?」
「それはそうですけど……ムキになって怪我しないでくださいね」
「ああ、気をつける」
くるくると銃を回しながら、真次は答えた。妹紅は手加減するだろうから大丈夫だと思うが、となると怪我の要因として、彼が無茶するのが恐い。
「さて、時間とらせて悪かった永琳先生。そろそろ診療に戻った方がいいんじゃないか?」
「まだ患者は来てないので、もう少しお付き合いできますけど?」
「いいのか? じゃあ四枚目の試し撃ちさせてもらおうか」
「もう出来たんですか!?」
まだ少ししか経ってないはずだが、彼はスペルカードを作ってしまったらしい。
「パワータイプの技だから、至ってシンプルだぞ? 多分永琳先生には当たらないだろうなぁ……いや、妹紅にも当たるか微妙かも?」
「気持ちで負けてたら、弾幕ゴッコでは勝てませんよ?」
「あくまで単体だったらの話さ。ちゃーんと当てる手順は考えてある」
ニヤリと真次は笑う。どこか挑戦的な彼の笑みだが、すごく楽しそうであった。
そして二人はもう一度空へと飛んでいき、永琳は彼の四枚目のスペルカードを目にすることになる。
豪快にして単純。故に強力な彼の、切り札を。
6月24日 12:11
さすがに永琳との戦いはムリゲーだったのか、真次君はあっさりとやられてしまいます。スペルカードはもう少し先になったら出てくるので、ちょっと待っててね!




