STAGE 0-2 交渉
はい。非常に時間がかかりました。
そうそう、その間に作者の妄想が爆発し、新規ルートが開拓されたので、既にヒロイン投票して下さった方の中で、新キャラにしてくれーという場合は一回のみオッケーです。
そうなった場合、「やっぱナシ!」というのは出来ないのでご注意を。こっちも混乱してしまいますので……
(これが彼の……ふぅん。なかなか悪くないツラじゃない)
久々に現世へと舞い降り、ターゲットとなる人物の印象は、紫にとって想像以上に好ましいものだった。
紫が彼の元に訪れた時に、怪異を察知することのできる、鋭い直感。
それを受け入れ、状況を認識し、かつ取り乱さない優れた頭脳。
何より、不安があって然るべき時に、不敵に笑い、冗談も交えるタフな精神力――すべてにおいて、彼は優秀な人間だった。
「……知らない名前だな。いや、忘れられたモノの楽園だから、秘匿してんのか?」
「ご明察ですわ♪ で? お返事は?」
形だけそう言って、紫はスキマの準備をした。彼の返事がYESであれ、NOであれ、こうして幻想郷の存在を知られた時点で、『現世』に長いこといられるのはリスクが高い。
ジッと彼のことを見つめて待っていると……男は少々考えて――どちらでもない答えを出した。
「あ――……魅力的な提案ではあるんだが……あと一日だけ待ってくれねぇか? 明日は手術があってだな……」
「それは貴方だけにしかできないことなのかしら?」
有無を言わさず幻想郷へ連れていくつもりだったが……紫にとって、この反応はなかなか新鮮だった。故に、それが本当かどうかは捨て置いて、彼の話を聞いてみることにする。
「技術的には俺でなくてもいいんだが……二年前のある出来事の時に人間不信になっちまってて……信頼
を得るまでかなり時間がかかってる。このタイミングで担当医のオレがいなくなったら、『逃げた』と思われて、二度と手術なんて出来やしない。それに……」
「それに?」
「――カッコ悪い!」
ニカッと、快活な……悪く言えば子供のような笑みを見せて、そんなことを大真面目に紫へと告げる。彼女はしばらくあっけらかんとしていたが……
「プッ……フフフッ」
小さく息を漏れるような笑い声が、静寂に響く。青年はそれを聞き逃さなかった。
「オイコラ! 笑うな!! 男の子にはプライドってのがあるんだぜ!?」
「い、いえ……でもあなた、『男の子』って歳でもないでしょうに! ああもう! この誘いにここまでおかしな返答をしたのあなただけよ! アハハッ!!」
堪えきれなくなって、腹を抱えて笑いだす。そんな紫に顔を真っ赤にして、彼は怒鳴るように叫ぶ。
「う、うるせぇ! 人の命を救う大事な話だろうが! そこはむしろ、イイハナシダナーと相槌打ってくれよ!?」
「イイハナシヨネー」
「こ・の・や・ろ・う・っ・!」
こめかみに青筋を浮かべ、拳を振るわせる青年。医者にあるまじき言動だが、何故か妙に好感が持てる。
「あーーおもしろい! 面白いわあなた。いいわよ? これだけ愉快にさせてくれたお礼で、一日ぐらいなら居させてあげる、ただし――」
「――他言不要。その他幻想郷を指し示したり、自分がいなくなるみたいなことを言うな、だろ? 隠してる以上、広められちゃ困る訳だしな。
そういや、世界の移動なんざ大がかりなことやるんだが、ちゃんとその世界を管理してるやつに許可貰ったのか? いきなり危険分子扱いされて、『消えなさい……イレギュラー!!』な展開はゴメンだぞ?」
紫が条件を言おうとした矢先に、彼はそれを言い当て、こちらに落ち度がないかを正確に問いかけた。一見、あまり賢そうに見えないが、相当に頭の回りは早いようだ。
「それなら問題ないわ、私がその管理者ですもの。『八雲 紫』――固いから『ゆかりん』と呼んでね♪」
「そうかゆかりん。じゃあ明日の……夜十二時ぐらいに頼んだぞ、ゆかりん」
「えっ?」
相手を困惑させるつもりで、『ゆかりん』とあえて言ったのだが、普通に流され連呼されてしまった。逆にこちらが困惑させられてるところに、何気ない口調でこちらに彼が話しかける。
「? どうしたゆかりん? あ、時間の都合が悪いのか? ゆかりん」
「そ、そういう訳じゃないんだけど……ゆかりんって呼ぶのに抵抗ないの? あなた」
「??? 本人がいいって言ってるなら、それでいいんじゃねーの? 悪口とかじゃないんだろうし……
何か問題か?」
「ま、まぁ……『BBA』とか言われるよりはずっといいけど……」
「お前は何を言ってるんだ? どーみてもゲームとかに出てくる美少女だろうに」
「っつ~~~!?」
予想だにしない褒め言葉に、つい顔を背けてしまう紫。そんな彼女をみて、ますます男は調子に乗った。
「おっやあ……? 初心い反応ですのぅ……かわいいじょん? 『BBA』なんて言われる要素なんてないじょん?」
「お、お世辞はいいわよ……」
「世辞って……まさか幻想郷って、みんな女性のレベル高いのか? なんなら、ゆかりんがこっちに移住しちゃえばモテモテだぜ?」
「も、もうぅ……と、とにかく! 明日の夜12時……明日とあさっての境界で待ってるわ! 真次!!」
弱った紫は大慌てでスキマを開き、逃げるように病院を去る。
「おー洒落た捨て台詞だこと……ってあれ?」
呑気にその場で手を振りながら、青年はふと考える。
「……オレ名乗ったけ? ま、一世界の管理者なら調べててもおかしくねぇか。なんか妙チクリンな空間も……『扱ってるって』言うのか一番適切なのかね? まぁいいか、時間ももらったし、手術と出かける準備をしときますか」
少々気にかかることがあったようだが、軽く考えてから、『真次』も静かにその場を去った。
新規追加キャラは、
メイリン
マリサ
ミスティア
天子
小悪魔
以上五名になります。
投票状況は、
アリス
咲夜
妖夢
藍
村紗
輝夜
妹紅
うどんげ
に一票ずつとなっており、ハーレムに関しては、有りが2、無しが1票となっております。