STAGE 0-22 永琳先生の妖怪医学講座
永林の授業ってどんなんだろうね。
6月22日 11:50
(な、なんでこの速さで覚えられるんですか……!?)
ウドンゲは驚愕していた。あまりにも早い彼の知識を吸収する能力に。
現在、永遠亭の一室で、真次は永琳による医学講座を受けていた。ウドンゲはおさらいも兼ねて、ここにいるのだが……
「よし。大体覚えた。妖怪は基本的には外科の治療を必要としないが、再生するときに体内に異物が混入してしまった場合などは、摘出する必要がある。妖怪の薬は人間には強過ぎ、人間の薬は妖怪には毒だから使い分けが必要。また、謂われのある武器での傷なども回復が遅い。呪いや毒物等で傷が回復しない場合も処置が必要……動物の部分が混じってる妖怪は、その部分の処置は各々、元々の動物と同じような構造。なお、弾幕による傷は火傷に近いのでそちらを参照。妖怪に関しては基本こんな感じか。魔法や巫女の秘術などがある分、こっちの世界では外科医の必要性は低いが、人間に関しては今までの俺の技術は十分通用する……だったな」
「それだけ覚えていれば、外科医として困ることはないでしょう。薬の種類も覚えましたか?」
永琳が聞くと、真次先生はよどみなく正解を口にする。しかも――相当量の薬の数を。
(ま、まだ二時間ですよね……?)
ウドンゲには信じられない。初めは、かなりゆっくり基礎妖怪医学を教えていたはずなのだが、いつの間にか応用や外科、精神から薬学の部分まで真次が聞き始めたので、永琳は速度を上げた。ウドンゲは薬学の部分はきっちり叩きこまれたので問題なくついていけたのだが、そのほかの分野は、理解するのがやっとである。
それを、この先生は理解し完璧に記憶している。……新聞記者との話を立ち聞きしていたのだが、「神童」やら「魔法使い」のあだ名は伊達ではなさそうだ。
「はい、全部正解です……ウドンゲ、しっかり勉強しないと、真次先生に抜かれるわよ?」
「で、ですね……」
油断すると本当に知識量で抜かれかねない。ウドンゲは、これからはサボらずに精進することを内心誓った。
「ああ、永琳先生、質問いいか?」
「とことんお付き合いしますわ。ここまで出来のいい生徒だと教えがいがあります」
永琳は永琳で、真次先生のことを気に入っているらしい。天才ゆえ理解されなかったことも多いのだが、真次先生は医学分野に関しては、彼女についてこれるようなのである。
「妖怪が精神的に……要は、完全に死ぬケースってどれぐらいある?」
「まず精神の寿命が来てしまうこと……これは、妖怪としての存在意義を失ったり、刺激が無くなって精神が衰えてしまった場合ですね。他には、怨霊に精神を乗っ取られてしまった場合でしょうか。なので、妖怪にとっても人間にとっても、怨霊は厄介な存在なんですよ。最近復活した怨霊は、比較的話が通じるという噂ですけど」
「主に怨霊の出現地帯は?」
「幻想郷では、地底という場所に集まっています。行く際には気をつけてくださいね」
永琳の話を、一つ残らず吸収していく真次先生。その才能は、ウドンゲから見ても眩しく映った。
6月22日 12:02
ウドンゲ視点でみた真次先生の医学に関する能力はチートという回。
医者は頭よくないとやってられない職業なので、真次君はメチャクチャ頭いい上、回転も速いです。他にも、外科医なので、指先が異様に器用だったりします。