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STAGE 0-20 銃と弾丸

一日空きましたが、どんどん投稿しちゃうぞー!!

6月21日 13:20



 先ほどの騒動から一段落し、真次はウドンゲと共に永遠亭の庭にいた。

 永琳先生の診察によると、もう妹紅はほぼ全快の状態らしい。が、大事を取って、三日ほどここで休ませることにした。

 一方藍の方は妹紅と異なり再生力が発揮されていない。なので、彼女より多めに休養をとる必要がある。

 

「違いは、何なんでしょうね?」

「さあな……永琳も呪いは専門外って言ってたし、早いとこ巫女だっけか? に、調査を依頼したいところだな」


 あの荒らされた竹林の死体たちから、永琳はサンプルとして肉片の一つを凍らせた状態にしているらしい。それを、呪いの専門家である巫女に見せれば、何かわかるかもしれないとのことだ。だが……永琳はここの主治医で、動くのは難しい。なので、真次が行くのを申し出たのだが、


「弾幕も撃てないのに自殺行為ですわ」


 と、言われてしまい。現在弾幕ゴッコを習得すべく、ウドンゲに教えてもらっているところである。


「さて、余計なおしゃべりはこれぐらいにして……弾幕の撃ち方がわからん。どうすりゃいい?」

「と言われましても……弾丸や軌道をイメージしながら発射するとしか……」


 どうも、空を飛ぶのと同様、感覚に依るところが大きいらしい。となると、飛んだ時同様、弾を発射する道具か何かをイメージすればいいのだろうか?

 そこで真次は、小指と薬指だけ握り、中指と人差し指はぴったりとくっつけて伸ばし、親指を立てる。ちょうど銃をイメージした形だ。その様子を見たウドンゲが話しかけた。


「あ~銃をイメージしてるんですね。それでしたら、補助的な道具がありますけど」

「マジでか! ちょっと貸してもらっていいか?」

「今はもう使ってないからあげますよ。ちょっと待ってて下さい」


 するとウドンゲは駆け出し、恐らくは自室へと向かっていった。その間に真次は、弾を撃つ練習をする。


「撃てる……よな……?」


 両手を先ほどのようにして、目の前の竹林に向かって心の中で引き金を引く。すると、一発ずつ弾丸は放たれた。が、イメージが悪いのか、はたまた真次の才能がないのかは知らないが、僅かに焦げ付いただけで揺れもしない。


「しょっぺぇなぁ……」


 なんとか威力を上げる方法を考える。しかし、手で表現できるのはせいぜいハンドガンが限界で、大した威力は出ないだろう。となると、別の方法で威力を上げる手段を考案する必要がある。


(こういうときは……偉大なる先人の知恵を借りるのが正解か?)


 真次は思い浮かべる……自らプレイしてきたゲームの数々を。そこから武装をイメージするのも考えたが、そんなことより、もっと単純に威力を上げる方法があった。早速試そうとした時、ウドンゲが戻ってきたので、いったん中断することにする。


「真次先生、持ってきましたよ~」

「おお! ……ってこりゃあ……向こうの世界のエアガンか?」


 二丁あるそれを片手ずつ握ると、本物より遥かに軽く、また小さかった。小さな子供向けのエアガンのようだが、持ち運ぶにはこれぐらいのサイズの方がいいかもしれない。珍しいことに、うち一丁はリボルバー式のようだ。もう一丁は、普通のオートマチックのハンドガンである。


「そうですよ。使えないらしくて、香霖堂安く買えた品です」


 試しにリボルバーの方を開けてみたが、弾が入ってないのと、どうやらガスを使って発射するタイプのようなのだが、ガス切れであった。オートマチックの方は普通に弾切れである。


「そりゃあ、弾入ってなきゃ撃てねぇだろ」


 壊れてはいないようだが、当然弾が入っていなければ使えるはずもない。そのことをウドンゲに告げたのだが、それでも彼女は、「使える」という。


「でも、弾幕ゴッコの練習にはちょうどいいと思いますよ? 真次先生は、銃がどんな道具か知ってますよね?」

「まあな。『弾を撃つ道具』だろ?」

「そのイメージなら問題ないと思います。試しに銃に霊力を込めて引き金を引いて見てください。もちろん、おもちゃの弾を撃つんじゃなくて、実銃を撃つつもりでお願いします。もう一度言いますが、イメージが大事ですよ」


 釈然としないまま、真次は目を閉じ、言われた通りに空想を練り上げる。十分に空想が固まった後、両手で銃を構え正面の竹林に向けて引き金を引いた。

 ……実銃と異なり、発射音はほとんどしなかった。また、反動もまるでない。全然撃った気がしないのだが、放たれた弾丸は竹林を大きく揺らした。


「なぁ、手で撃った時と威力が違うんだが……どういうことだ?」

「えっとですね。弾幕を撃つ時って、すごくイメージが大切になるんです。それで、手を銃の形にしただけだと、どうしても陳腐な感じがしません?」

「……まぁ、確かに。でもこれ、おもちゃの銃だから陳腐なのは変わらない――ああ、だから実銃撃つつもりで撃ってくれって言ったのか」


 今までの行動の真意がわからなかったが、真次はようやく理解した。


「ええと、わかりました?」

「ああ。道具はニセモノでも、込められているイメージが本物なら問題ないってことだろ?」


 指で銃の形を作ったところで、引き金を引く訳ではない。その時点で、本物の銃と差異が生まれてしまいイメージに支障が出る。が、エアガンなら引き金を引けば弾が出るのは同様で、放たれる弾丸はイメージを練り上げた霊弾だ。


「だけど先生気がつきました? この方法、四つほど欠点があるんです」

「というと?」

「まず一つ目、『弾が直進のしか撃てず、軌道が読まれやすい』です。当然ですよね。銃をイメージして撃ってるんですから、真っ直ぐしか飛びませんし、向けた方向に発射するんで、簡単に読まれちゃいます」


当然と言えば当然である。むしろ、銃で曲がった弾を正確に当てるなんて化物がいるのなら見てみたいものだ。


「二つ目、『謂われのない武器なので、妖怪に対して効果が薄い』です」

「えっと……確か妖怪は精神の攻撃に弱いだったよな? 霊弾なんだからいいんじゃねぇの?」


 ちっちっちと、ウドンゲは指を振る


「武器を通してるので、それでの攻撃になります。少なくても、撃たれた側はそう感じるはずなので。で、その武器は、『なんの変哲もないおもちゃの銃』なので、効果は低いです。妖怪に当てるなら、さっき真次先生が自力で霊弾を撃ってましたが、そっちの方が効果はあります」

「対物と対妖怪じゃ、効果が違うってことか……んで、三つ目は?」

「はい、じゃあ三つ目『美しくありません』」


 真次は思わずこけそうになった。念のため断わっておくが、何かに躓いたからではない。


「それ欠点か? 確かに姫さんも、弾幕戦は見た目も重視するとか言ってたが……」

「重要ですよ。華やかな攻撃は、相手のヤル気を削ぐんです。対妖怪だと、結果勝利につながるケースも少なくないですよ。で、最後、これが最大の欠点なんですが……『スペルカードが、使えません』」

「はぁ!? オイオイ、欠点ってレベルじゃねーぞ!?」


 弾幕ゴッコの花にして根幹とも言える攻撃、「スペルカード」

 どうやらこの銃では、使えないようだ。それどころか……


「だって、あくまでそれは銃であって、それ以上のことはできません。なので、あくまでそれは補助機械。最終的には普通に手のひらから弾幕を撃って戦えるようになるのが好ましいんです」

「マジか……マジか……!」


 できれば偉大なる先人の方々の技を、スペルカードという形で再現したかったのだが、これでは到底出来そうにない。威力を上げるアイデアも、試しにやってみたが空振りであった。


「……ウドンゲ、俺はこの先生きのこれるのだろうか?」

「それは真次先生次第です! 早くその銃での戦いを卒業して、普通に弾幕撃てるようになりましょう!!」


 真次は大きくため息をつく。

 だが、ウドンゲは知らない――

 この先、彼の銃は『相棒』と呼べるレベルにまで「強化」されることに。



6月21日 13:32


はい。という訳で真次は弾幕を張れるようになりました。が! 作中で書かれた通り、威力は最低ランクでスペカも使えません。今作主人公は空を飛べるので、そこがまだ救いか。

 これから幻想郷の各所を回ることで強化されていくと思います。お楽しみに!

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