STAGE 0-1 夜の病院
初めまして。
あるいは、またお会いしましたねでしょうか? 作者です。
この作品は、現在書いてある作品の一作目で「とびきり甘く!」という要望を頂いたのですが、主人公が全くその気なし……というか、そういうビジョンが影も形も見えなかったので、なら「新しく作品を作ればいいじゃない!!」ということで書き始めました。
ヒロイン投票のルールは、あとがきにて説明いたします。
では、第一話、どうぞ!
夜の病院というものは、いくらか不気味という印象を受ける。
数多の人々が、生死の境をさまよう場所だからだろうか……幽霊騒動は日常茶飯事で、それが山奥ともなれば、外部からの明かりはなく、刺激を抑えるという名目で、電灯もあまり明るすぎるものが使えない。
「先生……まだ残ってたんですか?」
その中でも数少ない安全地帯、医師の詰め所に残っていた一人に、白衣の男が話しかける。
「まぁな。明日はこっち手伝う時間減っちまうし、今のうちに出来るだけやっときてぇ」
軽い口調とは裏腹に、その内容は真剣だ。彼はアメリカの大学に呼ばれるほどの逸材だったそうだが、トゲトゲしさはまるでない。
「気持ちは嬉しいですけど……明日執刀医ですよね? ほどほどにしてくださいよ? あまり難しいオペでないそうですけど――」
「人様の命預かってる訳だからな。気を抜くなんて言語道断ってね。自分で言っといて、これだから困ったもんさ」
「でも、僕の知ってる中じゃ、あなたが一番の医者だ。患者だけでなく、看護師や僕らの間でも評判いいんですよ?」
人望も技術も持ち合わせたこの先生は、着任してからほとんど休みをとっていない。本人いわく、根っからの『医者』だそうで、休むぐらいなら人を診ていたほうが、落ち着くそうだ。
「そうなのか? てっきり上の連中には、嫌われてると思ってたが」
「ここは田舎ですし、俗物が少ないんじゃないですか?」
「かもな。全く都会の連中は……変な権力闘争なんかやってる暇あったら、医学書の一つや二つ読んでろっての……んじゃ、最後に見回りに行って――」
言いながら、テーブル上に置いてあったライターとタバコを、先生はポケットに突っ込んだ。どうやら一服してから、帰るつもりらしい。
「ちゃんと喫煙所で吸ってくださいよ?」
「わかってるよ。んじゃ、明日も……ってお前は休日か。なんかあんの?」
「……彼女とデートです。その、すいません」
「なんで謝るんだよ。プライベートの時間なんだから大事にしとけ。だけどよ……次に会うときには、どうなったか教えろよ?」
懐中電灯片手に、彼はニヤリと口の端を吊り上げる。
それが男の見る、最後の先生の姿だった。
***
(あいつにも彼女いたんだなぁ……)
暗い病棟を歩きながら、そんな思いが頭を廻った。
現在彼は25歳。自分のステータスが優れているのか、はたまた人当たりのよさからなのか、告白されたり、よく女性に誘われる。
容姿はさほど良いとは思ってないのだが、スラリとした体形と白衣のかみ合わせは抜群で、周りからはチヤホヤされることも多い。
(でもまぁ……正直迷惑なんだよな)
ところが、医者として仕事をするとなると、あまり惹きつけすぎると、それはそれで軋轢が生じ、自分の仕事に支障が出てしまう。一応結婚はした方がいいとも思うのだが、仕事優先になってしまうだろうと、彼は考えていた。
(相方に迷惑かけるよなぁ、絶対)
何より、女性に欲求を感じたこともない。一時は異常なものが好きなのではないかと疑ったこともあったが、診断しても何も出てこなかった。
「ま、これは好きなんだけどな」
そう言うと、彼は喫煙室に入り込み、タバコを一つ取り出して、火をつけようとした。
カチッ……カチッ……
誰もいない。足音もない。
暗闇だけがある中で、ライターの音が響く。
カチッ……カチッ……
「あ? ガス欠……じゃねぇな」
燃料を見るが、まだ半分以上も残っている。もう何度かやってみるが、火花自体は出ていて、火の出ない理由が思い当たらない。
その時だった。
ぞくっ……! と背筋に悪寒が走る。
それが何を意味するかが理解できず、彼はそのまま硬直する。
(なんだこりゃ!? ……動けねぇ!!)
さらに金縛りにあったかの如く、体が言うことを聞いてくれない。しかも――背後から……誰もいなかったはずの背後から――生温かい吐息が首筋をくすぐった。
「……あら、ずいぶん鋭い子ね? 私は火をつけてあげようかと思ったのだけれど」
何かよくないモノを想像していた彼だが、声を聞いた途端、体が自由を取り戻す。どことなく胡散臭いしゃべり方だったが、ずいぶんと若い娘の声色で……とても怨霊などではなさそうだったから。
「そうかい。そいつはありがてぇが……もう少し人間らしく出てくれ。この年でも幽霊は怖いぜ、嬢ちゃん」
あくまで態度に怯えは見せずに、いつもの軽口で彼は話しかける。
「ふふ、私は幽霊じゃないわ……そうね、ある世界に行けるキップを持ってるのだけれど、一口いかが?」
「唐突だな。概ね、こっちの常識が通じそうにねぇ世界だが……その名前は?」
興味と畏れが入り混じる中、それでも動じないフリで彼は問う。やがて――その娘は、静かに耳元で囁いた。
「忘れられたモノたちの最後の楽園――『幻想郷』よ」
さて、ヒロイン投票のルールですが、一人二票で、同じ人物に入れられないものとします。また、一票だけでも無効票とします。これは、極端な票の偏りを減らすための処置です。
期限は、票が20以上集まり、かつ五話以上たったらにしますが、大分後になると考えてもらっていいでしょう。あくまで一作目を書くのを優先しますし、票の集まりにも時間がかかるでしょうし。
ハーレムは……希望かそうでないかを書いてください。どちらでもいい方は、記入しなくて大丈夫です。
さて、ここからが肝心。
今回の主人公と相性のいい感じになったキャラを列挙するんで、この中から二人選んで投票してくださいね!!
ルーミア
パチュリー
十六夜咲夜
アリス
妖夢
紫
藍
慧音
妹紅
輝夜
永琳
うどんげ
あやや
幽香
椛
神奈子
ヤマメ
こいし
ナズーリン
星
村紗
ぬえ
布都
神子
はぁ……はぁ……
い、いかん。疲れた。
と、とにかくこの中から二人、いいですか、必ず二人ですよ? 選んで投票してくださいね~