STAGE 0-16 燃える心臓
早めに投稿出来たやったー!
6月20日 17:32
早速真次は持ちかえった死体の検査を始めた。
否、真次にとっては、検査ではない。これを治療し、回復させる手段を見つけるつもりだった。
ちなみに永琳はいない。竹林の死体の方が気になるということで、輝夜と一緒にその場所に向かっている。そのため今回はかわりに、ウドンゲが彼の助手をしている。
と言っても、彼女は外科がさっぱりなので、真次にわからないことがあったら教えるという役割なのだが。
「真次先生、何かわかりましたか?」
彼は、左手から調べて見ている。とりあえずわかったのは……
「妙な燃え方してやがるな。外から燃え移った……って感じじゃねぇ。それだと、こんなに内部組織が損傷を受けてるのがおかしいからな」
彼は治すのが専門で、こういった死体を見るのは本来の役割ではない。だが、医学的に見ても、これはあり得ない燃え方をしていた。例えるなら――
「まるで中から火を通されたみたいな感じだ。それと……末端に行けばいくほど燃えた度合いが低い」
そのまま、右手と両足を調べたが、似たりよったりだった。そのことを考えて、真次はおずおずと推論を口にする。
「どこも末端部分は損傷の度合いが低い……どうなってやがるんだ? 普通逆のはずなんだが……」
「普通の火傷だったら、そうかもしれません。となると……魔術や魔法といったものでしょうか?」
「その手のは俺が詳しくないからわからん……ん?」
話しながら、胸のあたりを触れていた所、妙なくぼみがあることに気がついた。心臓だ。そのあたりにちょうど手が滑りこみそうなぐらいの大きさの割れ目がある。当然、健康な人間なら、そんなものは存在しない。
「何かで切り裂いたのか……?」
何のために? 疑問に思った真次は、そのまま心臓を調べることに。
……明らかに、この付近の損傷がひどい。火の出元はここで間違いなさそうだ。
傷を開き、心臓部に辿りついた彼らが見たのは……
「っ!?」
「なんだこりゃ……!?」
心臓の、形はあった。
だが、心臓を媒体に、黒い炎が爛々と燃え盛っていた。
これが今回の原因であることは明白だ。
「ウドンゲ。これが何か、わかるか?」
「あの妖怪たちを殺したのと同じ力と……素人の私でもわかるぐらい、負の念をはっきり感じられます」
ダメ元で真次はメスを、炎を切り離すように振る。それの効果があったのか、はたまた別の要因なのかはわからないが……繰り返している内に徐々に炎は弱まり、最終的には消えた。
「!? 先生、何をしたんですか!?」
「何をって言われても……見ての通り、愛用のメスで払っただけだが……」
「……そのメス、特別製だったりします?」
「うーん。一般的な普通のメスだと思うが……これが特別というより、この炎自体が案外大したことなかったのかもしれないぞ? こんなにあっさり消えたんだし。もう全身燃やしてエネルギー切れだったのかもしれん」
ウドンゲは納得いかないように唸っていたが、結局、「そうかもしれませんね」と、納得していた。
一方心臓の方はというと、徐々に黒ずんでいた部分が回復していき、血の気を取り戻しつつある。
「もう大丈夫そうか? あとは再生するのを待てばいいのか?」
「だと、思います。あとは私が見ますから、先生は外で休んでいてください」
言葉のニュアンスから、ここから先は真次がいないほうがいいのだろう。それを察した真次は、後片付けをしたあとそそくさと退室した。
「これで、よかったんだよな……」
治療になったかどうかは不明瞭だが、回復に向かっているのならいいことだろう。などと考えている時に、真次はもう一人の患者のことを思い出した。
気になった彼は病室の前まで移動し、起きていたことを考え、戸を叩く。
返事は、あった。どうやら目を覚ましていたらしい。
そのまま彼は戸を開き、負傷した彼女、八雲 藍と向き合った。
6月20日 18:00
ということで、もこたんの治療(?)完了。なんで治ったのかは、後々わかってきますよフフフ……てか、勘のいい人ならわかるかな。
そして次回は藍しゃま回です




