STAGE 0-15 焼け跡と死体
思ったより早く書けました。投稿していきたいと思います。
6月20日 16:13
二人を呼びよせたのを、真次はすぐに後悔した。女性が見るには、この光景はキツすぎる。
焦げた竹林の先には、黒コゲの死体が一つと無数の惨殺死体があった。血は乾いているが、腐乱してはいないことから、三日は経っていないと思われる。
「何があったのか知らねぇが……ひでぇなこりゃ……二人とも見ないほうがいい」
「私は医者のはしくれですよ? 大丈夫です」
「私も不死身の奴相手に、やったりやられたりしてるから平気よ」
二人ともタフなのか、目を背けなかった。ウドンゲに至っては、すぐに死体に駆け寄って調査を始めているぐらいである。真次もそれに続いた。とりあえず死体を見た所、わかったのは――
「死因はなんだ? 刃物でも鈍器でも、ましてや銃器でもない。強いて言うなら、衝撃波のようなものだが……」
「高威力の霊弾か何かだと思います……微かに力の残り香を感じますから。それにしてもなんで妖怪がこんなふうに死んでるの?」
ウドンゲが首を傾げる。真次にはその意味がわからない。
「異常、なのか?」
「はい。異常です。霊弾で倒されたのなら、こんなふうに血が出て死んだりしません。除霊やお祓いなどで幽霊を撃退する時って、流血沙汰にはならないですよね? それと同じで妖怪が倒れる時って、基本精神を攻撃されて消滅するケースが多数なんです。肉体のダメージは大して響かない。仮に人間が死ぬような傷を負ったところで、すぐに回復してしまうんです。だから――」
「こうして血を流して、死んでること自体がおかしいと? これぐらいの傷でも、治っちまうってことか?」
「理解が早くて助かります」
新たな常識に戸惑いそうになった真次だが、「治すこと」に関係する知識だったおかげか、すんなり受け入れることができた。どうやらこちらの世界に来ていても、補正は健在らしい。
「このリボン……まさか……」
二人で死体を調べていた所、輝夜は黒コゲの死体の前で棒立ちしている。近くに落ちていたリボンが気になっているらしい。
「……知り合いか?」
「そうね……よく喧嘩する仲よ。向こうは怨んでるみたいだけどね。妙な気分だわ。こいつも不死身だから、こんなふうに死体と向き合うことなんてないと思ったんだけど……」
「不死身……か。なんでもありだな、幻想郷は」
そう言いながら、真次は黒コゲの死体に触れる。……当然、脈は感じられなかったのだが――真次の「勘」が告げた。
これはまだ死んでいない。生きていると。
「……姫さん、ウドンゲ。これを永遠亭に運ぶぞ」
「「え?」」
「俺の勘だ……この黒コゲは治せる。信じられねぇのはわかるが……俺の勘は当たるんだ」
「アンタ、どこぞの巫女よ? まぁ、こいつは不死身だから死んでない可能性もあるものね」
形を崩さぬよう慎重に、煤だらけの人型を三人は運んでいく。
結局、慎重に運んだせいで、一時間以上かかってしまうのであった。
6月20日 17:25
前の小説の方で、妖怪に関する描写が甘いと言われたので、次回辺りに細かい説明が入るかもしれません。眠くなるかもしれませんが、まぁゆっくりよんでくれるとありがたいです。




