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STAGE 4-16 妖刀の猛威

 宣言すると、怨霊の握る刀が紫炎に包まれ、大きな野太刀へと変質していた。身の丈に合わない大きさの太刀が、女の身体を操って妖夢に迫りくる。


「っ!?」


 大慌てで距離を取り直す妖夢。得物が変われば、適切な間合いも変化する。懐に飛び込めれば有利だが、隙も無いのに飛び込めば、先に庭師の少女が切られてしまうだろう。

 ぶおんっ! と肉厚の妖刀が、妖夢の鼻先をかすった。薄く切られたものの、出血はない。全く大した事のない被害だったが、少女には猛烈な痛みが走った。


「――がっ!? ぐぅうっ!?」


 脳髄を揺さぶり、視界が歪むほどの激痛を受けても、妖夢は剣を振るうのをやめない。鼻を削げ落とされたかと錯覚するほどの苦痛を、歯を食いしばって耐え、二撃目をいなした。

 顔中から汗が噴き出る。ともすれば恐怖に飲まれ、剣を落としてしまいそうだ。それでも決して手を離さなかったのは、心身共に鍛えた日々が生きたのだろう。息を荒くしながらも、以降はかすり傷さえ負わなかった。

 ほんの少しの傷を負うことでさえ、ただの刀と比較して妖刀は大きなリスクを伴う。相当な性能の妖刀らしいが、肝心の使い手が素人なおかげで命拾いした。自動戦闘の機能も、トリックが明かされれば対処はできる。

 刃が当たらないよう留意しつつ、野太刀を二本の刀で受け流す。いなすついでに後ろから力を加えてやれば、怨霊はあっさりと刀を取り落とした。

 重量と長さの増した野太刀を扱うには、十分な鍛練と握力が不可欠。そもそも身の丈に合わない妖刀を、強引に扱っている節があった。その隙を少し小突いてやれば、叩ききるまでもなく無力化できる。たっぷりと説教してから、首を落としてやる予定は……怨霊の宣言に阻まれてしまう。


「ちぃっ!? 妖刀『惑い逢魔』!」


 抜いてもいないのに、女の手に次の妖刀――細い直刀が握られる。スペルカードが宣言されるたびに、別の妖刀が精錬されるのか? これでは……はたき落としてもキリがない!


「貴様ぁっ!」


 刀と剣術を冒涜する女に、妖夢は咆えた。

 日々の鍛錬も努力もなく刀を扱え、仮に取り落としても即座に代用が手元にある。これでは修行している自分は何なのだ? 到底許せる行為ではなかった。

 怒りに滾る剣筋を、ぎりぎりのところで妖夢はセーブする。相手の得物が妖刀な以上、先程とは別の効果だろうが、ロクでもない能力が付与されているはずだ。

 うんざりした妖夢は、もう正面から剣術のみで戦わない。二歩、三歩と後ろへ下がり、大振りの弾幕を放って彼女は叫ぶ。


「獄界剣『二百由旬の一閃』!」


 自身の放った弾幕を、命名の通りに一閃すれば、中玉小玉となって敵へと降り注ぐ。変化をつけた攻撃に対応しきれないのか、弾幕が妖刀の防御をかいくぐり、怨霊に傷をつける。

 ……奇妙なことに、押され始めた戦局を目にしている筈の女は――怨霊らしからぬ、ひどく澄んだ目で妖夢を見つめていた。

クッソ久々なスペカ解説


妖刀「悪鬼羅刹」

大型の野太刀の妖刀。保有する効果は「切った相手に過剰な苦痛を与える」以前紅魔館周辺で倒れた、ルーミアが切られたのはコイツです。


妖刀「惑い逢魔」

細身の直刀。これに斬られた相手は深い眠りに落ちてしまうでしょう。(まどろみの剣とか言わないで)こちらはミスティアがやられました。

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