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STAGE 4-5 異変解決を目指す者たち

7月12日 14:00



 拾った真次を箒の後ろに乗せ、魔理沙は冥界を目指す。

 霊夢が動く気配を見せない今、退治屋たちは猫の手も借りたい。魔理沙だけではなく、色々な人間、そして話の分かる妖怪にも声をかけ、協力を呼び掛けているような状態である。しかし、まさかこの新入りにも声がかかっているとは。腹を押さえながら、彼も意外な相手との遭遇に戸惑っていた。


「確か……紅魔館で会ったな。なんでここに?」

「多分お前と同じ。退治屋に頼まれてな」


 以前は呪いの影響で、攻撃的に接した相手だが、あの程度なら幻想郷ではよくあること。特に悪びれもせずに答え、行く手を阻む妖精たちを魔理沙は薙ぎ払って進む。

 

「じゃあ、冥界を目指してるのか」

「そ。ついでだし乗せてってやる。それでこの前の貸し借り無しってことで」

「なんの話だ?」

「呪いの治療代」


 男はすっかり忘れいていたようで、気の抜けた返事をよこした。


「ああ。確かにあったな。ついでに聞くが、あの後の調子は?」

「全く問題なし! 呪いを予防する護符もあるし、次あいつらに出会ったらギッタンギッタンにしてやるぜ~」

「……おい、本当に大丈夫か?」

「心配すんなよ!」


 攻撃的な言動に彼が不安に思う。本当に魔理沙は普段通りなのだが、付き合いの浅い真次には、日ごろの様子との違いを判別できないのだ。霊夢やアリスならば、いつも通りと気にもしなかっただろう。


「後ろから見てたけど……なんだよあの飛び方? 受けて立てばいいだろ」

「俺は、冥界がどんな場所なのか良くわからないからな。いつ異変起こした奴等とぶつかるかわからないし、消耗したくない」

「ふーん……あそこには亡霊と半人半霊がいつもいる。幽々子と妖夢って名前なんだけど、妖夢の方は堅物だから気をつけろよ? 私も何回か切りかかられた」


 物騒だな、と真次は返す。彼の本心としては、魔理沙にも問題あるのでは……? とよぎったが、わざわざ声に出しはしない。


「デカい庭があって、そこに一本大きな桜の木が植えられてて……たまに騒霊や、さっきすれ違った春妖精なんかも来てる」

「あぁ、季節外れに春なんて言ってたアレか」


 魔理沙も少々不思議に思ったが、妖精だし異変で活性化していたのだろうと、深くは考えないことにする。今も他の妖精たちが二人を攻撃してくるが、霧雨魔理沙の敵ではなかった。

 雲よりはるかに高い場所まで飛び立つと、石段が視界に入った。冥界との境はもう少し手前なのだが、目印がないので実質この辺りが境界線だろう。物珍しいのか、真次がしきりに首を動かしている。


「すげぇ。いきなり地面が出てきた。着地できるのか? 透けたりしないよな?」

「平気平気。試しに降りてみろよ」


 少しだけ速度を落とすと、真次がゆっくりと降下していく。おずおずと着陸すると、そのことに感動したのか、何度も飛んで跳ねて……まるで子供の様にはしゃいでいた。

 無事冥界の入口についた魔理沙は、彼を置いて少しづつ加速しだした。跳ねまわっていた真次が、慌てて問う。


「お、おい? どうした?」

「どうしたって……もう冥界まで着いたし、後は一人でもいけるだろ?」

「え、ちょ、最後まで連れてってくれるんじゃ!?」

「異変解決は早い者勝ちだぜ」


 身軽になった魔理沙が、そのまま幽々子達のいる屋敷まで飛び去っていく。石段の上に取り残された真次はあっけにとられていたが、やがて顔を赤くして叫んだ。


「お、覚えてよろーっ!!」



7月12日 14:59

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