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STAGE 3・5-1 妖怪の山の長い一日 

「……話はわかった。その時が来れば、守矢は共闘を約束する」

「ありがたい」


 神奈子の言葉に、八雲 藍は安心した様子で頷いた。

 永遠亭を後にして、藍が最初に訪れたのは守矢神社だ。

『敵』の主目的を理解した藍は、対抗のため幻想郷を一纏めにすべきと考えた。本来は紫様の指示を仰ぐべきだが、それでは敵の速度に追いつかない。彼女自身の判断で、有力な勢力を回り、説得と交渉を始めている。


「次は妖怪の山……天狗たちと交渉するつもりか?」

「そのつもりだが、正直なところ頭が痛い。あなた方より長引くだろう」


 大きな組織となっている妖怪の山は、是非とも味方に加えておきたい。

 しかし同時に交渉が難航するのも目に見えていて、素早く各所と話をつけたい藍としては、如何に手早く話をまとめられるかが、鍵になるだろう。

 せめてもの救いは、守矢の二柱がすんなりと藍の話を受け入れてくれたことだ。

 以前真次が訪れ、呪いを調べてほしいと依頼していたらしい。その時に得た情報が、彼女たちの決断を後押しした形となったのだ。

 さらに幸運はまだ続く。後ろで聞き耳を立てていた、洩矢 諏訪子がこう提案した。


「妖怪の山とは、私たちが話をつけておくよ」

「いいのか?」

「うん。手間取るだろうし、これから各所と話をつけなきゃいけないんでしょ? なら君には管理者やくもゆかりの代理として、すべきことを優先して欲しい。思うこともあるけど、私達も幻想郷は居心地がいいんだ。真剣な信者の獲得は、現代だと大変だからね」

「……恩にきる」

「こういう時は、持ちつ持たれつだよ」


 一度正面から、背筋を伸ばして頭を下げる藍。

 二柱は少々驚いた様子だが、やがて彼女たちも頷くと、藍は手早く支度を始める。

 本当なら、紫様の『スキマ』を使えれば楽なのだが、連絡も取れない今では空を飛んでいくしかない。内心の焦りを隠せない彼女へ、妖怪の山の混乱が、藍の耳に届いた。


『敵襲! 敵襲!! 領域内部に敵集団が侵入!! 直ちに迎撃せよ!! 繰り返す――』


 天狗たちの叫びが、けたたましくこだまする。

 戦列に加わるべきか? 一瞬よぎった思考は、神奈子の一喝で霧散した。


「何をしている! さっさと次に行かないか!!」


 そうだ。

 交渉で時間を使わない選択をしたのだ。ここで戦って、いたずらに時を浪費してどうする。ここは信じて進むしかない。戦火の広がる前に、八雲 藍 は妖怪の山から脱出しなければならないのだ。

 覚悟を決めた九尾の狐が、空高く――目視不能の高さまで飛んでいく。

 次の目的地を目指して飛び立ち、消えていった藍を見届けた二柱は、侵入者をうち滅ぼす算段を整えることにした……

真次君が来たのは、1-4~1-6辺りでの話です(うろ覚え)

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