STAGE 3-43 ウドンゲ先輩
7月9日 16:22
「まーーーーた首を突っ込んだんですか!?」
少し人里内部で探すことになったが、ウドンゲを無事に見つけ出すことはできた。
目を合わせた瞬間に、真次が疲れた様子なのを見抜いた彼女。そのまま事情を話した途端、ウドンゲは顔を真っ赤にしていきり立った。
「人里なら安心だと油断していましたよ! もぅっ!!」
「仕方ないだろ? 放っておけな……」
「そのセリフ何度目ですか!? 自分が死んじゃったら元も子もないでしょう!!」
剣幕に押された真次が肩を落とし、それ以上の反論はしなかった。彼の身を案じているからこそ、ウドンゲは本気で怒っている。しかし話が進まないのも困ると、布都が横から口を挟んだ。
「まぁまぁ、そう怒鳴るでない……既に敵は太子様が打ち取った。こやつも無事である。大目に見ては……」
「今まで大目に見てきたせいですよ! ほんとに、あなたって人は……!」
「す、すまない。いやホント。マジごめんって……」
ペコペコと先輩に頭を下げ続ける真次。ウドンゲに悪意がない事なのはわかるが、現代だとこれはパワハラ扱いなのか? どうでもいい連想が浮かんで、幻想入りしないといいなぁ……などと妄想していると、ぎろりと睨まれてしまった。
「ホントに聞いてます!?」
「えっ!? あぁ! もちろん!! 心配かけてスイマセン! ウドンゲパイセン!!」
――先輩、後輩の関係が頭に浮かんでいたからか、つい変な軽口を叩いてしまった。
やっべ、やらかした! と失言に気づくももう遅い。下げた頭を恐る恐る上げると……顔を赤くして俯いているウドンゲの姿が目に映る。こっぴどく叱られると、彼は覚悟した。
だが、
「フフン! 分かればいいんですよ分かれば! 積極的なのはいいですけど、まだまだあなたは新参者なんです! ちょっとは先輩の言うこと聞いてくださいね!!」
「えっ……アッハイ。もう少し無茶は控えるぜ、ウドンゲパイセン」
「よろしい! あっそうだ! 先輩の代わりに、師匠って呼んでもいいんですよ?」
先程とは別の意味で、真次は気圧されていた。ウドンゲは先輩扱いに舞い上がっている。よっぽど嬉しかったのだろう……このまま上手くおだてれば、神子の所に連れていけそうだ。
「あー……先輩、実はちらっと話にでた神子さんなんだが、ちょっと調子がおかしくてな。経験の浅い俺じゃ分からない症状なんで、診てほしいんだが」
「しょうがないですね~! 先輩に任せなさーい!」
もう少しもめると考えていたのに、あっさりと話が決まってしまった。その気になったウドンゲが、布都に案内するよう急かしている。
豹変ぶりに布都も動揺していたが、太子様のためと道を作り、不調を訴える彼女の下へと赴いたのだった。
7月9日 16:29
シリアスにするつもりだったのに若干ギャクテイストになった……ウドンゲ先輩ぇ……




