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STAGE 3-36 神子と張り合うその敵は

7月9日 15:00



(本当に、妙ですね……!)


 致命的だと確信したこちらの攻撃は、今まで六回。

 にもかかわらず相手の怨霊が健在なのは、その全てが悉く受け流されていたからだ。

 直前まで狙い通りに誘導しても、最後の一手前でするりと抜け出す。その際のなりふり構わぬ挙動……破滅の直前で天啓か何かが降ってきているのか?


(……! またっ……!)


 強引に体をねじり、女は再び神子の弾幕を避け切った……これで七度目。幸い神子は相手の攻撃には当たっておらず、これは屠自古の方にスペルカードとして軍勢を差し向けているから全力を出せないのだろう。敵は分断からの各個撃破を狙っている。

 戦略を崩すため強引な突破も試みたものの、やはりあと一歩のところで阻まれてしまった。敵は重要な局面や転換点を悟れるとしか考えられない。いたずらに時間ばかりが過ぎてゆくが、ここで戦局は大きく動く。


「……チッ!」


 一つ怨霊が舌打ちし、大きく神子から距離を取った。その直後、濁流の如き弾幕が敵と神子の間を流れていく。また危険を悟って逃げられたが、今までのような焦燥は神子の内になかった。


「「太子様!!」」


 屠自古をのせた布都の船が、悠々とこちらに進路を取っていた。なるほど、あれならば軍勢を振り切って合流できるだろう。日頃中の悪い二人だが、神子の事を慕う思いは同じだった。船を盾にする形で遮り、二人の同朋が太子の下に降り立つ。


「弟子たちは無事に逃がしました。後は奴を退治するのみ!」

「遅れてしまい、申し訳ございません!」

「構いません。それより、あの人間は? 一人であの敵の相手は危険でしょう」


 噂をすれば、真次の銃器が火を噴いた音が聞こえる。船の向こう側で火薬の爆ぜる音が連続し、戦闘に入ったと理解した。不安げな太子に対して、二人は落ち着いている。


「大した時間ではありません。それにあの男、意外とできます」

「真次が自ら申し出たのです。囮になる故、三人で奇襲を仕掛けよと」 


 その作戦はまずい、と神子は直感した。奇襲は即座に悟られ、軽くあしらわれるに決まっている。時間をかけるのは、かえって危険だ。


「いえ、敵にその手は通用しません。正面から押し切りましょう。彼が危険です」

「「承知!」」

 

 迷いなく従う二人が頼もしい。船の上へ登った三人の道士は、眼下で争う真次と怨霊の間へ割って入った。



7月9日 15:19

次回、遂に彼女の正体が明らかに!(もうほとんどの人が予測済みと思いますが……)

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