STAGE 0-9 呪い
あと2話で投票を締め切ります。
現状永琳ルート、ハーレムありに票が集まっているようですね。
6月20日 10:17
自己紹介と朝食、そして、朝のもろもろの出来事を終えた後――
真次と永琳は、八雲 藍にあてがわれた病室にいた。
まだ彼女の意識はないが、呼吸や脈は安定しており、しばらくすれば目を覚ますだろう。
「……顔色もいい。これなら大丈夫そうだな」
もしかしたら目を覚ましているかも、との期待もあったのだが、まだ彼女は眠ったままだ。と、永琳がちらと視線を送る。多分、彼女のことで相談だろう。怪我人を起こしてはいけないと、二人は廊下へと出る。
「先生。彼女……藍の検査結果の方なのですけど……何も検出されませんでした」
「……何? でもあの状態は妖怪としては異常なんだろう?」
永琳は頷いた後、何故か困ったような様子で固まる。どうやらどう話したものか考えているらしい。
「その様子だと、心当たりはあるんだろ? とりあえず言ってみ?」
「それじゃあ言わせてもらいますわ……呪いの可能性があります」
「はぁ!?」
真次は永琳の正気を疑った。医者が呪いなどと、間違っても言っていい言葉ではない。少なくても真次のいた世界ではそうだった。……これで、永琳が大真面目な表情で言ってなかったら、いよいよ真次は信じなかったかもしれない。
だが、こうした患者の方針を何度も話し合った経験から、彼にはわかる。永琳は本気で言っている。可能性を真摯に考察し、解析し、その上での結論が、『呪い』なのだ。
「やっぱり信じがたいですか?」
「ああ……まあな……だけど、幻想郷の医者としての経験は、永琳先生の方が上な訳だしな……なんとかその方向性で話を考えてみる」
「……無理しないでくださいね? いきなり向こうの世界の常識を捨てるのも、大変だと思いますから」
永琳はどことなく嬉しそうだった。てっきり、否定されるものだと思っていたのだろう。だが、真次の言った通り、この世界での経験は永琳の方が上だ。とりあえず今後どうするかだけでも、彼女の口から聞く必要がある。
「それで、どうする? まさか、呪いを解くなんて言わないでくれよ? 流石にそれは未経験だ」
「呪いを解くのは、医者ではなく巫女や神社の仕事です。私たちの領分ではありません……だから、正直に言うと。私でも専門外で……藍の方が詳しいぐらいだと思います。ただ、幸運なことにその呪いが、そこまで効果の高いものではなかったみたいですね」
「ん? そりゃまたどうして……」
「こうして、回復しているからです。ひどいものだと、回復すらさせずに衰弱していくようなものもあるそうですから」
言われて納得した。確かに、現代では空想となったものだが、物語に出てくる呪いは、もっと凶悪な物もあったような気がする。傷口が塞がらなくなる程度で済んだなら、安いものなのだろう。
そこで、真次はある可能性に気がついた。それは――
「先生……もしかしたら俺も呪われてるかもしれない。一発攻撃を喰らっちまった」
そう、藍が噛まれた後、黒い炎のような弾丸を、真次はその身に受けていた。特に大したことではないように思えたが、ここで言っておかないと、「気がついたら手遅れでした」では笑えない。
「……身体や精神に異常はありますか?」
「感じられない。逆にそれが不気味だったりするんだが……」
「身体の検査だけでもしておきましょう。どれだけ効果があるかわかりませんが……」
永琳が焦ったように言ってくれた。真次としても、この提案はありがたい。
「すまない。それじゃ、お願いするぜ」
「念入りにしておきましょう。些細な痕跡も見逃しませんわ」
気合いの入った様子で、永琳は真次に告げる。
こうして急遽、真次の身体検査が始まったのだった。
6月20日 10:34
ここで独自設定。永林は呪いは専門外です。それは本来、医者の領分ではないと思うのですよ。幻想郷でしたら、なおさらね? という訳で、呪いを解くには、博麗か守矢の所に行く必要があります。神子様やひじりんの所でもいいかもしれませんね。




