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私はその瞬間、夢から解放される。
夢というのはもちろん先程のことだ。
夢の中の時間と今この時間を同一平面で考えるならば、正確には数時間も前のことだ。
なぜなら、今は朝なのだ。
また、同じ夢だ。
体はまだ敷き布団の中にありながら、私は深くため息をついた。
数日前から連続してこの夢を見る。
前日に床に伏して、私の脳が休息の世界に誘われると決まって私はどこかの家の塀の上に座っているのだ。
夜のために無機質である塀はヒンヤリと冷たさを私の体に伝える。
その伝わり方は、本物さながらなのだ。
しかし、私には絶対にそれが夢であるという自信がある。
私は白のブラウスなど持っていないからだ。
毎日、いや、夢ごとに同じ白のブラウスを私は着ている。
私は現実では決して着ない代物である。
そして、毎回その純白は鮮血に染まる。
何かを暗示するメッセージなのか。
あれはまるで吸血鬼みたいだ。
人の血を音を立てながら、何か急かされるかのように胃袋に流し込んでいく。
オジサンの血なんて、マズそうじゃん。
今時の若者である私はそういう風なことを気にしてしまう。
「姉貴。もう8時だぜ」
声と共に私の寝室に入ってくる人影は私の弟君だった。
彼は学生なので、既に学校へ行く支度を済ませた上で私を呼び起こしに来たのだ。
「あー、悪いね。朝ご飯食ったかい」
私は寝ていた上半身を約90度起こした。
「まあ、軽くはね。でも、珍しいな、姉貴がこんなにも続いて寝坊するなんて。夜更かしでもしたのか」
弟君は珍しく私の心配をしていた。
「思春期の君とは違って、夜に欲情とかそういう暇ないから早くは寝てるんだけどね」
こういう話は思春期とはいえども早すぎたかも知れない。弟君は頭の上に大きなクエッションマークを作っていた。
「よー、わからないけど、無理しないように金を稼いでくれ」
弟君は心配しているのかいないのかよくわからない言葉を残し、部屋を後にした。
私も早くバイトに行かなければならないことに気づき、支度をはじめた。
この夢はいったいなんだろうな、と支度中も思考に暇さえあれば考えていた。
一度、洗面所に行く機会があったので自分の顔を確かめたが、歯なんか特に鋭くなっているわけでもなく、むしろ最近柔らかいものばかりを食べているこの弱体化した私の歯はせんべいなどで一発でかけてしまうんじゃないかという心配があるくらいだ。
憂いはこのくらいにしておこう、そう思った私はバイト先へと急いだ。
まだ小説ライティング感覚戻ってません。
文章の構成やら読者様を引き込む力なんか特にないっぽいです。
が、最善を尽くします。
短編を回数重ねて試行錯誤していきたいです。