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Scarlet Vamp.  作者: 玄草 暁
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皆様、覚えていらっしゃるでしょうか。

いえ、恐らくお忘れでしょう。(笑)

玄草です。

実に、約一年振りの復帰です。

私はこの一年は非常に忙しい毎日でしたが、今はだいぶ楽になってきています。

それでも、時間を割くのは厳しいですが、出来る限り頑張りたいと思っております。

これから、またよろしくお願いします。


夜も更けた深夜。

薄い月明かりと今にも消えそうな街灯。

肌寒い風が吹き下ろす。

そんな条件下で、一人の少女は民家の塀に腰をおろしていた。

人通りのないに等しい住宅街。

なぜだか、そこに彼女は居た。

彼女は置物であるかのように微動だにしないため、月が雲に隠れる際に現れる闇に溶けてしまっている。

嗚呼、残念だ。

もしも、今が白昼の出来事であるならば、彼女の美しさに誰もが見とれていただろうに。

凛とした顔立ちは美しいとしか言いようがない。

まだ2月の夜というのに、白いブラウスを着ている。

それから出た、か細い華奢な両手足。

そして、柔らかい口元からはみ出している二本の鋭い歯。



血に飢えている。

端的に今の私を表現させるならば、この言葉がちょうど良い。

だから、私は何をしたいのか。

血が欲しい。

では、どうするか。

獲物から血を奪えばいい。

刹那。

思考にあてられた集中力は、別の方に補填される。

途切れた思考。

しかし、それは一瞬にして復元する。

いつもそうだ。

いつも―それは毎日のことなのだが―この瞬間が訪れる。

塀の上に居た私はバランスのとりにくいモノの上に器用にのっていた。

そうして、私自身は気づき、決して慣れることのない自らの行動に失意の念を覚える。

私は今、人の血を吸っているのだ。

誰かわからない人の首筋に私の二本の歯が突き刺さっている。

無論、私自身が刺しただろうが覚えていない。

その間にも私の口は突き刺した歯を抜き、その人の首筋から流れ落ちる血を上手にすくっている。

私の口はやがて私が普段飲み物を飲むかの如く血を飲んでいく。

私の口はこの時、私自身のものではなくなり、何か別のモノの支配下となる。

でも、意識は私自身のものだ。


一定量を飲み干した私の口は私自身のものとなる。

嗚呼、これで私の今日の憂いはなくなる。

今日の憂いに限定するならば。


私の着ていた白いブラウスはすっかり赤く染まっていた。



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