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第5話 初めての魔法

今回、初めて魔法が登場です。


では、どうぞ^^

村長に連れられ、5人の騎士が館のなかに入っていくのをオリクさんと見送った俺は思い出したように口を開いた。


「あ、オリクさん。借りた本の魔法に関するところ大体読んだんだけどさ、今ひとつ実感わかないんだよ。実際に見せてもらえないか?」


「ん?まぁ、しばらく騎士の方々も村長が相手をしているだろうし…いいだろう。見せてやろう。」

少し考え込むような動作をしたが快く引き受けてくれた。


「とりあえず、タツヤ自分の属性はわかったのか??」


「あぁ、たぶん火属性だ。」


「そうか。まぁ、俺は地属性だから参考になるかはわからないぞ?それでもいいのか?」


「あぁ、構わない。っというか頼む!」


「わかった。まぁ、簡単なやつだけな。」

そういって、オリクさんは額に人差し指を当てた。


「土よ岩と成せ。ロック・ダモン!」

間一髪あけずにオリクさんから、昨日までは感じなかった魔力の流れを感じ、魔法が発動した。


そこにあったのは、1mほどの岩の塊。

っといっても、砂で出来ている岩のようだ。


「これは、何の魔法なんだ?」


「ロック・ダモン。まぁ、地面に砂や土などを岩の塊に変化させ、それを飛ばすことで相手に攻撃する魔法だ。もっとも、今は見せるためだけの使用だから、飛んでもいくことは無く地面に置かれたままなのだが。」


「それが、イメージによる変化なのか?」

先ほど見た本の中身を思い出しながら考える。


「まぁ、そういうことだな。うまくイメージをしないと自分の守るべき存在を傷つけてしまうからな。魔法にはいつでも多大な注意が必要だから気をつけろ。」


「あぁ。わかった。」


「とりあえずなんかやってみろ。火属性なら代表的なファイアーボールがいいだろう。的は…あそこの岩にぶつけて見ろ。」

オリクさんが先ほど作成した岩を指差しながらそう言って来た。


確か、ファイアーボールはあの本にも載っていた技だ。

しかし、いざ魔法を使おうと思うと結構緊張する…。


「いくぞ。」

誰に言うわけでもなく、そう呟いてみる。


イメージする。

それは、拳くらいの炎の球。

炎が球体の表面を揺ら揺らと漂っている。

その球は弾丸のように一直線に、あの岩に向かっていくのだ。


イメージする。

炎の球を作るのに必要な魔力。

自分の中で蛇口をひねるように魔力を搾り出す。


そして、言霊に乗せる。

「炎よ。弾丸と成し、あの岩を打ち破れファイアーボール!!」


その言葉と共に俺の手には拳大の炎の球が現れ、それが弾丸のような猛スピードで岩にぶつかり、岩が砕け散った。

ズガーンという音と共に砕け散った岩の破片は、それぞれが炎に包ま燃えている。


「ほぉ。なかなか素質があるじゃないか。使ったのは初めてか?」


「あぁ。なんか、イメージが掴めそうだからもう一度頼む。」


「おぅ。わかった。」

そういってオリクさんはまた、岩を作成してくれた。


そして、俺がそれを壊す。

これを数回繰り返していくうちに、徐々にイメージする時間も短くなってきた。




***

「では、詳しい話はこの村の警護を担当している。オリクという男から話しましょう。」


ささやかといいつつ中々豪勢な食事だった。

私を含めてた5人に出すにはいくらなんでも多すぎるのでは?という量だった。

その上、味もうまかったので文句の付けどころが無い。


「あぁ。頼む。」

そう。我々がこの村に来たのはウォーウルフの討伐を任されたからである。

あまり、のんびりしている暇は無いので早速オリクという男のところへ向かうことにした。


「ファイアーボール!」

割と若い男の声が聞こえたかと思うと私たちから5mほどのところにあった岩が炎の球にあたり、砕け散り燃え上がった。


「「「な!!」」」

村長と部下が、驚いているようだが魔力の流れを感じていた私にとってもは、たいしたことではなかった。


「大丈夫ですか!ニーナ隊長!!」

かなり、慌てた様子の新人隊員が私の元にかけより叫んできた。


「こんなことで、慌てるなみっともないだろう…な!!」

そういいながら岩がなくなったことによって目に入ってきた少年に目を奪われた。


***


「ファイアーボール!!」

約1時間、オリクさんと特訓していたら、徐々に言霊を減らしていけるようになり、ついに技名だけで発動することができるようになった。


今回も岩が炎の球に当たって砕け散ったのだが…岩の後ろにちょうど人影が見えた。


「…なぁオリクさん。あそこにいるのって、さっきこの村に来た騎士の方々じゃない…?そうだったら、かなりヤバいんじゃない…w」


「言うな…タツヤ。当たらなかったからよかったものの、俺らは騎士殿に手を上げたように認識されているかもしれないからな…。」



「オリク!!」

村長が真っ赤になりながらこちらに大股で歩いてきた。

高齢さを感じさせない動きだった。


そして、村長が俺らのところに来た。

「何をやっておるか!!客人に怪我をさせたらどうなるかわかっておるのか!」


「申し訳ありません。村長。」


「謝ってすむ問題では無いぞ!!それに、お前…誰だ!!」

俺の方に向き直った村長がものすごい剣幕で、俺に突っかかってきた。


そんな俺に代わりオリクが助けてくれた。

「村長、昨日言った旅人のタツヤです。ウォーウルフを最後に見たのはきっと彼でしょうから役に立つだろうってことで…」


「そんなこと知るか!!今すぐ、この村から出て行け!!」

村長も相当頭にきているようだ。


そんな時

「まぁまぁ。それくらいにしてください。私たちには何も怪我もありませんし、魔法の練習中に勝手に近づいてしまったのですから。」


そう。王国からの騎士団の方々だ。



「いいのですか、ニーナ殿?」

急に村長も落ち着きを取り戻したようだ。


「えぇ。それより、魔法を使ったのは貴方??」

そういいながら俺のほうに向き返った。


「あぁ…そうです。」

さすがに敬語にしようと思う俺だった。


「あなた、魔法が使えるの?」

何やら随分驚いているようだ。


「先ほど、教えてもらいやっと1つの魔法だけ使える程度ですけど…一応、使えますね。。」


「失礼ですが…あなた、レガビアンじゃないの??」


「レガビアン?何でしょうかそれ?」

聴きなれない言葉を言われた。


「レガビアン。古代語で『黒髪の民』という意味よ。最近ではほとんど見かけないと言うけど…。レガビアンは魔法を使うことが出来ず、『古代文明の遺物』という物を使用するはずなんだけど…」


「俺は、レガビアンじゃありませんよ。。ただ、孤児として育ったので自信はありませんが…。」

とりあえず、不自然にならない程度の嘘の経歴を作っておく。


「そう…。悪い事を聞いたわね。まぁ、魔法を使える時点でレガビアンでは、無いでしょう。。けど…。」



「あのぉ~。ニーナ殿?」

話が脱線ているのいに我慢できなくなったのか村長が口を開いた。


「あぁ。すまない。オリク殿はあなたかな??」

そういってニーナ隊長はオリクさんに近づいた。



「えぇ。先ほどは申し訳ありませんでした。」


「もう。そのことはもういいわ。それより、ウォーウルフの情報をお願い。」

そういいながら、ニーナ隊長はさっと髪をなでた。


「はい。最後に遭遇したのはこちらのタツヤなんですが、この村の周囲にウォーウルフが度々現われています。しかも、現われる時は3~6体の群れなのです。」


「ウォーウルフの群れですか…。こちらはペガサスで空中から魔法攻撃を仕掛けます。風属性なので、火事などの心配は無いでしょう。」


「空中からの攻撃なら、毒牙に噛まれる心配も角に突かれる心配も無いので討伐は容易だと思います。」


「それは、心強いですね!出発はいつごろに?」

村長の目がキラキラしているように見えた。


「準備がありますので、2時間後に出発します。」


「では、頼みます。では、よろしくお願いします。」


「了解しました。皆の者、早速準備に掛かれ!」


「「「はっ!!」」」

騎士たちが散り散りになり準備を始めた。


***


騎士たちが討伐の準備を進めている中、ニーナ隊長が俺のところにまたやってきた。

「もし、よければなのだが…また、後で話をしないか?色々気になることがあってな。。」


「えぇ。構いませんよ。」


「では、また後ほど。えっとぉ…」

何やら困った表情を浮かべているのを見てハッとして答えた。


「タツヤです。」


「あぁ。では、タツヤまた後でな。」

そういいながら兵舎のほうに向かっていった。



残ったオリクさんと俺はしばらくボーっと突っ立っていたが、ハッとわれに返った。

「どうするか?魔法の練習を続けるか?」


「いゃ、さすがにやめておく。」


「だろうな…。それにしてもお前さん、あの隊長に気に入られたみたいだな。」


「そうかぁ?」


「あぁ。その証拠に討伐終わった後にも呼ばれたんだろ?」


「まぁ…な。黒髪が珍しかったんだろう。」

そういいながら自分の黒髪を撫でる。


「黒髪…。それのせいで今までつらい思いをしたんじゃないのか?あ、話さなくていいぞ。だが…レガビアンか言われるまで忘れていたよ。。」


「そんなに、レガビアンっていうのは忌み嫌われていのか?」


「いや。嫌われていたというより、レガビアン自体が非常に友好的な部族であったことで一般的な人々からは好かれていたよ。しかし、レガビアンが持つ魔力を必要としない『古代の遺物』は大変希少価値が高かったので、何人もよからぬ事を企みながら近づいていくものがいた。そしてついに一部の貴族連中が大群を率いて、レガビアンが住む集落に攻め込み一方的な大虐殺を行ったのだよ。女、子供問わずな。」

少々気まずそうにオリクさんが説明してくれた。


「なるほどな…それでレガビアンはもういないのか?」


「正直なところわからない。しかし、昔のような友好的な思想はどこかに行ってしまっているのは事実だろう。元々この国でも黒い髪の子供が一般的な家庭で生まれることはあった。しかし、レガビアンの騒ぎや魔法の上達速度が遅いことを理由に捨てられることが多くてな…。」

俺が思っていた以上に事態は深刻なようだ。


「わかった。もう、この話は終わりにしよう。」

一方的に話をふっておいて、あれだが聞いていると腹が立って仕方が無かったのだ。



「あぁ…そうだな。んじゃあ、飯にするか。」

そう言って俺らはアンナさんのいる兵舎に向かった。




「…はいょ!いつものやつね!!」

アンナさんにそう言われたのと同時にお盆の上に昨日の丼が乗せられる。


「ありがとうございます!」

昨日ほどお腹は空いていなかったが、それでも魔法の練習をしていたせいかガツガツ食う俺らだった。


「先ほどの話で気を悪くしたなら謝るが。。」


「いや、べつにオリクさんが悪いわけじゃないし実際に起こってしまったことなのだから、いまさら何を言ってもしょうがないだろう」


「お前は、年の割に随分、大人びた考え方をするんだな。」


「まぁ、育った環境上ね。。」


俺たちが食後のコーヒーを飲み終わったころに、オリクさんが立ち上がった。


「そろそろ、騎士団の方も出発するころだから広場にいくぞ。」

そういいながら俺らは広場に向かった。



広場にはすでに人々が集まっており、数人の老人たちが騎士達のところに行き、「よろしくお願いします。」と泣きついていた。

「彼らは、息子や娘がウォーウルフの被害を受けてな…。」


騎士たちに哀願している老人たちの顔には必死さが表れていた。


「これで、家族が報われればいいが…。」

かたきを討ったところで必ずしも人が幸せになるとは限らない。これが現実であることは、祖父から散々聞かされた。


「そうだな…。」

オリクさんも頷きながらその様子を見ていた。



「…これより、王国の騎士団のかたがたが我らの宿敵ウォーウルフの討伐に向かってくれるそうだ。拍手を持って送り出そう。」

村長の言葉に村人たちは、

「「「「「おぉぉ!!」」」」」

と叫び、割れんばかりの拍手の音を響かせた。




そして、それに答えるように5頭のペガサスが「ヒヒィィィーン」と鳴き、空へと旅立った。


いかがでしたか?

ご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします。

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