第4話 読書
今回は、魔法についての解説をいれてみました。
では、どうぞ^^
「ふわぁぁ~あ」
盛大な欠伸と共に俺は、ベットから起き上がる。
昨日、倒れこむように寝たせいか、首の辺りがやたらと痛い。
首をパキパキしながら、水道に向かう。
驚いたことに、この世界では水道が存在する。
っといっても水の魔法を使っている魔道具という物らしいが…。
水道から出る水で顔を洗い、寝癖を直した。
そして、そのまま1階の昨日食事をした食堂に向かった。
…が、なにやら慌しい雰囲気だ。
「おい!!握り飯足りないぞ、後30個作ってくれ!!」
「はい!貴方、裏の納屋から野菜の入った木箱持ってきて!!」
ちょうど、オリクさんを見かけたので話しかけてみた。
「おはよう。どうしたんだ?この騒ぎ。」
「おお、タツヤか。おはよう。いや、今日の夕方頃には村に遠征帰りとはいえ王国軍が来るから宴の用意をしなくてはならなくてな…。」
「そうなのか。何か、手伝えることはあるか?」
アンナさんが女性に何やら命令しているのを見ながら聞いてみる。
「そうだな、アンナの手伝いをやってくれ。俺は、村長の所にいかなくてはいけないのでな。」
「了解。アンナさんなんか手伝うことある??」
「あん?タツヤも手伝ってくれるのかい、んじゃあそこの野菜を洗っておいて!」
そういいながら、木箱に入っている大量の野菜を指差す。
「わかりました…。」
1箱まるまる渡されてさすがに困惑したがほかの人も忙しそうだったので、我慢して洗うことにした。
箱の中身は日本で見たことのある野菜以外にも、紫色のブロッコリーのようなものまであった。
それを1つ1つ取り出して、丁寧に洗っていく。
俺が洗った野菜は10分に1度、ほかの仕事を担当している女性が取りにくる。
そして、1箱やっと終わったと思ったら、いつの間にかみおうもう1箱追加されていた…。
しかし、俺はそれに文句を言うわけでもなく淡々と野菜を洗っていく。
なんとか一通り作業が終えるとオリクさんがこっちを見ながら手招きしていた。
「なんの用ですか?」
「アンナが作業終わったら休んでいいとさ。」
そういいながら、昨日と同じ席に座る。
「いいのか?」
「構わないだろう。んで、悪いんだが身体強化の魔法について教える約束、この状況じゃ守れそうにないからこれを貸しておく。」
そういって俺に1冊の本を分厚い本を渡してきた。
「俺も金持ちってわけじゃなかったし、実力も平均的だったから王立の学校には行けなかったが、私立の騎士学校には通えたんでな。まぁ、これはそこの教科書だ。」
「わざわざ。ありがとうな!」
「なに、もう20年近く前の話だからな…。まぁ、魔法に関しては大して変わって無いから大丈夫だろう。」
「本当に助かる!」
パラパラ本をめくりながらそう、答える。
結構詳しく書いてあるようだ。
「まぁ、何かわからないことがあったら聞いてくれ!直接話せなくて悪いな…。これから、他の兵士と打ち合わせをしないといけなくてな…。」
「あんたも忙しそうだな。んじゃ、俺は早速これを読ましてもらうよ。」
「あぁ、そうしてくれて構わない。軍が着たら呼びにいくよ。生で見てみたいだろう?」
「軍か。。確かに見てみたいな。じゃぁ、来たら呼んでくれ。」
「おう!」
そう言って、オリクさんは兵舎から出て行った。
俺は、昼飯を軽めに食べて、2階に戻った。
ベットの上に座り、本を広げる。
「さて、早速これを読みますか。」
俺は古びた表紙をゆっくりめくった。
***
『改定魔法新書』 著者 ジェームズ・ノア
第1章 ~魔法とは?~
魔法とは己の魔力を消費し、使用する術式の総称である。
魔法は神から授けられた能力という見解が一般的で、未だに解明されていない部分が多く存在する。
魔法は自身の身体能力を強化するものを代表とした内面を対象とした魔法と攻撃魔法をはじめとする外部を対象とした魔法が存在する。
そして、これらは使用する魔力によって次のように段階分けされる。
神聖魔法
古代魔法
精霊魔法
上級魔法
中級魔法
下級魔法
この6つだ。
それぞれの段階によって威力や規模も全く異なる。
また、性質や効果によっても変わってくる。
もちろん、上に行けばいくほど威力や規模は大きくなり莫大な被害を与えることができる。
30年前、レオン・アスタークが古代魔法を扱い、王国から独立を果たしたのは有名な話だ。
魔法はそれぞれの段階のほかに属性が存在する。
属性とは、魔法を使用する際に必要な相性のことである。
人間は、1種類の属性しか使用することは出来ず、それらは身体的特徴に現れる。
身体的特徴に現れないこともあるが、たいていはそこから属性を判断することが可能である。
火
水
雷
風
地
氷
これらは、基本6属性と呼ばれるものだ。
他には、
闇
光
の特殊2属性
錬金
聖歌
の妖精2属性が存在する。
人間は基本6属性のうちどれかひとつに属しており、その属性の魔法のみ行使することができる。
例外としては、王国直系家系は光の属性を使用することが出来る。
光に関しては、詳細なことはわかっていないが水と同じく治癒能力があると考えられている。
闇は全てが謎に包まれており、魔物が使用するのが闇属性ではないかというのが一般的な考え方だ。
妖精2属性はエルフの歌魔法。ドワーフの創造魔法。の2種類が含まれている。
第2章~魔法の使用について~
魔法は前章でも触れたとおり、魔力を使用することによって発動します。
そのため、まず自分の中に存在する魔力を認識しなければなりません。
魔力の認識は人によってやり方は異なりますが、ここでは一般的な方法を挙げておきます。
自分の胸に手を置き、目をつぶりまず。
心臓の音に集中しつつ、身体の中に精神を広げていくようなイメージと共に自分の中にある、貯蔵庫のような部分を探します。
人によって、色や量もことなりますが自分の中にたまっている物を探し当てれば、それが魔力です。
そして、物体の色が属性を指します。
属性の色は下の表を参考にしてください。
火→赤色
水→紺色
雷→黄色
風→緑色
地→茶色
氷→水色
魔力・属性を認識することが出来るまでは、これを繰り返してください。
間章 ~属性の詳細解説~
より実践的な魔法の使用の前に、各属性の特徴を捉えておく必要がある。
火属性
炎を扱う属性で、広範囲攻撃に特化している。
広範囲にわたる攻撃をすることが出来るが、ピンポイント攻撃には向いていない。
また、制御が難しい属性で未熟なものが使うと鎮火することが出来ず、2次被害につながることがある。
水属性
水を扱う属性で、治癒や防御を得意とする。
攻撃魔法も存在するが、水が無い場所では不利になることが多く、空気中の水分を使用した防御結界や治癒能力を促進するなどのサポート系の術が多い。
先にも述べたとおり、砂漠や火山などの湿度が低い地域や水分の無い場所では本来の力を発揮することが出来ない。
雷属性
雷を扱う属性で、ピンポイント攻撃に特化している。
スピードと命中率では、トップクラスである。しかし、術に伴う轟音により位置を特定されやすい。
相手が少人数なら問題は無いが、大人数となると不利になる。近くに水分があると仲間に帯電する事があるので使用には注意が必要。
風属性
風を扱う属性で、広範囲攻撃に特化している。
広範囲にわたるカマイタチによる攻撃や、仲間への伝達などをつかさどることが多い。
風魔法は莫大な魔力を使用するため、連射することが難しいので使用の際に魔力残量に注意が必要。
土魔法。
土を扱う属性で、身体強化に特化している。
己に魔法をかけ、身体能力を通常の数倍にした状態での戦闘を可能にすることができる。
しかし、一歩間違えると違う術式をかけてしまう場合があるので練習を積んだ上で自分にかけるひつようがある。
氷属性。
氷を扱う属性で、連携を得意とする、
氷魔法単体でも、かなりの破壊力を持つが他の魔術との連携プレーによってさらなる大きなダメージを与える出来る。
しかし、氷は水属性と同じく空気中の水分を使用するので、砂漠や火山では使用できない。
第3章 ~魔法の実践的使用法~
魔法を使用する際にもっとも必要になるものはイメージ力である。
そのため、魔法を始めた直後は決して発動中に別のことを考えないように。
魔法の発動は大きく3つのステップに分けられる。
STEP.1
魔法の発動の仕組みは、自分で技の構造・機能・性質を定めるところから始まる。
これらの3つの要素をより具体的にイメージすることによって、発動した魔法の効果も増加する。
このとき、より具体的かつ明確なイメージを構造することで正確性や威力に大きな影響を与える。
STEP.2
その術式を構成するのに必要な魔力をイメージして、先ほど構築したイメージに合体させる。
魔力は、下級魔法、中級魔法と段階ごとにだいたいの量が決まっているのでその量を経験的に身に着けていく必要があります。
STEP.3
技名ないしは、その術に関連する言葉に乗せ、今までイメージだったものを具現化し発動する。
言葉、通称『言霊』とよばれますが本人が最も技に関連すると思うものに乗せることが大切です。
これが、魔法の発動の仕組みである。
しかし、実際はイメージをすべて口に出すことによって、より明確かつ具体的な技を構築するのが一般的である。
上に述べたのはあくまで、発動の仕組みであるの全ての人間が出来るとは限らない方法である。
これらの流れを一瞬で出来てこそ魔術師ないしは魔法使いを名乗ることができるのである。
例)下級魔法 ファイアーボール
1、イメージは炎の玉。大きさはこぶし一つ分。目の前の的に向かって一直線に飛んでいき、着弾とともに的が燃え上がる。
2、魔力は自分の中のこれくらい。後、100発ほど撃てる量。
3、「炎よ弾となり、的を撃ちぬけ!ファイアーボール!」
これは、著者である私が初めてイメージした際のものなので参考にしてください。
第4章 ~魔獣契約について~
この章では召還魔法の1種である。魔獣契約について解説する…。
***
そこで、俺は本をバタっと閉じた。
やはり、本だけでは中々わかりにくいところがある。
「なんだっけ?あ、魔力のイメージね。」
とりあえず、認識できるかやってみることにした。
思ったら即実践が、俺のポリシーだ。
イメージする。
心臓の上に手を置き、身体の内部に入っていくようなイメージ。
ドクッドクッドク…。
心臓が動いているということに少々喜びを感じつつ、身体の中を探し回るイメージ。
心臓。血管。肺。血管。肝臓。
イメージとはいえ徐々に鮮明に探していく…。
っと今までに何も感じたことの無い部分に、『何か』が存在していた。
「これだ…」
なぜかはわからないが自然とその『何か』を認識していた。
意外とあっさり見つかったそれは色は赤色。否。どす黒い赤色。
コーヒーにミルクを混ぜたように黒色の物と赤色の物が渦のようにグルグルと動いている。
その様子をしばらくじっと見ていた。
パッと目を見開きながら今、見たものを思い出す。
「これが魔力か。」
一度認識してしまったせいか、今は体調がわかるように魔力も感じることが出来る。
ミカエルも言っていたが俺は火属性と闇属性を持っているらしい。
本をくまなく探してみたが、闇属性については一切が謎に包まれているのでわからなかったが火属性については大体理解した。
「つまり、あれか。魔法を使うには、原型となる構造・機能・性質に魔力を加えて、言霊と共に放出すればいいんだな…。だけど…」
うーん。と俺は頭を抱え込む。
俺は、考え事をするときは声に出すので、独り言にしてはぶつぶつと色々としゃべっている。
「一回、誰かにやってもらったほうがいいな。」
『百聞は一見にしかず』。先人の知恵はたぶん役に立つだろう。
そう思いながらベットの上に本を置き、1階に下りていった。
「おう、タツヤ!ちょうど、呼びに行こうとしていたところだ。王国軍がもうすぐ到着するそうだ。急いで来い!」
階段の途中でオリクさんに会った
「わかった。案内してくれ!」
約束だったし、この世界の軍というは気になった。それにもしかしたら魔法を使うかもしれないと期待してオリクさんについていった。
連れてこられたのは、昨日俺たちが打ち合った広場だった。
「あれ?門じゃないのか?」
「あぁ。まぁ、やってくればわかるさ。」
「え?…」
徐々に地面が黒くなり
バサッバサッバサ…
何かの羽音と共に、空から馬のようなものがゆっくり降りてきた。
パッと上を見上げた俺は唖然とした。
「なんだ、こりゃ!?」
そう、空から降りてきたのは羽が生えた馬。天馬と称されるペガサスだった。
しかし…
「これって…ペガサスか?」
「おぉ。見たことあったのか?さすが旅人だな。」
オリクさんが笑いながら答えるが…
「いや…毛の色おかしくないか??」
そう、このペガサスは毛の色が普通の馬と同じ茶色なのだ。まぁ、1匹だけやたら赤いのもいるが…。
「色?おかしくないだろう。。」
「いやだって。ペガサスって言ったら白じゃん!」
「あぁ、皇女殿下のペガサスのことを言っていたのか。ペガサスは普通は茶色だが、あの方のペガサスのみが王国で白色をしてるんだよ。」
ちなみに王は金色の毛並だそうだ…。
「そうなのか…。」
なんか期待を裏切られたような微妙な気分になった。
その時、地面に降り立ったペガサスから一人の騎士が降りてきた。
「救援の報を受け、やって参りました。村長殿はどちらでしょうか?」
いかにも騎士という格好の人から聞こえたのはきれいな女の人の声だった。
「わしじゃ。」
人垣の真ん中あたりにいた老人が、一歩前に出る。
「お初にお目にかかります、王国航空部隊第2番隊隊長を勤めさせていただいているニーナ・ヴィクトリアです。」
「お噂はかねがね聞いております。長旅でお疲れでしょう。ささやかながら食事の準備をさせていただいたので、こちらへどうぞ。」
「ご配慮、感謝します。皆の者、食事だ。感謝していただくように!」
「「「は!!」」」
そうして、5人の騎士が村長の住む館へと入っていった。
いかがでしたか?
感想していただいた方、ありがとうございます。
これからも、ご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします。