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第12話 闇と光

更新だいぶ遅れました。すいません。


それでは、どうぞ。

訓練所から帰ってきた俺はモナと共に昼食に向かった。

場所は昨日王族の方々と食べた場所だ。


モナに案内されて中に入るとフィーナがいた。


「あら、タツヤさん、午前中はどこに行っていたんですか? 呼びに行ったときにはもう出かけていたみたいですが…」

俺も、モナに椅子を引いてもらい席についた。


「訓練所に行ってたんだよ。んで、ニーナさんにコテンパにやられたよ…」

先程やられた光景を思い出しながら答える。


「当り前といえば当り前ですね。彼女は学校を飛び級で卒業すると同時に、当時の隊長を打ち負かして今の位に収まる程の実力者ですから」


「それはすごいな…。ニーナさんもやっぱり貴族なんですか?」

素直に感心した。それと同時に騎士も貴族なのかちょっと気になった。


「…ニーナは私が子供だったころにお父様が連れてきた子で、私の親友であり姉のよう存在なんです。ですから、彼女は血統的には貴族ではありません」

過去に何かあったのか、フィーナはちょっと哀しそうな表情をしていた。


「そうなんですか。でも、仲の良い姉妹みたいってちょっと羨ましいですね!」


「いぇ…初めのころはそんなに仲は良くなかったんです。当時のニーナはトゲトゲしていて人を寄せつけなかったので。ニーナは魔物に襲われていたところをお父様に助けられ、王族の専属騎士見習いとして、私の話し相手として、私のところに連れてこられました。その時のニーナの顔は本当に怖かった…。でも、月日が経つにつれて徐々に打ち解けていきました。おかげで今ではそんな感じは全然しませんね」

そう言い終わるとフィーナは運ばれてきた紅茶の入ったマグカップを手に取った



なんで、王族がわけもわからない人を受け入れたのかわからなかった。

…どういうことなのか非常に気になったが、これ以上の詮索は不躾だろう。


っと俺のところにも料理が運ばれてきたので一旦会話はやんだ。

昼食は米のような物が出たので驚いた。



「ごちそうさまでした」

パンッと手を合わせて空いた食器に向かって一礼する。


そんな様子をモナも他のメイドさん達も不思議そうに見ていた。


「タツヤさん、『ごちそう、さま?』というその動作にはは何の意味があるのですか?」


「あぁ、これは俺の住んでいた地域の慣わしてで食材を作ってくれた人、食事を作ってくれた人、この料理に関わった全ての人に感謝の意を表す動作だよ」

日本の良き文化をごまかしながら彼女達に説明した。


「そうなんですか…。『ごちそうさま』王族としてこれは取り入れるべきかもしれませんね…。」

何やらまじめに考えているフィーナ。

そんな様子を見ているとやはり気品のようなものが漂っている気がする。


「まぁ、そんなに大げさにしなくてもいいよ。 それより、さっき俺のことを探していたみたいなことを言っていたけど何か用があったんじゃないの?」


「あぁ、そうでしたね。タツヤさんに魔法を教えてあげてはどうか? っとお父様から言われていたので、どうするか確認しようと思いまして…どうしますか?」

王族自ら教えるのはどうなのだろうと思ったのだが…


「いいのか? 仮にもフィーナは王女様だろ?」

こんなセリフ普通に言ったら不敬罪だろう…。


「王女様扱いはやめて下さい…友達にそれを言われるのはイヤです…」

ちょっと泣きそうになってしまった。…ヤバイ。ヤバイ!


「ごめん! でも、魔法ならそれこそニーナさんとかに教えてもらったほうがいいのかなと思ってさ」


「グスンッ。タツヤさんの魔法のことを知っているのは、私たち王族とニーナだけです。ですから、あまり人目に付く場所で練習したくないのです。それに、光と闇は文献によると似ているところがあるようなので私が直接教えたほうがいいと思いまして」

いつの間にか、部屋からメイドさんたちが消えていた。

…モナを除いて。


「あぁ、そうでした。モナにも大体のことは話しています。彼女のことはお父様も一目置いているので、信用してくださって構いません。」

なんでそんな人を俺のメイドにしたんだ…?

疑問は重なるばかりである。


「なんか、俺の知らないところで色々起こっているんだな…」


「えぇ。彼女は護衛兼監視役です。タツヤさんのことは信用していますが、闇魔法とはやはり得体の知れないものなので…すいません」

本当に申し訳なさそうに謝るフィーナ。


「構わないよ。俺がフィーナの立場だったら同じことするもの。こんなに良い待遇をしてくれていることのほうが意外だよ…」


「…しかし、タツヤさんのことを単純に利用しようとしているだけかもしれませんよ?」

何やらフィーナの顔に影がさしている気がした。


「利用されるだけの価値があるならいいさ。それで、誰かを救えるなら俺は構わないよ…。そのことをオリクさん達も望んでいるだろうし…」

天界にいるだろうオリクさんのように誰かを守るために必死になる。

そんな生き方にいつの間にか憧れているのだった。



「…立派ですね。私と同じくらいの歳なのに、そんな考え方が出来るなんて。私なんて…」


「なぁ、気になっていたんだけど…フィーナって何歳?」


え? という顔をしてフィーナが苦笑しながら答えた。

「女性に歳を聞くのはあまりよくないことですよ。私は、今年で18になります。タツヤさんは?」


…待てよ。地球にいた時に17だったけど、あれから10年+α経ってないか?

この場合って…。


「あ! すいません。タツヤさんが育った環境は…」

今度は頭を深く下げて謝ってきた。

俺は孤児院で育ったことになっているから、当り前といえば当り前の反応だ。


「いや。気にするな。それと、俺は誕生日はわからんがフィーナと同じで今年18になる」


「え? 本当に同い年…でも、誕生日がわからないのは。。」

何やら少し考えるようなしぐさをするフィーナだったのだが…



「なぁ、フィーナ。俺達、話がメチャクチャ脱線していないか?」


あ! と驚くような表情をしたのに恥ずかしそうに話し始めた。

「そうでしたね…。それで、私がタツヤさんに魔法を教えてもいいかしら?」


「構わないというより、むしろこちらからお願いするよ」

俺が返事をするとフィーナはパッと笑顔になった。


「本当ですか! では、早速練習しに行きますか?」


「あぁ。そうだな。午後は特に用事ないし…」


俺が食事を終えるのを待って、俺達は部屋を出た。



俺達2人が廊下を歩いている少し後ろからモナも付いて来た。

「なぁ、さっきから言おうと思っていたんだけど…モナ。なんで一緒に歩かないんだ?」


「それは、メイドたるもの主人の一歩後ろから…」


「別に気にしないし、俺は貴族でも何でもないんだからさぁ~」


「しかし、タツヤ様が私の主人であることには代わりはありませんから…」


そんな俺達のやり取りを見てフィーナがクスッと笑った。

「モナ。そんなにお父様に言われたことを真剣に考えなくていいですよ。いつもそんなのでは疲れるでしょ?」


「しかし、フィーナ様…」

何か言おうとしたモナにシィーと人差し指を口の前に持ってきてフィーナがそれをやめさせた。



そんな感じで俺達はフィーナを先頭に城内を歩いていた。


「さ、着いたわ」

案内されたのは城の中でも結構端のほうに位置する石造り扉の前だった。

とても重そうな扉でフィーナの力では開きそうにもないと思ったのだが、彼女が紋章のようなものに触れると音も無く扉が内側に開いた


「ここは、王族が光の魔法を練習するために作られた場所なの。タツヤさんの闇魔法を人に見られるわけにはいかないので、お母様がここを使いなさいって…」


「お母様?」


「ええ。お父様は王族直系ではないので、光の魔法を使うことは出来ないの。王族直系はお母様ですが、この国では女王は認められないのでお父様が王を名乗っているのです。」


「完全に男女差別だな…。ところで、ここの部屋ならいくら魔法をぶっ放しても平気なのか?」

あたりを見渡しながら一応聞いてみた。


「ええ。ここの壁には光の結界魔法と水の結界魔法が重ねてかけてあるから、そう簡単に壊れることはないはず…」


「なら、安心だな…。んじゃ早速始めてくれるか?」


「はい。でも実践前に、まずいくつか質問させてもらいます。タツヤさんは魔法についてどれほど知っていますか?」


「どれほどって言われても…。ただ、魔法に関する知識は本で読んだ程度だし、使い方もオリクさんに習った程度かな…」


「セラフィストや光、闇属性については?」


「詳しいことは何も…。各属性の特徴と、炎の魔法の使い方だけしかわからない」


「そうですか…。では、光と闇について簡単に話しておきましょう」

そういってフィーナはゆっくり語り始めた。


「魔法には基本6属性の他に光、闇属性が存在していることは知っていますね。私達が使っている光、闇については殆ど文献には記されていません。これは、秘密を守るためと謎が多いからです。一般的に光属性は創造を、闇属性は破壊を司っています。しかし、光や闇というのは完全に定義することは不可能な存在です。そのため、術者によって全く違った魔法を発動するのです。私達王族でも、私は水と光のセラフィストということもあり回復系統が得意ですが、お母様のように風と光のセラフィストだと疾風迅雷。つまり、高速攻撃を得意とします。闇属性については、なんとも言えませんがタツヤさんは、炎と闇なのでたぶん…大規模攻撃魔法を得意としているはずです。だからというわけなのかはわかりませんが光属性はコントロールすることが非常に難しいのです。それは、イメージするのが難しいということだけでなく闇魔法は特にだと思いますが心を強くする必用があるのです。光属性の場合、誰かを治療する際に断片的ではありますが対象の痛みや苦しみが伝わってきます。タツヤさんに闇魔法を見せてもらった時の恐怖から考えると相当心を強くしないと闇魔法を使いこなすのは難しいと思います。それに、光単体、水単体のように属性を使い分けることもできるようにならなくてはいけないし…」


ふぅ~と言いながらフィーナが息をついた。


「まぁ、説明ばかりではわかりにくいで実際にあの的に向かって闇魔法のみで攻撃してみて」

フィーナはそう言いながらわら人形のようなものを指差した。





イメージする。

闇。黒。人差し指くらいの黒い弾丸。

イメージする。

まっすぐ的に当たり、破壊する。

イメージする。

魔力の蛇口をひねる。


「ダークショット!」

そういいながら俺は指を前に突き出した。


その瞬間ぶわっと、俺の身体の周りを黒い煙のような物が渦巻き始めた。

それは次第に大きくなり。

プツッと消えてしまった。


「あれ?」

俺のイメージしたのは黒い弾丸なんだけどなぁ…



「やっぱり…」


「どういうことだ?」

何かわかったようなのでフィーナに聞いてみる。


「昨日見せてもらった魔法なんだけど…あれは闇魔法をではなく、火属性の魔法の上から闇の魔力を放出している物なのだと思うの。黒い鎌についてはちょっとわかりませんが、あの鎧に関しては闇魔法ではないと思います。光を単体で発動する場合はあのように一定の形を保つことは難しくどうしても形が定まらないことが多いのです。つまり、タツヤさんは闇魔法を純粋に扱うことはまだ出来ていないということです」


「なるほどな…。んじゃあどうすればいいの?」


「タツヤさんは詠唱していないところを見ると自分の魔力をしっかり認識できているわね?」


「まぁ…」


「なら、自分の中の魔力が火の属性のものと闇属性のものに分かれているのを確認して闇魔法のほうの魔力だけを使って魔法を発動してみて」


「う~ん。なんか火と闇が混ざっているような気がするんだけどなぁ…」


「それは、まだ認識が完全ではない証拠。もっとしっかり認識して」

フィーナはなかなか厳しいようだ。


「とりあえず、やってみるよ」





イメージする。

闇。黒。人差し指くらいの黒い弾丸。

イメージする。

まっすぐ的に当たり、破壊する。

イメージする。

魔力の蛇口をひねり、黒い魔力のみをしぼりだす。



「ダークショット!」


再び人差し指を的にむけ、俺は叫んだ。

人差し指に黒い弾丸のような物が現れ、的に向かって飛んで……いかなかった。


弾丸が俺の人差し指のところに現れたのだが、すぐに形が崩れ始め胡散してしまった。


「まだ、駄目か…」


「闇の魔法をコントロールするのは難しいことですから気長にやっていきましょう」

フィーナに励まされながら俺はその後、何度も何度も的に向かって闇魔法を撃つのであった。




「やっぱ、出来ないな…」

約2時間撃ちまくっていたのだが、あまり進歩が無い。


「…すごい魔力量ですね。こんなに撃っても魔力切れにならないなんて」


そう。進歩は無いと言っても弾丸自体は構成できるようになったのだ。

しかし、制御不能でさっきからフィーナやモナがしきりに結界を張って自身を守っている。


「ダークショット!」

黒い弾丸が俺の指から発射される。

ものすごいスピードで飛び出していったが、まるで生き物のように無作為に動いていく。

しばらく四方八方に動いていた弾丸だが俺のこめた魔力が消えるとシュンっと消えた。


「また、失敗か…フィーナもう一回見せてくれ」


「わかりました…。でも、私もそろそろ体力がきつくなってきたのでこれがラストですよ」


「うん。それで、かまわないよ。お願い!」


「しかたないですね…『ホーリジャベリン!』」


フィーナが手を前にかざすとゆらゆらと形を保っている光の槍が空中に浮いていた。

そして、フィーナが手を振りかざすと同時に槍は的に向かって一直に進んでいき、的の頭の部分に命中した。



「やっぱ、すげぇな…」


「タツヤさんもコントロールさえ出来るようになればこれぐらいのこと簡単にできますよ。とりあえず、私も魔力が限界ですので今日はこでれで、終わりにします」


そういいながら、俺達は部屋の片づけを始めた。


いかがでしたか?


いつの間にか、お気に入り登録も130件を超えて正直驚いています。

まだまだ、未熟者ですがこれからも読んでいただければ幸いです。


ご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします。

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