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第11話 訓練所

昨日は投稿できませんでした。

これから少々、更新が遅れるかもしれません。

「ふぁぁぁ~~」

他では絶対に見せられない王女の一面である。

ベットに身体を投げ出し、服がしわになるの構わずに横になる。


疲れた…。

本当に疲れた…。



同い年くらいの男の子と話したのはいつ以来だろう?

王室主催のパーティーなどで何度か貴族の御曹司と話したことはあるが、それだけだろう。

父様が政略結婚に反対してくれているおかげで、他国の王子などと会う機会もなかった。

別にそれに不安があるわけではなく、むしろ感謝している。


しかし、今日は母様に言われたということもあるが男の子と2人きりで数時間過ごした。

人生初の経験で、最初は戸惑ったが徐々に楽しくなった。

まるで、ニーナやメイド長であるヘレンさんと話しているような砕けた口調だった。


「それにしても…タツヤ。不思議な男の子だったわ。でも、王女である私をフィーナって…ゴニョゴニョ」

思い出すと無性に恥ずかしくなってくる。


あんなに、素のままに怒ったのはいつ以来だろうか?

なんか、タツヤといると調子が狂うのだ…。



タツヤが魔力暴走を起こして目を覚まさない間にも思ったのだが、何故か放っておけない存在なのだ。

始めは父様の命令で光属性の治癒魔法で精神の傷を癒していたのだが、4日後には自分からタツヤの部屋へと向かっていた。



タツヤは黒髪に真紅の瞳で闇属性と火属性を扱う。

私は銀髪に蒼い瞳で光属性と水属性を扱う


はっきり言って正反対の存在だ。

それでも、どこか似ているような気がした…。



そんなことを考えながら私は夢の世界へと入っていった。



***


部屋に入った私の目に映ったのは、猫のように丸くなって寝ている王女殿下のお姿。


「フィーナ様。また、こんな格好でお休みになって…。明日の朝が忙しくなりそうですね…」

そう呟きながら、布団を掛けて差し上げる。


そして、部屋を後にすると

「ヘレンさん、客室への配膳終わりました」

という声が聞こえてきた。


「ご苦労様。貴方も今日は休んでいいわ。後は、私がやっておくから」


「すいません。メイド長。お言葉に甘えさせてもらいます」

そういって、彼女はスタスタと去っていってしまう。


「遠慮くらいしなさいよ…。まぁ、後は日誌をつけるだけですから別に構わないのですが…」

そういいながら自室に戻った。





***


「今日もいい天気だな」

メイドさんの持ってきてくれたフレンチトーストをほお張りながら、そう呟く。


「そうですねぇ~」

この人は、昨日から何度も俺の世話をしてくれているメイドのモナさんだ。

先程、起きたときに自己紹介してくれた。

何でも、王様の命令で俺専属のメイドさんとなったらしい。

歳は俺より2、3個上で、ブロンズ色の髪の毛が良く似合っている。


「それで、今日は訓練所に顔を出そうかと思ってるんだけど何か許可とか要る?」


「ご主人様がそう言うと思って、既に王様から許可は得ていますよ。」


「え? モナさんそんなこともわかるの? それとご主人様もやめてって」

一概の高校生がご主人様と呼ばれて喜ぶのはちょっと…。

うれしいことはうれしいけどさ…。


「いえ。王女様が昨日行っておりましたので…ご主人様ではいけませんか? それと『さん』はつけなくいいですよ」


「ならそっちもご主人様やめて…」


「そういうわけには…」


…などと小学生レベルの口論を繰り広げていた。モナさんは意外と諦めが悪いようだ…。


「はぁ。はぁ。」


「ふぅ~」


20分ほど話したところで決着がついた。

「それで、タツヤ様。何時行きますか?」


「こ、食べ終わったら出るよ。モナも来るか?」


「お供します。タツヤ様」


なんでも、メイドとして主人を様付けじゃないのは論外らしい。




朝食が終わると、早速昨日行った訓練所に向かった。


訓練所に近づくにつれ何やら声が聞こえてきた。

そして、剣を交える音も…


「おお。やってる、やってる!!」


俺が訪れたのは武術の訓練所だ。

中では騎士達が、互いに打ち合いをしている。

遠目から見る限り、真剣を使っているようだ…。


「怪我しないのかな…」

そんな様子を見て、呟いた俺にモナが丁寧に答えてくれた。


「あれは、真剣だけど先に小さな結界を張り、切れないようにしてあります。だから、あのように剣先の色が異なりまる?」

言われて見れば、剣先が赤だったり青だったりしている…。


「なるほどね…もっと近くまで行ってみよう」

そして、俺達は武術訓練場の中にまで足を踏み入れた。



「もっと、腰を入れろ!! そこ、怠けるな!!!」


「すいません!!」


「素振り300回終わりました!!」


…っとまぁ予想通り、鬼教官っぽい人が騎士たちをしごいていた。


「ジョマンダー将軍! そろそろ軍議の時間が…」

男たちの声に交じって女性の声がした。


「あっ!」

咄嗟に俺は声を出してその女性のことを指さしてしまった


その瞬間、訓練していた騎士や将軍と言われていた鬼教官、そしてニーナさんの視線が俺たちに集まった。


「タツヤか? どうしてこんなところに来ているんだ?」


「ちょっと見学がてらに来てみたのですが…場違いでしたかね?」

そう。黒いパーカーを羽織った俺にきっちりとメイド服を着たモナさんがむさくるしい訓練所にいるのは明らかに場違いだった。


「いやいや全然かまわんぞ! 少年! 君にはとても感謝しているしな!!」

先ほど騎士たちを叱っていた鬼教官が話しかけてきた。


「誰ですか…?」

感謝しているのはきっと盗賊がらみのことだろう。


「俺としたことがすまないな。俺は王国陸上部隊第1番隊隊長、ジョマンダー・ブリティシュタインだ。あの悲劇の翌日に村に救援としてかけつけた時に一度あっているから会うのは2度目だな。もっとも、前回は意識がなかっただろうから、実際は今回が初めてということになるだろう」


「そうでしたか…あ、俺はタツヤ。タツヤ・アカバネといいます」


「タツヤね。んじゃ俺は用があるから今日は会えないが積もる話もあるしまた、いつでも来てくれ」

そういいながら将軍は、訓練所から出て行った。


「いったいなんだったんだ…?」


「きっとジョマンダー将軍は、タツヤの実力を知りたいのだろう。将軍は生粋の戦闘狂だからな…。もちろん私もタツヤの実力を知りたいんだが…ひとつ手合わせしてもらえないだろうか?」

そこにニーナさんがやってきた。


「手合わせですか…。ずっと寝ていて身体も鈍っていそうだから……お願いします」

先程の魔法をかけておけば、傷つくことも無いだろう。


「そうか。私もこの後は時間が空いているからな。おい! 訓練所の一部を借りるぞ」


「はい! ニーナ部隊長」


そういって騎士達がどいてくれた。

そのおかげで戦うには十分すぎるスペースができた。

大きさにして大体バスケットボールコート1面分ほどだろう。


「武器は持っていないようだから…この中から好きなものを選んでくれ」

そういってニーナさんはある木箱を指差した。


中を覗くと大小様々な武器が入っていた。

小さいものは果物ナイフ程度のサイズだし、大きいものは俺の身長くらいありそうな大剣だ。

その中から、扱いやすそうな日本刀のような細身の剣を選んだ。

細身といってもさすがに日本刀ほど細くない上、両側に刃がついている。


「これにするよ」

ニーナさんに剣を見せると静かにうなずき

「では、刃に結界をかけてくれ」


要領はファイアーアームと同じで刃の一部分を赤色の結界が包みこんだ。

実際のところ、この結界はファイーアームとは少々違うのだ。

この魔法は自分に結界をかけるのとは逆に外からの衝撃は受け付け、中からの衝撃は吸収されるというものだ。

つまり、結界を裏返したものだ。


「はい。できました。」


「よし。ルールはどちらかが負けを認めるまでか気絶するまでだ。当たり前だが殺しはなしだ。ただし、魔法の使用は禁止だ」

何やら含みのある言い方だった。



お互い距離を取って剣と槍を構える。

ニーナさんは槍使いのようだ。


騎士の一人が審判役をかって出た。

「では、行きます。カウント3.2.1.試合開始!!」


瞬間、ニーナさんが消えた。

いや。消えてはいなかった。

槍を前に突き出しだが体制のまま、身体を限界まで傾け、突っ込んできたのだ。


8mほど離れていた距離も2mの槍にスピードも上乗せされ相当な威力になっている。

いくら結界が離れていてもあれをまともには食らえば怪我するのは確実だ。


剣でなめすなどの高等技術は俺にはない。

幸い槍には莫大な攻撃力の反面、突くと言う動作により大きな隙を生む。

だから…俺は前に走り思いっきり飛び上がった。


身体強化されている上、助走もある。

そのままニーナさんの上を飛び越えた。

反応したニーナさんが槍を傾けたが俺のほうが一歩早かった。


両者が振り返り、立ち位置だけが入れ替わった。

そして、今度はこちらから切りかかった。


しかし、それはニーナさんの持つ槍にとめられてしまう。

カッという鈍い音が訓練所内に響いた。

リーチの差があるせいでニーナさんには全然届かない。

その上、俺は攻撃範囲内にいるので防戦一方だ。


ミスった…

と思ったときには時既に遅し…



オリクさんとの時は剣同士の打ち合いだったが、今回は槍と剣だ。

武器性能だけでなく立ち回りも違う。


このままでは俺の攻撃が届くことは無い。

体力には自信があるが、さすがにいつまでもこうしているわけにはいかない…。


しかし、そこでニーナさんがバックステップで後ろに下がった。

どうやらまた、突っ込んでくるようだ。


今度も飛び上がろうかと思ったが閃いた。


先程と同じように突っ込んできたニーナさん。

なんとなく剣先が上を向いている気がした。

そこに、俺も体制を低くして向かった。


突進しているニーナさんは途中では止まれない。無論俺もだ。

ニーナさんが目を見開いて驚いているようだ。

そこに俺もは槍の横ぎりぎりを通り、マンガで見た居合い斬りを食らわせた。


「っ!」

とニーナさんが驚いたような声が聞こえた。


確かな手ごたえを感じたことから勝ったことを確信して、振り向こうとした瞬間。

首に衝撃が走り、俺は前に倒れこんだ。



…何が起こった?

わからないが、俺は倒れている。



「勝者、ニーナ部隊長!!」

審判をやっていた騎士の声が聞こえる…。




「おしかったなタツヤ」

そういいながらニーナさんが俺に手を差し伸べた。


「何が起こったんですか? 手ごたえがあったのですが…」


「あぁ。確かにあの攻撃は危なかったぞ?だが、動作が大きすぎて軌道が簡単に予想できた。だから、受け流させてもらった」

どうやら、俺がニーナさんに当たったと思った剣先は槍の持つ部分に当たり、俺が振り向く前に首に手刀を打ち込んだようだ。



「それにしても、タツヤは動きは一流だが剣の扱い方は素人みたいだな」


「そりゃそうですよ。剣など習ったこと無いですから」

まぁ、地球にいたころに学校の剣道の授業で少しはやってはいたが…


「そうなのか? それならば明日から稽古するか? 最も私はやりだからジョマンダー将軍に頼むことになるが…」

ジョマンダー将軍の厳しさは先程目の当たりにしているので少々尻込みしてしまったが、この先生きていくうえで剣を習っておくのはプラスになるだろう。

そう判断した俺はお願いすることにした。



「お願いします」

きっと将軍ってことだからニーナさんよりも強いのだろう。

そう言って俺は、ニーナさんと明日また会うことにして訓練所を後にした。




ニーナさんと打ち合えてよかったのかもしれない…

今は亡きオリクさんと結構まともに打ち合えていたから、結構自分は強いのだと調子に乗っていたのが改めて自分の弱さを思い知らせれた。


そんなことを考えながら俺とモナは城に戻ることにした。

ちなみに、モナは俺が戦っている様子もじっと見ていたのだった。




今回は少々短めです。


お気に入りに入れてくれている方、感想くださっている方、いつもありがとうございます。

これからもご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします。

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