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第1話 最後の日

皆さん、こんにちは!!


うまく書けるかわかりませんが、頑張りますので温かく見守っていただければ幸いです。

俺の名前は赤羽龍也(あかばねたつや)。どこにでもいる高校3年生だ。

受験という名の呪縛に囚われている。そして、着々と迫る受験に対して先もわからない道をただひたすら前に向かって歩んでいる。

別に受験などどうでもいいのだが、周りの雰囲気に流されつつある。


そんな俺は昔から運動も勉強も平均的。他の皆より目立つわけでもなく存在感が無いわけでもない。

黒髪に、茶色の瞳、身長168cmと少々小柄な体格の一般的な格好。

そう、俺は普通。普通の男子高校生だ。




え?なんで、こんな話をしてるのかって?

それは、俺のことをできるだけ多くの人に覚えておいてもらいたいからだよ!

もう、みんなとは会えないみたいだし・・・。



時は3時間ほどさかのぼる・・・・。



***


キーンコーンカーンコーン。カーンコーンキーンコーン。


学校。それは青春時代の宝箱。

学校。それは愛と希望に満ちた楽園。

学校。それは勉強という名の暴力を振るう監獄。


今、俺は学校にいる。

正確に言うとだれも周りにいない学校で最も高い場所。つまり屋上にいる。

なぜかって?

高校3年生の9月といったら受験が徐々に迫ってきて周りがピリピリしだす時期だ。

そんな中、受験なんてどうでもいいと思っている俺が周りの雰囲気に耐えられるわけもなくそそくさと教室から脱出してきたのだ。


まぁ、屋上といるからといって別に、カップルがイチャイチャしているところに出くわすわけども、不良に絡まれているわけでもない。ただ、なんとなく寝そべって空を眺めていた。


「受験して、大学は行って、就職して、あわよくば結婚して、子供ができて、老後を迎えて・・・そして、死ぬ。人生詰まらんものだな・・・」


っと、何かを悟ったような人のセリフをつぶやいてみる。

まぁ、実際何度もそう思ったことはあるし、失恋したときには自殺を考えたこともあった。


だが、結局この運命からは逆らえない。それが現実ってものだ。

『現実を見ろ。』

親にも先生にも塾の講師にも言われるセリフ。


現実のどこがいいのだろうか?

かといって空想を肯定する気は無い。


アニメや漫画、そしてドラマや映画。

確かにあこがれたことは何度もあった。

銃弾を踊るように避けたり、未来から来た機械と戦ったり・・・。


しかし、ここは日本。

銃などアメリカに行ったときに少々撃ったことがある程度。

映画のヒーローからは程遠い。



「退屈だ・・・」


これが最近の俺の口癖。

親いわく、退屈なら勉強しろ、1単語でも多く覚えなさい。

まぁ、言いたいことあはわからなくはないが・・・。



今日もいつもと同じような日になるだろう。

そして、明日も、明後日も、明々後日も・・・・。


「よっと」

寝転んでいた俺は、立ち上がり教室に戻ろうと屋上の扉へと向かう。



教室の中は静かだった。

いゃ、ある意味うるさいことはうるさいのだが。


「数学的帰納法によりこの部分は・・・」

「Harry has not meant to say that at all, and ・・・」

「太祖大イニ怒リ、其ノ・・・」

「寛政の改革によって、江戸は・・・」


そう、この雰囲気、atmosphereについていけない。

っというかついていきたくない。


今日の午後は授業ではなく自習時間。

皆、それぞれの参考書を手にブツブツつぶやいている。


そんな中、俺は携帯で棒人間が自転車に乗って障害物を避けながら走っていくあのゲームの自己ベストに挑戦していた。


「・・っく。あと、78mだったのに・・・。あそこで3連続とはな・・・。」

噂のチャ○走である。



自己ベストが出るころには下校時刻になっており、気の会う仲間(馬鹿)×3と帰路に着く。

いつものようにたわいも無い話をしながら、大通りに沿って歩いていく。


「いや、あのグラビアすごいんだって!もう、見てるだけでさぁ・・・」

「はいはい。お前の趣味はわからん。それよりさぁ、あの妹と兄のアニメ・・・」


こいつらとはなんだかんだで3年の付き合いだ。家も意外と近いので自然と仲良くなった。

そして、毎日のように引っかかる横断歩道のところで立ち止まる。

信号は赤。

あの人が歩くマークのデザイン変わらないかなぁ、などくだらないことを考えているうちに信号が青になった。


反対側の歩道から一人の女子高生が歩いてくる。

スタイルもよく、モデルといわれても納得できただろう。その子と目が合ったような気がした。


その時、大通りを1台のトラックがものすごいスピードで走りながら俺らが渡ろうとしていた横断歩道に突っ込んできた。


「「「危ない!!!」」」

俺以外の3人がそう叫びながら前に飛び出した。そして、3人で女の子を抱くような構図のまま歩道のほうに飛んでいった。


キィィィィィーーーーーーーーーーーー。ガゴォォォン。



・・・トラックはなぜか直前で大きく曲がった。

そのおかげで3人+女の子には怪我1つ無かったが・・・・軌道が変わったトラックはそのまま歩道に突っ込んだ。

つまり、歩道にただ一人佇んでいた俺にトラックは突っ込んだのだ。



***



そして、話は冒頭に戻る。

『地獄絵図』

この言葉が相応しいだろう。トラックによって跳ね飛ばされた俺の身体は、空中を舞いながら商店街の壁に激突する。そのまま、跳ね返り再び車道に投げ出された俺の身体を乗用車が轢く。手が千切れ、歩道のほうに飛んでいく。そして、転がりながら反対車線を走ってきたダンブカーに轢かれ内蔵があふれ出しているところですべての車の流れは止まった。


今、俺はこの景色を空中から見ている。

どうやら、撥ねられた時点で即死だったようだ。


後からやってきた救急隊員が俺の身体の肉片を集めている。

同時に、警察が周りに事情聴取を行っている。


吐き気を催す勢いだが幽霊?になった俺にそんなことはできない。



先ほどまで、話していた友人たちは凍り付いて、女の子は放心状態になっている。

まぁ、そうだろう。

目の前に手足が細分化されたものが転がっている上、内臓が血液とともにあふれ出しているのだから・・・。


「俺も幽霊か。これで、女子更衣室に入り放題だな。」

などと、男子なら一度は考えるであろう妄想をする。


「・・・にしても、死んだのか俺・・・。」

死体の処理をしている警察と写メを取っている野次馬を見て、ため息をつく。


「なんか、散々な人生だったな・・・。結局、一度も彼女も出来なかったしなぁ…。好きな女の子はいたけどさw」


そんなことを考えながら、ふわふわと宙に浮かんでいると目の前に金の金具で縁取られた黒い扉が突然現れた。


「なんだ、これ?」

一瞬考え込むような動作をした俺だったが、すぐに悟った。


「あ、これは天国への入り口だな!!よかった地獄じゃなくて。。。」

そういいながら、勢いよく扉を開け放った。

そして、中へ飛び込んだ。






・・・が、床が無かった。

え?幽霊なんだから平気だろって?

違うよ・・・・扉を開けた部分で気がついたんだが、この扉内部では物に直接触ることが出来るのだ。


そう、足を踏み入れて床が無ければ当然・・・・落ちるのだ。


「え?うわぁぁぁぁぁぁーーーーー。。。。。」


落ちる・・・・。落ちる・・・。まだ、落ちる・・。落ちる・。落ちた。


しかし、不思議と痛くはない。

まぁ、死んでいるから当たり前の気もするが・・・。



「ようこそ。地獄へ。」

後ろから突然、声を掛けられ戸惑ったが、その内容のほうが俺を驚かせた。


「地獄?」

そういいながら振り返ると一人いや、一体の骸骨が立っていた。


地獄。確かにそうなのかもしれない・・・。

空が赤く、地面には地割れの跡。そして、絶えず聞こえてくる絶叫。

何より目の前に立っているのは天使でなく骸骨なのだから・・・。



本や、マンガとは違って鬼がいるわけでもなければ人が八つ裂きにされているわけでもない。ただ、俺と同じような幽霊達が、石造りの椅子に座っているだけだ。

そして、椅子に座った幽霊達が何かに脅えるように絶叫していた。


「君も、ここに座ってね。抵抗はしないように。」

骸骨がそういいながら笑ったような気がした。


そして、言われたとおり椅子に座る。

すると・・・頭に軽い衝撃が走り、目の前が真っ暗になった。





黒。




闇。




黒。




トラックが真っ直ぐ、俺に向かって突っ込んできた。


キィィィィィィィー。



ドカッ。

俺の身体は宙を舞い。地面に叩きつけられる。


身体中に激しいなんてものじゃない、焼けるような痛みとともに身体がバラバラになっていく・・・。


首、腕、指、足・・・・そして内臓

もともと俺という身体だったもの、収まっていたものだ。。。


それが道路に散乱する。


友人が口を押さえる・・・。



「うがぁぁあぁっぁあ。」

死んだときには感じなかった痛みを感じる。

俺は、あたり構わず叫び続けた・・。


そして、目の前が真っ暗になった。



黒。





闇。





黒。




トラックが俺に向かって突っ込んでくる。

居眠り運転をしているのかこちらに気づいていないようだ。



そして・・・

キィィィィッィィィッィー。


ドカッ。


俺の身体が宙を舞う。

身体が肉片というただの物へと変わっていく。


激しい、いや、普通なら死ぬだろう痛みが身体を襲う。


「うわぁぁぁあぁぁぁあぁ」

焦点が定まらないまま叫び続ける俺。


そして、視界がまた暗くなる。


黒。





闇。





黒。





1台のトラックが・・・・



***


「オーランが禁忌を犯しというは本当ですか!!!」


「そのようです。そのせいで、人間界に影響が・・・。」


「オーランのはどうなりました?」


「禁忌を犯したものは、言い伝えどおり砂と化しました。」

 

「そうですか・・・・。それにしても、あのオーランが禁忌を犯すとは…。」


「そうですね・・・。あ、被害者はどうしましょう?」


「被害者?何人いるの?」


「1人です。」


「1人?その方は天界で、最高のもてなしをするとしましょう。早速、呼んで下さい。」


「いゃ・・・それが・・・・。何かの手違いで、その者は今、地獄にいるので・・・天界へは無理かと・・・・。」


「地獄ですって!!早く!早く連れ戻しなさい!!」


「は!!しかし・・・地獄に落ちたものは天界には連れて来れないのでは・・・」


「・・・。境界に連れてきなさい。精神崩壊してなければの話ですが・・・。」


「早速、連れてきます。精神崩壊していた場合は諦めますがいいですね。」


「構いません。その方に悪いですが、しょうがないでしょう。地獄での1秒は人間界での1日に当たりますから・・・。その方は感覚的には10年近く、地獄にいる気分でしょう…。」


「はっ。では、行ってきます。」



***


何日、何年経っただろうか・・・。


事故のシーンを何回、何十回。何百回。繰り返された。


それが終わり安心したのもつかの間、家族や友人、自分が好きだった女の子から罵声を受けた。

だが・・・。

徐々に罵声は暴力へ変わっていき、最後はナイフや拳銃を持って襲い掛かってきた。

俺はただ、叫んで逃げ回った。


しかし、頼んでもやめてくれない。ついには殺しかかってきた。

刺される。撃たれる。普通なら致命傷だ・・・。

だが、痛みは感じても傷は出来ない。そのため、死ぬことはない。


「これが地獄なのか・・・」

いつしか、それらを受け止められるようになっていた。


なぜか・・・。


自分でもわからない・・・。


だが、1つだけ解ることがある。

自分がどんなに痛みを受けようと、殺されそうになろうと、それは客観的なことにしか思えなかったのだ。


えっ?どうしてかって?

それは、何度も繰り返された部分が、おかしかったのだ・・・。


トラックが俺に突っ込んできたのは事実だ。

しかし、トラックは友人たちが助けようとした女の子に向かって突っ込んでいったのであって、俺に直接突っ込んできたのではない。


そのことに途中で気づいてしまった俺は、これは夢のようなものだと思ってしまったのだ。



そして、そう確信してしまった瞬間・・・・俺は光に包まれた。



***


私は、椅子に座っている1人の少年を見て思う。

地獄に捕らえられ何世紀になるかわからない私。

元々は、人間だったのか?雄だったのか?雌だったのか?それすらも覚えていない。

ただ、地獄の案内人を務めてきた。

そして今、目の前で見たことも現象が起こっている。


『死の眠り』


と呼ばれる地獄。

落とされた人を眠りの中でその人が最も恐れていること、嫌なことが永遠と繰り返される。

永遠といってもたいてい、精神崩壊して砂と化してしまうのだが・・・。


目の前の少年はパッチリと目を開け椅子から立ち上がっったのだ。


「ありえない」


そう私は思った。

夢を見ているのかとさえ…。

まぁ、夢など見れないのだが。。


だが、目の前の少年は立ち上がってこちらを真紅の瞳で見てきた。

確か、連れてきたのは昨日だったはずだが、そのときは瞳は栗色だった気がする…。

何しろ人間で真紅の瞳など見たことがない。


そして、少年はこちらを見て口を開いた。


***

「ここは、地獄か?」

目の前に立っていた骸骨に尋ねる。

なんせ、夢かなんかの世界に10年近く閉じ込められていたのだから、まず欲しいのは情報だった。


「…はい。地獄ですが。。どうやって、あなたは『死の眠り』から覚めたのですか?」

骸骨なので表情がよくわからないが口調から察するに驚いているようだ。


「『死の眠り』? なんだそれは? 俺は夢のような空間の中でひたすら殺され続けたんだが?」


「それが、『死の眠り』なのですが・・・。目覚めた人間は今までいなかったので・・・・」


骸骨が言葉を言い切ることは出来なかった。

なぜなら、突如俺たちの立っている場所の近くに金色で縁取られた白い扉が突如現れたからだ。



音も無く扉が開き、中から天使としかいえない格好の青年が出てきた。




***

「扉の手配に時間が掛かってしまった。彼は大丈夫だろうか?」


そういいながら、私は扉を開け放った。


扉から一歩踏み出すと私のことを見つめている少年と、地獄の案内人の姿が目に入ってきた。


「探す手間が省けました。地獄の案内人の方ですね。天界の長、ミカエル様の命により1人の囚われグリードを解放して下さい。

ちなみにこれは、地獄の長、アーカード様も合意の上です。」


「わかりました。番号と氏名を教えていただけますか?」


「Y-24893。アカバネタツヤです。」

ミカエル様から命令された際に渡された紙を見ながら私は答えた。




***

扉から出てきた、青年と骸骨が何やら話している様子だったので黙っていたのだが、最後の言葉が気になった。


「赤羽龍也は俺だけど?」

咄嗟に反応して、答えてしまった。


「ん??」

2人。いや2体がこちらを同時に振り向いた。


「Y-24893。確かにそうですね。この者です。」

骸骨に言われて青年のほうを向く。


「彼は何故、目覚めているのですか? 先にこちらに伝令が届いたのでしょうか??」

青年が俺のことをチラリと見た後に骸骨に向きかえる。


「いえ。先ほど自力で『死の眠り』から覚めてしまい、どうしようかと考えていたところです。」


「そんな!! 『死の眠り』から覚めるなんてありえないことですよ…」


「そうなのだが。。こちらにも判断が付かなくて…」


「…まぁ。いいでしょう。彼は元々、死んだ後は天界に送られる人間でしたのでイレギュラーな事態が起こったのでしょう。」

青年と骸骨が俺の存在を完全に無視して会話を続けているのを見て徐々に腹が立ってきた…。


「なぁ、俺がどうしたのか、いい加減説明してくれない?」


「…あなたは、ミカエル様が直接お会いになるそうなので、そのときに直接お聞きください。では、ミカエル様を待たせるわけには行かないのでこの辺で出発するとしましょう。」

そういうと、いつの間にか消えてしまった扉の代わりなのか銀縁の扉をどこからか出現させ、青年がノブをひねった。


「では、案内人さん。後ほど書類のほうを持ってきますのでよろしくお願いします。」


そういって青年が俺の手を引っ張るように扉の中に入っていった。


「俺の意思は関係ないのかよ!!」

っと文句を言いながら俺と青年は扉に入っていった。



いかがでしたか?


ご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします!!

誤字脱字報告もありましたらお願いします。


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