私はなぜ、勇者様に嫌われているのだろう?
私は勇者様に嫌われている。
勇者パーティーの一員なのに。
私は別に勇者様の事を嫌っているわけではない。
むしろ好意を抱いている。
勇者様を尊敬してるし、勇者パーティ選抜の結果には誇らしい思いを抱いている。
偉大で強い勇者様の隣に並び立つために、惜しみなく努力を注ごうと思うのが苦にならない程には、好意を抱いている。
だから分からない。
「俺はお前が大っ嫌いだ。できれば顔も見たくない」
「そんな、どうしてですか、勇者様!」
どうしてこうなってしまったのだろう。
世界中で国を破壊し、魔物を操って人々を殺戮しつづけている脅威ーー魔王。
そんな魔王を倒すために、国の中で特別強いものたちが数人選ばれた。
その中の一人が私だ。
「どうか魔王を倒して、世界を救ってほしい」
選ばれた私達はパーティーをくんで、魔王討伐の旅に出る事になったが、途中で問題が起きた。
私が勇者様に嫌われたのだ。
なぜなのか分からない。
私は勇者様に失礼な態度をとったことはないし。
彼の事は常に意識している。
戦闘ではいつも勇者様や他の者達のお荷物にならないように、最大限の力で戦っているし。
「おい、見ろ。魔物の軍勢がたった一度の魔法で吹っ飛んだぞ!」
日常でも勇者パーティーの一員としてふさわしいふるまいをしているし。
「あんなに難しい礼儀作法を、この短期間で覚えるなんて」
何があっても困らないように、旅で必要な知識は全て頭の中に入れている。
「一般的な地図にはのっていませんが、ここには小さな里がいくつか存在しています。もうすぐ夜になりますが、野宿するより日が暮れる前に里を目指した方がよいでしょう」
だというのに、なぜ嫌われているのだろう。
「あ、勇者様たちがやってきたわよ」
「本当だ、オーラが違うから遠くからでも目立つな」
「で、誰がリーダーの勇者様なんだ?」
「そりゃ当然、あの人でしょ? だってよく新聞記事に出てる顔だし、滅茶苦茶礼儀正しいし、なんか人の質問にすらすら答えてて物知りっぽいじゃん」
「勇者様、私を嫌う理由を教えてください! 私が何をしてしまったというのですか!?」
ーーなんで嫌っているかだって?
ーーそんなのお前が、本物のリーダーよりもリーダーらしいふるまいをしまくったせいで、本物のリーダーだと思われてるからだろ!




