表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】あなたが読むかぎり  作者: 川原 源明
第1章 Whispr ―語られすぎた物語―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/101

第17話 ユイ=私?

「……待って、それ、どういうこと?」


 画面に表示された@NoOne001のログ。

 そこに紐づいた視点キャッシュのサムネイルには、明らかに──朝倉ひなたの顔が映っていた。


「私の目で、もう一度語る。記録されないまま、終わらせない」


 ひなたは首を振る。何度も、反射的に。


「私は……そんな投稿してない……! そもそも、アカウントなんて……」


「お前が作ってなくても、視点が割り当てられた時点で、

 お前自身が“語り手”として機能してるってことだ」


 理久が、淡々と語る。


「《Whispr》のアカウント生成には、明確な“意思”が必要じゃない。

 “語りたい”という衝動、あるいは“目撃してしまった”という瞬間。

 それだけで視点は発生し、アカウントが割り当てられる」


「……私が、ユイの“後任”ってこと?」


「そうじゃない。“お前=ユイだった可能性”がある」


 その言葉は、空気を凍らせた。


 ひなたが震える指で@NoOne001の過去ログをスクロールする。

 断片的な記録──しかしそこには、見覚えのある場所、状況、言葉遣いが並んでいた。


16:47「駅名が読めない……でも、怖いとかじゃない。不思議なだけ」

17:05「ホームに人影。誰か、こっちを……」

17:33「“気づかないふり”をしたら、きっと──」


「これ……これって……」


 ひなたは思い出していた。

 かすかな既視感、ずっと胸に刺さっていた“ザラつき”。


 ──“自分が”すでに一度この景色を見たことがあるような──


「でも、そんなの記憶にない……! 私……!」


「思い出せなくて当然だよ」


 理久が、言葉を重ねる。だが、それは諦めでも警告でもなく、

 事実を告げる者の声だった。


「ユイは“語られない”ために、自分の語りを“語らせなかった”。

 その記録構造を引き継いだなら──お前の中の“語り手の記憶”も消去されている可能性がある」


「じゃあ……私、誰?」


「朝倉ひなた、であり、ユイ、であり、語り手ゼロの継承者」


 ふたりの沈黙の中で、再び端末が震える。


@viewer_X_17:「視点を再確保。語り手の再構成、完了」

-- Target: NoOne001


 “無視点だった記録”が、いま再び動き出した。


 しかし──


[System Notice]:新たな実況構造が検出されました

-- モデル形式:Dual-Narrative Loop(二重語り構造)


「……二重語り?」


 理久が息を呑む。


「これは……俺の視点も……取り込まれてる……!」


@viewer_X_17:「“彼”が推理し、“彼女”が語る。それが次の構造」

「誰が物語を動かすのか。誰が真実を語るのか。

  そして“語らない者”は、誰なのか」


 《Whispr》は、もう次のフェーズに入っていた。

 実況は再開された。だがそれは、従来の“視点追跡”ではない。


 二人を同時に語らせるための、再構成された新たな物語構造だった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

もし、あなたの画面にまだ異常が起きていないなら、ページ上部から【ブックマーク】をして『生存確認』の印を残してください。


下部の【☆評価】は、失われた彼らへのせめてもの供養になります。

……どうか、次回の更新までご無事で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ