オカシな二人 割れたクッキー
気づいた時には、もう遅かった。
(いつ、家に帰ったっけ?)
朝、タカに起こされて朝飯食ってタカの学校の近くまでバイクで行って。「ちゃんと学校行くんだぞ?」って言われて学校行ってタカの作ってくれた弁当食べて学校終わったらタカを迎えに行って買い物して、タカが宿題するから、なんとなく俺もして。夕飯食って風呂入って。タカの勉強の邪魔しないようにテレビみたりゲームして11時になったらタカの部屋行く。もう布団敷かれててタカは布団で本読んでて手ぇ繋いでおやすみって寝て。
(コレ、友達じゃない。俺、ただのガキじゃん)
気づいた瞬間、サッと血の気がひいた。
上がり込んだあげく、飯も洗濯も掃除やらも全部タカにやらせて、わがままに付き合わせ続けてる。
実の母親よりタカに甘えてる事実に気づいてしまった。
自分が出してるのはお菓子代くらいで、夕飯や弁当代なんか渡してない。
生活にかかる全て寄りかかってる!
(ヤバい、これダメだろ、こんなんダチじゃねぇよ!)
タカは優しいから何も言わないんだろうけど、今のコレは間違ってる。
(一回、帰ろう…お袋に言って今までの生活費?出して…いや、バイトして自分で払うべきか?)
とりあえず、一度離れよう!
*
入ったメッセージを見て、固まる。
リュウ: 実家帰る
これは、嫁がキレて『実家に帰らせて頂きます』と言うヤツだろうか?なんかしたか?
いやいや、リュウは嫁じゃない。
「かなこさんに呼ばれたのか?でも、何も言ってなかったけどなぁ?」
リュウのご飯代!とかなこさんからは毎月生活費には多い金額を頂いている。金額の多さにツッコミいれたら「じゃ、結婚資金に貯めておいて?」有無言わさぬ圧で言われて押し黙ったら
「だって、私にはこれくらいしか出来ないんだもの。」と悲しげに言われて諦めた。
「ちゃんと学校に行って、最近は課題も出して、そんな普通の子みたいなの、無かったの。剣護くんが居なきゃ、あの子を遠い所へやらなきゃいけなかったかもしれないの…本当に、ありがとう!」
ハンカチを当てて本格的に泣き出されたので背中を摩ってたら帰宅した龍臣さんに「龍騎だけでなくカナコまで!?」と青い顔されて半目になった。
「…龍臣さん。龍騎あのままだったら縁切りだったんですか?」
と言えばカナコさんが泣いてる理由に至ったらしく渋い顔して近寄ってくるので場所を譲った。
泣いてるカナコさんを肩に寄りかからせてから「流石に高校も出れないのでは、ウチに置くわけに行かなかった。」とため息混じりに話された。
体も弱く甘えん坊だった息子が反抗期で荒れに荒れて不良になるなんて青天の霹靂だったよな。
普段から使用人とかいてベッタリ世話してるわけじゃないから気づかない、気づけなかったんだろうけど。
「僕たちはちゃんと親になってあげられなかった。龍騎ももう『ちいさなこども』じゃない。だから、あの子が見つけた幸せを支えていければ良いと思ってる。剣護君に寄りかかってしまっているのは、親として。大人として、大変申し訳ないが」
「いえ、リュウを選んだのは僕ですので。」
「…うん、君は強い子だなぁ。金銭面とかで力が必要ならいつでも頼ってくれ。それくらいはしないと立つ瀬がないよ。」
なんて話し合いがあったのでリュウを連泊、いや、同居させてたわけなんだが。




