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オカシな話 花火

「リュウ?大丈夫?」

覗き込まれて、顔の近さに息が詰まる。

「…だ、大丈夫。」

顔ごと視線を逸らせば「でも、顔赤いし…」なんて心配そうな声色で呟かれて、誰のせいだ!と怒鳴りたくなった。

ため息を吐いて、誤魔化す。

「早く、帰えろ…熱い…」

あの日から、タカの顔を見ると落ち着かなくなった。


花火大会に行く予定を立てた。

俺は「甚平着るわ!中坊の時に買った黒地に龍の絵が背中にバーンてあるやつ!」と冗談半分で言ったら

「じゃあ、せっかくだし、俺も浴衣着ようかな?」とタカが返してくれた。

無理せずに合わせてくれる優しさが嬉しかった。


浴衣姿見のタカはすげぇかっこよかった。

あ、着慣れてる人だ!って、分かる立ち姿だった。

眼鏡も無いし、前髪も分けてフワっとしてるし、ツヤツヤだった。

女の目がすげぇ刺さって、何人かには話しかけられてた。

俺は急いでタカのとこ行って「コイツら何?」って女共にメンチきった。

タカは「連れが来たから失礼する」って俺の肩に手回して女共から離れた。


屋台をまわってたら、タカとはぐれた。

電話しても出ない。気づいてねぇのかな?スマホを離して周りを見渡した時。

タカがいた。

初めて見る険しい顔で、しきりに顔を動かして周りを見てる。

あんな必死に探してくれるなんて思わなくて、なんか喉が詰まった。

目が、合った瞬間。

タカの目が見開かれて、ホッて、力が抜けたのが分かった。

気の抜けた、でも温かい微笑みに、心臓がバクン!て花火みたいに鳴った。

近づいてくるタカから目を逸らせない。

「よかった…見つけれて…」

あのタカが、膝に手を当てて息を整える。

垂れてくる汗をらしくなく袖で拭えば、ムキムキな腕が見えた。

(…こんな、タカ、知らない…)

この後何を食べたかも覚えてない。

チラリと盗み見た、花火に照らされる穏やかな笑みの横顔が、忘れられなくて、胸がざわつく。


気づいたらタカをぼんやり見つめてしまう。

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