オカシな約束
「おい!正門にあの『麻木』がいるぞ!」
昼に今日は何時に終わるのかと聞かれたから、もしかしたらとは思ったが、本当に来るとは。
手早く支度して正門に急げば、ガタイの良い教師二人に止められてる金髪が見えた。
「ダチに会いに来ただけだっつてんだろ!」
うん。リュウよ。ここらじゃ有名な不良が進学校に友達とか、普通信じないぞ?
「だから、そいつの名前は?」
「自分です。麻生教諭。おまたせ、リュウ」
笑顔を張り付けて進み出る
「た、鷹宮。本当に知り合いなのか?」
まあ、超優等生な俺とリュウが知り合いなんて無理あるよなぁ
「はい。お騒がせしてすみません。ほら、リュウ、行こ」
頭を下げてリュウに向きなおれば、リュウも渋々「邪魔したな」と言ってくれた。
まあ、月曜にでも話しを聞かれるだろうな。
しばらく歩くとリュウの足が止まる
「ん?」
「悪りぃ、学校なんか来たら騒がれて当たり前だったな…俺アホだわ」
なんて、しょげる姿は年相応の男の子だよなぁ。
「俺も早くリュウの顔見たかったし、バイクで来なかっただけでもありがたいけど?」
と笑えば
「…あんま、甘やかすな」
頬っぺたを膨らまして拗ねる姿は、ここら一帯で恐れられてる不良には見えないな。
「リュウは可愛いなぁ」
「!!バッ、バカ!キモい事言うな!」
幼少期は小柄だったリュウは、可愛いというと怒る。
「じゃあ、愛らしい?」
「だから!そーゆー事言うな!」
「そう言われてもなぁ」
「チッ、で?明日はどこ行くんだ?」
休みには二人で買い物の予定だからバイクも置いて会いに来てくれたんだろう。泊まる予定だしな。
「茶葉と季節限定タルトを買いに行こうと思うんだけど、リュウはなんかあるか?」
「…クッキー食いたい」
「どこのでもいいのか?なら紅茶屋の近くのとこ寄るか?」
「ああ」
「今日は泊まってくだろ?晩飯何がいー?」
「肉!」
「んー、確か今日は鶏肉が安い日か」
「なら、チキンステーキがいい!トマトソースのヤツ」
「ああ、それなら楽だからいーぞ」
うん。まるで母と子の様な会話だ。
つけ合わせの野菜無しで!ダメだ、食べなさい!と言う会話が入る辺り確実に。
「タカ!スープはコンスープな!粒じゃないヤツ!」
「はいはい」
「っ!頭撫でるな!」
「はいはい」
俺がバイクを嫌がるのは、こうしてゆっくり話せないからだなんて彼は夢にも思わないだろう 。




