しらゆりの呟き
あたしのクラスには、気持ち悪いヤツが一人いる。
名前は鷹宮 剣護。
鍛えられた高身長の美男子のガワを持つ男。
大半の女子はキャアキャア言ってる。
見る目ないよな。
コイツの何が気持ち悪いかって?
まず、その落ち着き具合。
アイツ絶対人生2回目か前世(戦がある時代)で爺まで生きてる。
例えば、学校に入り込んだナイフ男を無手のくせに瞬殺で無力化して先生に警察呼ぶように指示したり、火事になった時は水ブッ被って逃げ遅れた女子抱えて戻ってきたり、野外活動で行方不明になった男子(高くはないけど崖落ちてた)を応急処置して助けてきたり。
お前はヒーローか!?てツッコミ入れたくなる経歴がたくさんある。
生活態度は真面目で紳士的、成績も常に上位争い。
だから先生らは彼に全幅の信頼を持ってる。
大半の生徒も憧れたり好意的に見てるだろう。
あたしも、別に嫌いではない。
ただ、アイツの、捕食者みたいな目が苦手なんだ。
必死に狩る訳でも、もがいてるのを嗤うわけでもない。
一番抵抗が少なくて効率的に喰える瞬間をゆっくり待つような、冷静さが怖い。
そんなヤツに、噂がたった。
この辺りでも有名な金持ちの不良を堕とした、て。
付き合ってるとか、舎弟にしたとか色々なバージョンはあるけど、手に入れた事に違いはない。
「金龍」が迎えに来て一緒に帰ってたりしてたしね。
でも、最近見ない。
だから、直接聞いてみた。
下校時横に並んで「ね?金龍どしたの?」って。
鷹宮はパチリと長い睫毛を伏せてから微笑んだ。
見た目だけなら極上品。でも目が冷たい。
「百合川さんがそんな話するなんて意外だな。」
「そう?みんな気にしてるわよ?で?」
「んー?なんか悩んでるみたいで距離置かれてるんだよね。」
なんて眉を下げて少し悲しそうな顔で答えてくれる。
「でも、焦ってないでしょ?アンタが狙った獲物簡単に諦める訳ないもの。」
「百合川さんって俺のこと嫌い?」
「好きでも嫌いでもない。ただ気持ち悪い。」
「アハハッ…うん、君はホント良い目をしてるよね。」
「自覚あるんだ?」
「まあ、普通じゃないとは、ね?」
「…金龍はアンタみたいなのに目ぇつけられてご愁傷様だわ。ん?」
視線を感じて振り返る。何も居ない。と前を向いたら走り出す鷹宮。
アイツが動くって事は金龍がいたのかしら?…やだ!あたしとの仲誤解されてたら鷹宮に殺されるじゃない!
*(リュウ視点)
勇気を出してタカの学校に来てみたけど、どうしよう…。
身を隠しながら伺ってたらタカが来た。
一人じゃなかった。
背中まである黒髪が綺麗なスタイルの良い女がいた。
タカが、いつもの愛想笑いじゃなくて普通に笑ってた。
俺以外にも、ちゃんと笑う相手いるんだ。
振り向いた女と目が合った。
タカの横にいても見劣りしない美人。
…お似合いだって思ってしまった。
気づいたら走って逃げてた。
ああ、もう、俺、何してんだろう…




