オカシな出会い
腹の底に響くようなエンジン音。
彼の愛車の音だと分かるのは、改造されて独特だからか、彼に焦がれているからか…
彼との出会いは、人気の少ない公園を歩いていて、不良にカツアゲで絡まれた時だった。
うるせーんだよ!と不良たちを足蹴にして追い払った彼は、コンビニの袋を覗き込んで盛大な舌打ちした。
どうやら今ので中身がダメになったらしい。
だから、そのコンビニなら帰りにあるから弁償しようと声をかけたのだが、相手は俺を睨んだまま。
気まずくて俺もコンビニ袋を覗き込む。
うん、無事だ。
「お前は何買ったんだ?」
と聞かれ、新商品のケーキだと答えると、目を見開いて「甘いもの好きか?」と尋ねられた。
頷くと「仲間だな!」と肩を掴まれた。
どうやら公園で隠れてケーキを食べようとしたのにバカたちが来て興を削がれたらしい。
こんな暗いところで食べるより、明るい家で美味しい紅茶やコーヒーと食べた方が楽しめるだろうと家に誘えば、彼は驚いたが、それはそれは嬉しそうに笑った。
この男のどこがそんなに恐ろしいんだろうか?
改造バイクは近所迷惑だから押して歩いてもらった。
父は海外に単身赴任。
母は5年前他界。
兄弟はいない。
いきなり不良な見た目の彼を家にあげるにはとてもありがたい環境だ。
コーヒーか紅茶か尋ねれば
「苦いのは苦手」と気まずそうに返された。
「なら、水出ししたフレーバーティーにしよう。あれはさっぱりしてる。」
ぐちゃぐちゃになった彼のは俺が引き取り、無事な方を彼に渡す。
不良と優等生の夜のお茶会ーーー滑稽だな。
ケーキに舌鼓を打ち、感想を言い合い、ようやく自己紹介。
かなり好みが似ていて意気投合してしまった。
しかし、彼はプライドと見た目でなかなか菓子店には買いに行けないらしい。
「なら、俺がリュウの分も買って来てやろうか?」
と言うのはセオリーだろう。
リュウの鋭い瞳が、キラキラしている。
「お前と知り合えて良かったぜ!」
「ああ、俺も、一緒に菓子を食える相手が出来て嬉しよ」と笑い返した。
雑誌を片手に菓子の話しを夜中までしてしまい慌てて明日の支度や宿題をする。風呂は諦めた。
リュウには宿題してる間に風呂やらを貸して布団を敷いた。
おやすみと挨拶すれば、リュウはたどたどしくおやすみと返した。
あんまり、言う習慣がないのかもしれない
しかし、初めて友達を泊まらせるな。
我ながら寂しヤツだ。
だが、リュウも
「…初めてダチの家に泊まるな」
と呟いていた辺り、似た者同士なのかもしれない。




