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踊るナマケモノ  作者: 雲晴 莉叶


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踊るナマケモノのヒミツ


踊るナマケモノ



ジャングルの奥深くに、ゆっくりと過ぎていく時間がありました。そのジャングルには、さまざまな動物たちが住んでいて、それぞれのペースで毎日を過ごしていました。木々が風に揺れ、小川の水がさらさらと流れ、鳥たちが賑やかにさえずる静かな場所です。


そのジャングルに、ナマケモノのナマちゃんが住んでいました。ナマちゃんは、みんなが動き回って忙しそうにしている中、いつも木の枝にぶら下がって、のんびりとした生活を楽しんでいました。


ナマちゃんは、他のナマケモノたちと同じように、ほとんど寝てばかりでした。食べるときはゆっくりと葉っぱを摘み取り、昼間は長い時間を木の枝で眠って過ごします。


でも、ナマちゃんには一つだけ、誰にも言っていない秘密がありました。それは、ナマちゃんが踊ることが大好きだということです。



ナマちゃんは、夜になると誰にも見られないようにこっそりと踊り始めます。木の枝の上で、ゆっくりと体を動かすのが、ナマちゃんにとって一番楽しい時間でした。リズムに合わせて、スローモーションのような動きで足を踏み、手を伸ばすと、まるで風と一緒に踊っているかのようでした。


「ふふふ、楽しいなあ」と、ナマちゃんはひとりごとを言いながら、ゆっくりと踊り続けました。誰にも見られず、音楽もないけれど、ナマちゃんの心はワクワクしていました。ナマちゃんが踊ると、何だか心が軽くなって、どんどん楽しくなっていくのです。


でも、ナマちゃんは、いつも一人で踊るのが寂しくて、ちょっとだけ不安でした。「みんなが見てくれたら、きっともっと楽しいのに。」そう思いながらも、ナマちゃんは踊り続けました。



ある日、ナマちゃんはジャングルの友だち、リスくんと出会いました。リスくんは、いつも素早く木を駆け回る元気な男の子です。


「ナマちゃん、何してるの?」リスくんが聞きました。


「えっ、あ、何でもないよ。」ナマちゃんはちょっと照れました。「いや、実は…ちょっと踊っていたんだ。」


「踊る?ナマちゃんが?」リスくんは目を丸くして驚きました。「見てみたい!」


「えっ?」ナマちゃんは少し驚きました。「でも、リスくん、踊るってそんなに簡単じゃないよ。」


「簡単じゃないって?」リスくんは不思議そうに言いました。「僕だって速く走るのは得意だけど、ちょっとだけでも踊ってみるよ!」


ナマちゃんは少し考えてから言いました。「じゃあ、今度、一緒に踊ってみようか。でも、速く踊らなくていいよ。ゆっくり、ゆっくりね。」


「うん、いいよ!」リスくんは元気よく答えました。


その日から、ナマちゃんとリスくんは毎晩、ジャングルの中で踊る練習を始めました。リスくんは最初、速く動きすぎて、ナマちゃんのようにゆっくり踊ることが難しそうでした。でも、リスくんは少しずつリズムを取るようになり、やがてナマちゃんと同じペースで踊れるようになりました。


「やった!僕、できた!」リスくんは嬉しそうに叫びました。


ナマちゃんはニコニコしながら言いました。「ほらね、できたでしょ?ゆっくりでも楽しむことが大事なんだよ。」


その後、リスくんはナマちゃんに感謝し、友だちにそのことを話しました。そして、みんなが次々とジャングルに集まりました。カメさん、ウサギちゃん、サルくん、みんなが少しずつやってきて、ナマちゃんと一緒に踊ることになりました。



最初、カメさんはゆっくりすぎて、ちょっとだけ踊るのが難しかったけれど、ナマちゃんが「大丈夫、ゆっくりでいいんだよ」と言ってあげると、カメさんは安心して踊り始めました。


「ゆっくりでも、楽しいねえ」と、カメさんはにっこり笑いました。


ウサギちゃんは、元気いっぱいでピョンピョン跳ねて、リズムに合わせて踊っていました。でも、サルくんはちょっと違いました。サルくんは、元気すぎて、どんどん速く動きすぎてしまいました。


「わー!ちょっと待って、サルくん!」ナマちゃんは笑いながら言いました。「速く動くと、他のみんながついていけないよ!」


サルくんは、ちょっと恥ずかしそうに言いました。「ごめん、ごめん。僕、速く動くのが得意だから、つい…」


でも、サルくんもだんだんリズムに合わせて、みんなと同じペースで踊れるようになりました。みんながそれぞれのペースで、笑顔で踊る姿は、とても素敵でした。


「見て!みんな上手に踊れてる!」リスくんが言いました。


「うん、楽しいね!」ウサギちゃんも嬉しそうに言いました。


その晩、ジャングルの動物たちはみんなで踊りながら、楽しい時間を過ごしました。ナマちゃんは、心の中で幸せを感じました。



次の日、ジャングルに新しい動物が引っ越してきました。それは、小さなカバのカブちゃんでした。カブちゃんはとても恥ずかしがり屋で、あまり他の動物たちと遊ぶことができませんでした。


「カブちゃん、こっちにおいで!みんなでダンスをしようよ!」ナマちゃんが呼びかけました。


カブちゃんはちょっとびっくりしましたが、ナマちゃんが優しく手を差し伸べると、少しずつ近づいてきました。


「僕も、みんなと一緒に踊ってみたいけど、うまくできるかな?」カブちゃんは不安そうに言いました。


「大丈夫だよ!」ナマちゃんはにっこりと笑いました。「ゆっくりやればいいんだよ。一緒に楽しもう!」


カブちゃんも少しずつ踊り始めました。最初はぎこちなかったけれど、ナマちゃんと一緒に踊るうちに、だんだん楽しくなってきました。


「わー!楽しい!」カブちゃんが言いました。


それから、カブちゃんはジャングルの動物たちとどんどん仲良くなり、みんなで毎晩ダンスを楽しむようになりました。


ナマちゃんは、ダンスがこんなにも楽しくて、みんなの心を繋げる力を持っていることに気づきました。そして、ナマちゃんの踊りは、ジャングルの動物たちにとって、毎日の楽しみとなり、彼らの絆を深める大切な時間になったのでした。

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