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11.ノートの隅
「染谷さん、いらっしゃいませ」
ドアの鈴が鳴り、染谷が入ってくる。
「あれ市江さんは?」
「今、買い物に行っています」
「時子ちゃん、言葉上手くなったね」
時子は、嬉しそうに二階に上がって、染谷から貰った参考書やノートを持って降りてきた。
「空いた時間でいっぱい勉強しています」
ノートには参考書を写して勉強したであろう痕跡がずらっと並んでいた。ノートをパラパラとめくっていると、気になる絵を見つけた。
「これは、時子ちゃんが書いたの?」
「はい。市江さんと染谷さんです」
ノートの隅っこに描かれた二人の絵は、よく特徴が押さえられていていた。
「良く描けてる。そうだ、俺の描いた漫画、見てみるか?」
「いいんですか」
時子は潤いのある瞳をクリっとさせ、いかにも嬉しそうな表情である。
「市江さんが帰ってきたら、俺の事務所に案内するよ」




