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三章 第二十五話 宝探し2

用語説明w


フィーナ

ノーマンで黒髪、赤目の女子。ラーズの義理の妹で、飛び級でハナノミヤ聖女子大学に進学。クレハナの王族であり、内戦から逃れるために王位を辞退して一般家庭に下った。騎士の卵でもあり、複数の魔法を使える。最近はラーズの怪我の治療によって回復魔法の腕が上がっている


ミィ

魚人の女子。騎士学園時代にラーズとパーティを組んでいた。金勘定が上手く、戦闘よりもアイテム調達で貢献、騎士団の運営に興味を持ち、龍神皇国立騎士大学へと進学した。


フォウル

肩乗りサイズの雷竜、ラーズの使役対象。巨大化して強力なサンダーブレスを一回だけ吐くことができる


俺達は山道を慎重に進んで行く


そこまでの悪路ではないが、ここは立ち入り制限地区内

モンスターがいつ襲ってくるか分かったものじゃない



「フォウル、頼んだよ」


ミィが空をパタパタ飛んでいる小竜に声をかける


フォウルは鼻がよく、モンスターの接近にすぐに気がつく

ドラゴンの五感は人間より遥かに鋭い


騎士学園時代も、フォウルの索敵には助けられたもんだ



「ラー兄、その剣ってドラゴンブレイドだよね?」

ピンクが俺の背負っている剣を見て言う


「そうだよ。よく覚えてたね」


「ラー兄が騎士学園で使ってたもん」


「そうなんだ。かっこいい剣だね」

ソロンがドラゴンブレイドを眺める


人の宝物を褒められるなんていい子や…


「これは、俺が騎士学園に入った時にセフィ姉にもらったんだ」


俺の愛剣、ドラゴンブレイド


ドラゴンキラーの霊的構造を持ち、ドラゴンへの特攻効果でダメージが上がる霊剣だ



「ラーズ、何でそんなの持ってきたの? まさか、戦うつもり…」

フィーナが尋ねる


「いやいや、俺は闘氣(オーラ)もないし無理だって。せっかく実家に帰ったから、バイトに使えると思って持って来たんだよ」


闘氣(オーラ)は、人体の防御力をバリアによって上げるが、それだけじゃない

身体能力を引き上げることによって、腕力や走力が強化される


モンスターの攻撃を躱し、ダメージを叩き出すためには、身体能力が必要になる

つまり、そういう超能力を持たない俺にモンスターと戦う術はないのだ



「ラー兄、バイトって何してるの?」


「ゴーストハンターだよ、ピンク」


「サエが紹介したやつだね」

ミィが口を挟む


霊体である悪霊に対して、霊剣であるドラゴンブレイドはダメージが通る可能性がある

そのため、除霊の現場で役に立つかと思って来たのだ



「ガルル…」


「ストップ!」


俺は、フォウルの唸りにすぐ反応



騎士学園時代の経験

フォウルの索敵は、ほぼ間違いない



「ど、どうしたの?」

ソロンが不安そうに振り返る


「モンスターがどこかにいる。静かに」


俺はフォウルを肩に乗せて前に出る


その後ろをミィとフィーナがついて来た

この二人も、フォウルの索敵の凄さを熟知している



バッシャーン!


「…っ!?」



激しい水音が響く


獣道の先からは、ザァザァと川の音も聞こえている



「二人とも、川の注意点は分かる?」

ミィが言う


「えっと、水があるから水属性を使うモンスターに注意!」

「水属性は、水がある場所では威力が上がって危険!」


「優秀すぎる…」


ピンクとソロンの優等生っぷりに、俺はため息


「勉強もできるし、騎士としての実力もあるし。凄いよね」

フィーナが頷く


だが、フィーナも学年で学科一位

飛び級のくせに、最終学年を首席で卒業した天才タイプだ


セフィ姉も完璧超人、ヤマトは戦闘の天才、ミィは商才

俺の周りは才能チートギフト持ちが多すぎるんだよ!



…進んだ先には小さな滝と小川があった



「大きい…」


フィーナが呟く



そして、そこには貫禄のあるモンスターが座していた



「グギャアァァァァッ!」


ワイルドボアというイノシシ型のモンスターを貪り食っている


だが、口は無い

体に直接取り込んで消化している


体長は約十メートルの圧倒的な体躯だ



グモモモモ…


「危ない、下がって!」



ミィの声で、慌てて俺達は距離を取る


「あれって、スライム…」


「その中でも珍しい、ビッグイータースライムだよ」


フィーナがソロンに教える



ビッグイータースライム


Bランクの超危険スライム

ゼリーのような体の一部を飛ばし、また統合することができる

分裂してまであらゆる生物を食べ続ける性質は厄介の一言


しかも、体の九十五パーセント以上を一気に焼き尽くさないと再生するという生命力

高火力の攻撃や一斉火炎放射、毒や酸などの化学物質を大量に使わないと完全駆除が難しいモンスターだ



ズモォォ…


「え?」



一気に上空へと伸び上がったビッグイータースライム


その予想外の動きに、俺は反応が遅れる



ビッタァァァァァン!


「うわぁぁぁぁっ!?」



その直後、体を掴まれて引っ張られる



「し、死ぬかと思った…」


「情けないこと言わないでよ」


俺は、ミィに助けられていた


「俺は魔法も特技(スキル)闘氣(オーラ)もないんだって、普通に死ぬぞ!」



向こうでは、フィーナが杖を構えて魔法を構成していた


ピンクとソロンも闘氣(オーラ)をいっちょ前に纏っている



一般人の俺とは違う騎士の力

あらためて見ると、やっぱり凄い力だ



ボボォォゥ!



フィーナが火属性範囲魔法(小)を発動


炎がスライムの体を焼くが、すぐに粘液で元に戻ってしまう



「ダメ、私の魔法じゃ範囲が足りないよ」


フィーナが困り顔

まだ範囲魔法(中)を習得していないため、この巨大なスライムを焼き尽くせる攻撃範囲を作れない



「ど、どうしよう。とりあえず、切りつけて…」


「ダメよピンク。体に取り込まれたら危ないから」

ミィが止める


「あいつの体、ミィの水魔法で操れないのか?」


「無理だよ。スライムの魔力とかの生命反応で阻害されちゃうもん」


「なら、必殺技を使うしかないか」


「どうするの?」

フィーナが聞く


「俺達のリーサルウェポンを使うんだよ」


そう言って、俺はフォウルを掴む


「ガルルッ」


「頼むよ。あいつの体全部を吹き飛ばさないと倒せないんだって」


「…」



フォウルは勘弁したのか、鼻息を吹き出して飛び上がる


「うわっ」


ソロンの目の前で、突然大きくなるフォウル



パリパリパリパリ…


その巨大な顎から放電が溢れる




ズガァァァァァッ


バチバチバチッ バリバリバリバリーーー!




真横に落ちる雷


フォウルのサンダーブレスが炸裂



その電力が、ビッグイータースライムを跡形もなく吹飛ばした




・・・・・・




「フォウル凄ーい!」

「どうして大きくなれるの?」


ピンクとソロンがフォウルに駆け寄る


「グルルゥ…」


だが、フォウルはヘロヘロ

情けなく地面に横たわる


無理やり巨大化して放つサンダーブレスは、威力が絶大な分、小竜のフォウルは体力を使い切ってしまうのだ



「思わぬ時間を喰ったわね。フォウル、ジョーカーなのに、まさかこんな場所でカードを切らされるなんて」


ミィが周囲を見回す


「いきなりBランクモンスターと遭遇なんだから仕方ないだろ」


俺はフォウルを抱き上げる


この様子じゃ、しばらくは眠り続けて使い物にならないだろうな



「ビチャビチャだね」


「粘液まみれだよ…」

フィーナが言う


周囲は、吹き飛んだスライムの粘液が飛び散っている



「見て。あの大きいスライム、仲間のスライムも食べてたんだね」

ピンクが指差す


ビッグイータースライムの残骸の中から、別種の小型のスライムが這い出していた


スライムって、別種なら共食いもするんだな


それだけでなく、ビッグイータースライムの残骸を逆に食べ始めているようだ



「ミィさん、何してるの?」


「見て、ここ」


しゃがんだミィの目の前には、親指の爪くらいの大きさの瑠璃色のスライムがいた


親スライムから分裂して間もない、まだ小さいスライムなんだろう



「キュィ…」


か細く鳴くスライムは、どうやら別のスライム達に食べられる存在らしい


ミィが他のスライムを指で遠ざけて助けてやる



ビッグイータースライムに喰われながらも奇跡的な生還

その直後に、他のスライムに喰われかけるとは


スライムの人生もなかなかに過酷だなぁ



モンスターであるスライムは、基本は分裂で増える

しかし、その分裂は細胞分裂とは違う


スライム達の分裂は、環境からの刺激を受けて自らとは違う別固体を誕生させる

遺伝子を変化させているのだ


これをスライムの産卵と呼ぶ


誕生したてのスライムは弱く、食物連鎖の下端

すぐに食べられてしまい生き延びられるものは僅かだ


この瑠璃色のスライムも、ビッグイータースライムに消化されかけて弱っている

とても生き延びることはできないだろう



「ふふっ…」


ミィの手の甲に瑠璃色のスライムが乗る


「珍しい、スライムが懐いてる」

フィーナが言う


その通り、脳を持たないスライムが他の生物に懐くことは少ない


「どうするんだ?」


「この子、私の水属性の魔力を吸ってる。かわいい」


「連れて行くのかよ」


「そうね、ちょっとだけ」

ミィがスライムをツンツンする


「ミィ、本当に変わったものに好かれるよな」


「あんたが言うなぁ! 秘境からドラゴン連れて帰って来たくせに」


俺達は、ワイワイ話しながら宝の地図の示す場所へと向かった


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